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そして、宝田と並んで神社の拝殿の前に立つ。



そこで、気付いた・・・。



「「ガ~~~~ン・・・。」」



宝田と重なり、2人で爆笑した。
だって、お財布を持ってきていないから。
宝田も持ってきていなかったと分かったから。



「怪我どころか、これだと神頼みも出来ないね!!
まあ・・・私は何をお願いするのか考え付いていなかったけど!!」



「俺は・・・あったんだよね、神様に頼みたいことが。」



宝田が悲しそうな顔で笑って、少し俯いた。



「頼むことも許されなかったか~・・・。
やっぱり、反則はするものじゃないよね。
反則技なんてしなければよかった。」



そんなことを言って、暗い神社の中で暗い顔をして俯いている。



「あのままで良かったのにね・・・。
あのまま・・・俺と長峰は幼馴染みで犬猿の仲で・・・。
でも、仲が悪いわけではない・・・。
そんな関係でいられれば・・・それで、永遠にいられれば・・・それで良かったんだけどね・・・。」



「まさか、結婚を仕組まれるなんて思いもしなかったよね!?
そんなことを仕組まれるとは宝田も思わなかったでしょ!?」



「あの人達は有能すぎたよね。
動き出された時はすぐに気付いたけど、動き出される前はそんなこと考えもしなかった。
普通・・・普通、あんなこと思い付かないしやろうとなんて思わないでしょ。」



宝田が小さく笑いながら、喋りながらも俯いている。



諦めているらしい・・・。
神頼みも出来ないと分かり、宝田は諦めているらしい・・・。



離婚も視野に入れて話し合いたいとは思っているけれど、“絶対に離婚!”とは思っていないのに・・・。
私は、そこまでは思っていないのに・・・。



だって、幸せでもあったから。
まさか、宝田と結婚出来るなんて思わなかったから。



犬猿の仲を続けたままで結婚生活が送れるとは、思いもしなかったから。
だから私は幸せでもあった。



ちゃんと、幸せでもあった。



そう思いながら・・・



俯いている宝田の横顔を見る。



そしたら、見ていた・・・。



私の右手を握り締めたまま、私のお猪口に残っている“駿と雪”を見詰めていた。
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