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24歳になって数日後、3月末日
「マナリー、これ遅くなったけどホワイトデー。」
「ありがとう!ソッちゃん!!」
「ホワイトデーの日に渡せなくてごめんね?
今年度最後の月だったし、明日から本社勤務になるから引き継ぎもあって忙しくて。」
「全然大丈夫だよ!
ちゃんとお返しをくれるのは知ってたから、むしろ毎日が楽しみだった!」
美容師として働いている可愛いマナリーが私の髪の毛を切る準備を始めながら嬉しそうに笑っている。
「イチャイチャしてる所悪いけどな、毎度毎度俺の部屋で髪の毛を切るのマジでやめて。」
田代が本当に迷惑そうな顔で缶ビール4本を持ってきた。
3本ではなく4本の缶ビールを見ていた時・・・
「次、私のカットもお願いします~!」
田代の後ろから可愛い望が顔を出した。
「「望!!」」
マナリーと私が望の名前を呼ぶ。
私達幼馴染みの中に自然と入ってきた望は、今でも何の違和感もなく私達と一緒にいる。
まるで昔から一緒にいたかのように。
「久しぶりに田代君の家に来られた~!」
「婆さんの具合はどうなんだよ?」
「あんまり良くないね、お母さんもそれで大変そうで。
だから私も忙しくて。」
「忙しくても職場に好きな男がいるから幸せだろ?」
「そうなんです~!」
「今年もバレンタインに手作り渡したのか?」
「渡したよ!」
「お前の全然美味しくないスイーツ!」
「それは田代君が甘党なだけでしょ?
そんなに炭酸ジュースばっかり飲んでたら骨が溶けるよ?」
「それ懐かしいよな!?
純の兄貴が昔それでビビって炭酸止めたんだよな!!」
「私は高校からみんなと一緒なんだよ?」
「マジで!?」
「めんど。」
望が冷たい口調で言った後に楽しそうに笑い、缶ビールを美味しそうに飲んでいく。
それからマナリーからカットされている私の姿を見てきた。
「今回結構伸びてたんだ?
伸ばしてたの?」
「そのつもりはなかったんだけど忙しくてマナリーに会えてなくて。」
「伸ばしても可愛いんじゃない?」
「うん、ソッちゃんはどんな髪型でも可愛い。」
「そんなことを言ってくれるのはマナリーと望だけだよ。」
「マジでそれだよな。
お前ら2人の中身は男寄りだからか?」
「私はマナリーとは違って女だけど。」
「私だって女だよ!?
女として女のソッちゃんのことがラブなの!」
「ソッちゃんに今年もバレンタインに告白したの?」
「当たり前じゃん!
その日だけは告白することが許される日だもん!」
「そうだったの?
告白されてる私も初耳なんだけど。」
「バレンタインデーはそういう日じゃないの!?」
「嘘だよ、ちゃんと分かってる。」
「ソッちゃんってすぐにそういう嘘つく~!」
「営業中のこいつヤバいよ?
この前も、“可愛いですね”とか客の女が持つ犬の写真を見ながら言って、“お前犬嫌いだろ!”って心の中で突っ込んだ!!」
「嘘なわけじゃないよ。
そんなに可愛いわけじゃない犬の写真を可愛い顔で持ってるあの人が可愛かったじゃん。」
「怖・・・っ!!
恐ろしい奴なんだよこいつは!!」
「恐ろしいのは田代君だよ。
普通の田代君がよく増田生命に入れて営業成績も良いのね?」
「・・・俺が普通に見えるのは純が俺より良い男に見えるからだろ!?
俺単体で見たら普通に良い男なんだよ!!」
「「「“普通”って自分で言ってるけど。」」」
「これはそういう“普通”の使い方じゃねーよ!!
明日から俺も本社勤務なんだから前日くらい自信つけさせてくれよ!!」
いつもの田代の嘆きに久しぶりに3人で笑った。
明日からは本社での勤務が始まる。
私に1番似合う髪型であるショートヘア。
私の魅力をある意味私よりも分かってくれているかもしれないマナリーがカットしてくれるお洒落な髪型は、今回も私に気合いを入れさせた。
“女”としてや“男”としてではなく、私は“人”として気合いを入れた。
それに今回も何故か胸がズキッと傷んだ気がしたけれど、気付かないフリをして笑い続けた。
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24歳になって数日後、3月末日
「マナリー、これ遅くなったけどホワイトデー。」
「ありがとう!ソッちゃん!!」
「ホワイトデーの日に渡せなくてごめんね?
今年度最後の月だったし、明日から本社勤務になるから引き継ぎもあって忙しくて。」
「全然大丈夫だよ!
ちゃんとお返しをくれるのは知ってたから、むしろ毎日が楽しみだった!」
美容師として働いている可愛いマナリーが私の髪の毛を切る準備を始めながら嬉しそうに笑っている。
「イチャイチャしてる所悪いけどな、毎度毎度俺の部屋で髪の毛を切るのマジでやめて。」
田代が本当に迷惑そうな顔で缶ビール4本を持ってきた。
3本ではなく4本の缶ビールを見ていた時・・・
「次、私のカットもお願いします~!」
田代の後ろから可愛い望が顔を出した。
「「望!!」」
マナリーと私が望の名前を呼ぶ。
私達幼馴染みの中に自然と入ってきた望は、今でも何の違和感もなく私達と一緒にいる。
まるで昔から一緒にいたかのように。
「久しぶりに田代君の家に来られた~!」
「婆さんの具合はどうなんだよ?」
「あんまり良くないね、お母さんもそれで大変そうで。
だから私も忙しくて。」
「忙しくても職場に好きな男がいるから幸せだろ?」
「そうなんです~!」
「今年もバレンタインに手作り渡したのか?」
「渡したよ!」
「お前の全然美味しくないスイーツ!」
「それは田代君が甘党なだけでしょ?
そんなに炭酸ジュースばっかり飲んでたら骨が溶けるよ?」
「それ懐かしいよな!?
純の兄貴が昔それでビビって炭酸止めたんだよな!!」
「私は高校からみんなと一緒なんだよ?」
「マジで!?」
「めんど。」
望が冷たい口調で言った後に楽しそうに笑い、缶ビールを美味しそうに飲んでいく。
それからマナリーからカットされている私の姿を見てきた。
「今回結構伸びてたんだ?
伸ばしてたの?」
「そのつもりはなかったんだけど忙しくてマナリーに会えてなくて。」
「伸ばしても可愛いんじゃない?」
「うん、ソッちゃんはどんな髪型でも可愛い。」
「そんなことを言ってくれるのはマナリーと望だけだよ。」
「マジでそれだよな。
お前ら2人の中身は男寄りだからか?」
「私はマナリーとは違って女だけど。」
「私だって女だよ!?
女として女のソッちゃんのことがラブなの!」
「ソッちゃんに今年もバレンタインに告白したの?」
「当たり前じゃん!
その日だけは告白することが許される日だもん!」
「そうだったの?
告白されてる私も初耳なんだけど。」
「バレンタインデーはそういう日じゃないの!?」
「嘘だよ、ちゃんと分かってる。」
「ソッちゃんってすぐにそういう嘘つく~!」
「営業中のこいつヤバいよ?
この前も、“可愛いですね”とか客の女が持つ犬の写真を見ながら言って、“お前犬嫌いだろ!”って心の中で突っ込んだ!!」
「嘘なわけじゃないよ。
そんなに可愛いわけじゃない犬の写真を可愛い顔で持ってるあの人が可愛かったじゃん。」
「怖・・・っ!!
恐ろしい奴なんだよこいつは!!」
「恐ろしいのは田代君だよ。
普通の田代君がよく増田生命に入れて営業成績も良いのね?」
「・・・俺が普通に見えるのは純が俺より良い男に見えるからだろ!?
俺単体で見たら普通に良い男なんだよ!!」
「「「“普通”って自分で言ってるけど。」」」
「これはそういう“普通”の使い方じゃねーよ!!
明日から俺も本社勤務なんだから前日くらい自信つけさせてくれよ!!」
いつもの田代の嘆きに久しぶりに3人で笑った。
明日からは本社での勤務が始まる。
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私の魅力をある意味私よりも分かってくれているかもしれないマナリーがカットしてくれるお洒落な髪型は、今回も私に気合いを入れさせた。
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