【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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私のその叫びには青さんも庄司さんも一瞬止まった。



でも一瞬だけ。



すぐに庄司さんは優しい顔で笑い、青さんは私の隣でまた顔を両手で覆って俯いた。



「加藤さんは社長のことが本当に大好きなんだね。」



「うん、大好き。
だって、青さんだよ?」



「ああ、そうだね。」



庄司さんがそう言った後に私のことをジッと見詰めた。



「俺も昔、今の加藤さんのように自分以外の誰かのことを守る為に何度も叫んだことがある。」



フッと力が抜けたように庄司さんはソファーの背もたれに寄り掛かった。



「その叫びが届くことなんて1度もなくて、俺は今でも後悔している。」



何処か遠くを見ているような庄司さんの目が悲しそうに笑う。



「俺がもっと上手く出来れば良かった。」



「鈴木さんのこと?」



「違う、俺の“家”の話。
俺の母親はクズで。
でも俺がもっと上手く出来ていたら違う“今”になっていたのかなと。」



「鈴木さんは庄司さんのお母さんとは正反対の女だった?」



「当然だよ。
でもそれだけではなくて・・・」



言葉を切った庄司さんが力なく笑った。



「俺が後悔をする度に思い描く子どもの姿が、鈴木だった。」



「“子どもの姿”なんだ?」



「ああ、あんな“子ども”になりたかったと今でも後悔している。
俺があんな風に上手く出来ていたら・・・」



「うん。」



「・・・・・・・・・・。」



「お母さんがもう少しお母さんっぽくなれたかも?」



「・・・・・・・・そうだな。」



「ちょっと違う?」



「ほぼ合ってる。」



「ほぼ?」



「・・・・・・・。」



「私には言えないことを鈴木さんには言えてる?」



「言えていない。
あんなことをした女の血が俺にも流れていると知っていたら、鈴木は俺と婚約なんて絶対にしてくれなかった。」



「上手く隠したんだ。
これからも隠すの?」



「これからも上手く隠し続ける。」



庄司さんは力強く即答した。
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