【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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「望は普通の女の子だろ。」



俺が見てきた望のことを思い出し、俺に送られてきた望の”日記“を思い出し、どんどん胸が苦しくなってくる。


 
「好きな男から・・・両想いの男から何か1つだけでも貰いたいと思う、普通の女の子だろ。」



望の首にいつも掛かっている”一平の第二ボタン“を・・・いや、”俺の第二ボタン“を思い浮かべながら言う。


 
「その“何か”はあいつが勝手に選んだ他の男である“俺”ではなくて、あいつからの“何か”なんだよ。
どんなに小さな物でも形がない物でも良い、“何か”1つだけでも貰えれば望はそれで良かったのに。」



それをこの女に教えたら、この女は怒った声ではなく普通の声で・・・



「私の兄が“何か”を渡そうとしても、望さんはきっと何も受け取らなかった。」



そんな返事をしてきた。



それにはやっぱりめちゃくちゃムカつく。



これは、めちゃくちゃ無理で。



我慢なんて出来ずに声に怒りを込めてしまう。



「アンタは何も分かってない。
望が“欲しい”と言っていたのを俺は何度も聞いた。」



「え・・・?」



「望には“欲しい”と思うモノが沢山あった。
すげー小さなモノだけど、“欲しい”と思うモノが沢山ある普通の女の子なんだよ、望は。」



“ピーコートが欲しい“と言っていた望の姿を思い出す。



”友達か欲しい“と言っていた望の顔を思い出す。



死にそうになっていたネコを拾ってきた望のことを思い出す。



”一平さんの第二ボタンが欲しい“と恥ずかしそうに、でも何度も望は俺に言っていた。



欲しいと思うモノはどれも小さなモノだけどそれでも沢山あって、”幸せになりたい“とも望む、普通の女の子で・・・



”仕事“で俺とヤって心を病む、普通の女の子・・・。



そんな普通の女の子が、増田財閥の分家に残っているただ1つの秘書の”家“の娘として生まれてしまった。



可哀想だった・・・。



俺にはやっぱり、望がめちゃくちゃ可哀想にしか思えなくて。



「解放してやれよ。
愛してる男から他の男を渡された望が可哀想だろ。」



きっとこの女も気付いたのだと思う。



望がこんなにも可哀想なことに、やっっっと気付いた。



だからもう、俺に何も言い返すことなく静かに車に乗っていたのだと思う。



”もう二度と俺に喧嘩売ってくんな、ブス!!!“



この女の怒った顔を思い出し、心の中でそう叫んだ。
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