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「武田先生、こんにちは。
夏休みなのに珍しいですね?」



「うん、ちょっとね。」



カヤが武田先生にも声を掛けながら俺の方に歩いてきた。
カヤと自然と目を合わせながらお互いに笑い合い、俺も帰る支度を始める。



「そうだ、会長!
今日は“ゆきのうえ商店街”で夏祭りをやるみたいだね。
2人で行ってくるの?」



「いえ、いきません。」



カヤが即答し、それには少しだけ驚いた。
俺がカヤと一緒にあの商店街に行きたくないと思っている話はまだしていないのに、そう返事をしていたから。



それに・・・



「人も沢山来るだろうし俺行こうかな。」



俺に確認もせず即答されたことに少しだけショックも受けた。



「私は行かないからニャン1人で行ってきなよ、毎年凄い賑わいだよ。」



「俺1人で行くかよ。
帰り道だろ?少し付き合えよ。」



「ファミレスで夜ご飯だったら付き合うよ?」



「まあ、それでもいいけど。」



高校から最寄り駅の途中にあるファミレスでいつものように俺の夜ご飯に付き合ってくれるカヤ。



「あ、氷忘れた。」



「今日は氷かよ!!
自分で入れにいけよ!?
そんなんで生徒会長大丈夫なのかよ?」



「うん、たぶん。」



少し疲れた様子でフニャッと笑いながらアイテープのない目を三日月にして笑った。



「大丈夫か?生徒会忙しい?」



「それは大丈夫だけど、少し疲れやすいんだよね。
ニャンの前だと気が抜けちゃう。」



俺の母さんの口癖、“気を抜かないように”。
誰よりも早起きをして化粧と家事をして、そして誰よりも遅く寝る。



「気は抜ける時に抜いた方がいい。
母さんと兄貴は気を抜かなすぎて、一緒にいる家族の俺まで疲れる時あるからな。」



「そうなんだ?
じゃあニャンの前ではいっぱい気を抜かせて貰おう。」



カヤがクスクスと嬉しそうに笑う顔を見て、俺は飯を掻き込んだ。
何となく恥ずかしい気持ちにもなって。
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