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聞いた私に元気さんは困ったように笑った。



「じいちゃん見る目あるらしいからね。
国光ちゃん、普通に良い子そうな所がめちゃくちゃ怖いから~。」



「私、前会長からは会社に入るだけでいいとだけ言われました。
元気さんとのことは何も言われてません。」



「りょうかいで~す、そういうことにしておく!!」



そう言って爆笑しながら早足で歩いていった。



約束していたのに・・・。



1年前、一緒に帰ろうと約束していたのに・・・。



約束してくれていたのに・・・。



1年後、私が約束を覚えていたら付き合ってくれると、そう約束してくれていたのに・・・。



約束を忘れたのではなくてなかったことにしたのだと思う。



元気さんは約束を忘れるような人ではないから。



この会社に私がいたから、私が玉の輿を狙ったのだと思って・・・。



私のことも約束も全てを忘れたように見せて、全部なかったことにしたのだと分かった。



「玉の輿なんて狙ってないよ・・・。」



とっくに見えなくなった元気さんの後ろ姿に呟いた。
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