【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

Bu-cha

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「私のバージンはこの人に貰ってもらいました。
でも、名取剛士にでも天野剛士にでもありません。
“アヤメ”さんに貰ってもらいました。」




「“アヤメ”さん・・・?」





副部長が困惑した顔で剛士君を見た。





「“アヤメ”さんは私の憧れの女の人。
この人が生まれた時から父親に強要されていた女の姿の時の名前。
私は“アヤメ”さんにバージンを貰ってもらった。
そして・・・」





言葉を切ってから剛士君を見上げる。





「私が“アヤメ”さんのバージンを貰った。
大丈夫、7歳の時に父親から傷つけられた身体中の傷は全て塞がってる。
私のお父さんが・・・有名なカメラマンでもあるお父さんがカメラを通して見たので間違いないから。
それに、その娘である私が見た“アヤメ”さんは綺麗だった。
とてもとても綺麗だった。」




困った顔で笑い続ける剛士君に私は笑顔を返す。




「私のバージンはアヤメさんに貰ってもらった。
アヤメさんはとてもとても綺麗だったし、私は憧れの女の人からバージンを貰ってもらえて幸せだった。
ありがとう、アヤメさんでもあった剛士君。
あの日私はお礼も何も言えなかったから・・・。
やっと言えた、ありがとう。」




「・・・こんな大勢の前でそんな話すんなよ。
瞳まで気持ち悪い奴になるだろ。
気持ち悪くて汚いのは俺だけで充分だろ。」




「アヤメさんは気持ち悪いどころか美し過ぎて。
あんなに美しい女の人を私は見たことがないです。
もう1人の憧れの女性でもアヤメさんほどではなくて・・・」




私がそう言った時・・・




音が聞こえた・・・。





珈琲店の静かな店内の中ではなく、店の外の方から・・・





懐かしい規則正しいその音と共に・・・





風が・・・





風が吹いた・・・。





1番奥の部屋、風なんて吹かないはずなのに・・・





暖かくて大きな大きな・・・





大きな大きな・・・





風が吹いた・・・。






瞬きをしても誰も何も揺れる物がなかったので、本当に風が吹いたわけではないと分かった・・・。
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