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運動神経は良かったけれど運動部には入らなかった。
絵を描くことが俺の日常になっていて、俺が描く母さんの絵を見る父さんの嬉しそうな顔が好きだったこともあると思う。
俺は身体を動かすよりも絵を描きたかった。
体育の授業はテキトーに受けていたし、本気で走ったのなんて最後がいつだったかも覚えていない。
心臓が痛くなってくるくらい、今は本気で走っている。
「じいちゃん・・・!!
国光さんの家って、どこ・・・!!!?」
大きくなってから初めて足を踏み入れた“ゆきのうえ商店街”。
アーチをくぐりすぐの所にある母さんのじいちゃんの本屋に入り、本の整理をしていたじいちゃんに聞いた。
「夏夜、正月にお前の家で会った以来だなぁ。
今度大学の入学祝いに行くからな。」
「分かったから・・・!!
国光さんの家ってどこか知ってる!?」
「国光さんって、あの神社の国光さん?」
「そう・・・!!」
空気を必死に吸いながら言葉を出していく。
スマホを握り締めながらじいちゃんを見ると、じいちゃんは少しだけ考えた様子になり・・・
「家までは知らないな。」
そう言って・・・
「ばあちゃん・・・!!
神社の神主の国光さんの家がどこか知ってる・・・!?」
今度は父さんのばあちゃんがいる駄菓子屋に勢い良く入ると、ばあちゃんがキョトンとした顔で俺のことを見てきた。
「夏夜、やっとお父さんから商店街に行っていいって言われたのか!
あそこの肉屋のメンチカツが美味しいから食べていきな!」
「分かったから!!
ばあちゃん、国光さんの家がどこか知ってる!?」
「“神様”の?神社だろ?神様なんだから。」
「んなわけねーだろ!!人間なんだから!!」
「それは分かってるよ!!
でも“神様”に用事がある時はいつも神社で会えるんだよ!!」
ばあちゃんが怒鳴りながらそう答え、それに食い下がった俺に文句を言いながらも商店街の人達にも聞いてくれた。
でも・・・
誰もカヤの家を知っている人はいなかった。
「神社に住んでるんじゃないの?」
そんなことを口々に言っていた。
絵を描くことが俺の日常になっていて、俺が描く母さんの絵を見る父さんの嬉しそうな顔が好きだったこともあると思う。
俺は身体を動かすよりも絵を描きたかった。
体育の授業はテキトーに受けていたし、本気で走ったのなんて最後がいつだったかも覚えていない。
心臓が痛くなってくるくらい、今は本気で走っている。
「じいちゃん・・・!!
国光さんの家って、どこ・・・!!!?」
大きくなってから初めて足を踏み入れた“ゆきのうえ商店街”。
アーチをくぐりすぐの所にある母さんのじいちゃんの本屋に入り、本の整理をしていたじいちゃんに聞いた。
「夏夜、正月にお前の家で会った以来だなぁ。
今度大学の入学祝いに行くからな。」
「分かったから・・・!!
国光さんの家ってどこか知ってる!?」
「国光さんって、あの神社の国光さん?」
「そう・・・!!」
空気を必死に吸いながら言葉を出していく。
スマホを握り締めながらじいちゃんを見ると、じいちゃんは少しだけ考えた様子になり・・・
「家までは知らないな。」
そう言って・・・
「ばあちゃん・・・!!
神社の神主の国光さんの家がどこか知ってる・・・!?」
今度は父さんのばあちゃんがいる駄菓子屋に勢い良く入ると、ばあちゃんがキョトンとした顔で俺のことを見てきた。
「夏夜、やっとお父さんから商店街に行っていいって言われたのか!
あそこの肉屋のメンチカツが美味しいから食べていきな!」
「分かったから!!
ばあちゃん、国光さんの家がどこか知ってる!?」
「“神様”の?神社だろ?神様なんだから。」
「んなわけねーだろ!!人間なんだから!!」
「それは分かってるよ!!
でも“神様”に用事がある時はいつも神社で会えるんだよ!!」
ばあちゃんが怒鳴りながらそう答え、それに食い下がった俺に文句を言いながらも商店街の人達にも聞いてくれた。
でも・・・
誰もカヤの家を知っている人はいなかった。
「神社に住んでるんじゃないの?」
そんなことを口々に言っていた。
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