“純”の純愛ではない“愛”の鍵

Bu-cha

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翌日   4月1日



「これは本当にヤバいね・・・。
同期から聞いてたけど予想以上にヤバい。」



「前の営業所では純って呼ばれてたんだよね?」



「歓迎会は来週の金曜日の予定だったけど、今日は希望者だけで行っちゃう?」



「純、今日の定時後の予定は?」



本社の営業部では支社の営業所とは仕事内容が大きく異なる。
支社ではテレアポと飛び込み営業を中心に企業内に入り込み、その企業の社員や役員への営業活動と企業自体への営業を主にしていた。



本社の営業部では部門がいくつかに分かれており、保険を売る営業をする部門は存在しない。
私は営業部の営業企画推進部門という、営業に関する企画や営業社員の教育や人事制度の企画、商品の開発などを行う部署への配属となった。



総合職としてではなくエリア総合職として入社し、入社3年目にして本社勤務になったことは結構凄いことでもある。



そしてそれは私だけではなく・・・



「お姉様方!!
俺の予定も聞いてくださいよ!!」



総合職として入社をし、別の支社で働いていた田代も同じだった。



「田代君ね~・・・。」



「田代君も向こうの営業所では“純”って呼ばれてたらしいね?」



「向こうの同期からは“凄く格好良い子だよ”って聞いてたけど・・・。」



「「「“結構格好良い”、かな~。」」」



田代と私よりはお姉さんだけど比較的に若そうなお姉さん達が田代に向かってそう言った。
さっき自己紹介を終えたばかりなのに田代の扱いはもうこんな感じになっている。



「先輩方・・・!!聞いてくださいよ!!
こいつとは幼稚園の頃からの幼馴染みなんっすけど、昔から俺はこんな人生なんです!!
たった2年間の営業所生活、こいつと別れててめちゃくちゃ幸せでした!!
誰っすか!!俺をこいつと同じ年に同じ部署に配属させた人は!!」



「それは部長である俺だけど、人事部からの田代の資料では、“園江と同じ所に”とか“競争心でもっと頑張れる”とか書いてあったから同じ部門にと配慮したんだが。」



「・・・あざっす!!
おっしゃる通り、俺・・・頑張ります!!」



田代の言葉に男女問わず和やかな笑い声が起き、4月1日のピリッとした空気はとっくに消え去った。



「歓迎会なんですけど、明日は必ず出席します。
今日はどうしても引き継ぎ切れなかった先があって、部長にも了承を貰い夕方からそちらに行ってきます。」



「俺もです!!
俺らの異動、凄く急でしたよね!?」



「異例だったからな。
若い男女の意見を取り入れてみようという社長からの指示だ。」



「俺・・・女じゃないっすよ?」



「それは俺も驚いた。
まさか男の子が2人来るとは・・・!!」



「あ~!部長、それはセクハラですよ~!!
最低~!!純、気にしないでね?」



「いつものことなので大丈夫です。」



笑顔を作りながら返事をした。



いつものことだったから。



こんなの、本当に昔からのことだったから。



日に日にこの胸の痛みは何故か増していく気がするけれど、それに気付かないフリをして笑い続けた。
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