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勇気を出して言ったのに、一成は何も言わなくて・・・
それにも不安になり、恐る恐る一成を見上げる。



「・・・なんで、そんなに嬉しそうなの?」



「嬉しいね、こういうのは・・・嬉しいやつなんだね。」



一成はそう言って、また私を少し強めに抱き締め・・・



「うちのシャンプーで、洗ってくる!」



と、急いでお風呂場に向かって行った。
私は笑いながら、一成のシャワーの音を聞き、料理を温めていく。



冷蔵庫から冷やしていたサラダとりんごを取り出し、ローテーブルに並べる。
白米をよそい、そこにトンカツをのせ・・・カレーをかけていく。



一成のは大盛りにしたけれど、私は少しだけ。
今は、つわりだから仕方ない。



一成がシャワーを止めたタイミングで、大きなコップに牛乳をたっぷり入れて、ローテーブルに置いた。



そのタイミングで、一成がお風呂場から出てすぐに着替え・・・嬉しそうな顔でローテーブルに並ぶ料理を見下ろしている。



「今日は、カツカレー。」



「夢のような食べ物だよね!
さっき帰ってくる時にカレーだって分かった瞬間、カツがあるか楽しみにしてた!」



「でも、今日のトンカツはスーパーで買った物で・・・。」



念の為、報告をすると・・・一成が嬉しそうな顔で頷き、座った。



ご飯を食べ終わった後、私は・・・
一成に今までで言わなかったことを、話そうとしている。
それで一成がどう思うかは、今想像することではないからやめておく。



そう思って・・・



食べ始める一成を待ったけれど・・・



一成はカツカレーを嬉しそうにジッと眺めるだけで・・・



小さな声で、呟いた・・・




















「やっと、瑠美が“俺のお母さん”になった・・・。」












瑠美side......
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