【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

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翌日、月曜日・・・



「おめでとうございます！！」



珈琲店のキッチンカウンター、そこでアイスコーヒーを渡そうとすると・・・剛士君のことになるとキツイはずの若い女の子から急にそんなことを言われた。



「結婚！！剛士君と結婚したんですよね！？」



敬語でそう聞かれ、私は苦笑いで頷いた。



「剛士君が体を張ってお父さんを会社の社長から引きずり下ろして・・・我が社の女王様の戻る先を見付けてくれたんですよね！！」



「そう・・・なんですかね？」



「そうらしいですよ！！
社内で有名な話ですから！！！」



企画部の副部長から剛士君がお父さんからされていた話をバラされてしまい、どうなることかと思ったけど・・・
翌日にはこんな話になって社内を回っていた・・・。
間違いではないのだけど、随分と短く綺麗な話にまとまっていた。



もしかしたら、私でも分かりやすい資料を作った忍者さんのお陰なのかもしれない・・・。



「その剛士君を支えてくれていた人って、笠原さん・・・天野さん有名ですよ！！」



「そうなんですか・・・！？」



それは初耳なので驚いていると、若い女の子が私を尊敬するようなキラキラとした目で見てくる。



「我が社の女王様と結城支社長の馴れ初めを最初からプロポーズまで見守って、プレゼントまで1番最初に渡した人ですもんね！？
本当に尊敬します！！！」



それについても間違ってはいないけど、事実とは結構違う・・・。
あの話をこんなに美談に出来るのだと勉強になった。



それには自然と笑顔になり、目の前の若い女の子を見詰め瞬きをする。



そして、女の子の名前を呼ぶと・・・女の子は少し驚いた顔をした後に嬉しそうに笑った。



そんな女の子に言う・・・。



私の手に持ったアイスコーヒーに“気”を込めて、言う・・・。



「今日のアイシャドウ、いつもと違って薄い水色でキラキラしてて凄い可愛いですね？」



「あ・・・分かります？
今お盆でお休みの人も多いですし、部長も先輩も休みだからいいかなって！」



「凄く可愛いので、今日14時に来社される方にも気付いてもらえるといいですね？
珈琲店で4回打ち合わせをしたことのある方・・・」



その人の会社名と名前を言うと女の子が驚いた顔をしている。
それに笑い掛けながら込める。



「アイスコーヒーです。
もっと可愛く見える“薬”を入れておきました！！」



女の子が照れたような可愛い笑顔でアイスコーヒーを受け取り、今日はガムシロップとミルクを2つ取ったのを見送った後・・・



次の男の人が面白そうに笑いながら私の前に立った。
企画部の部長さん・・・。



「俺にも薬入れてくれる？」



年齢よりも若く見える部長さんを瞬きをしながら見て、アイスコーヒーを作る。



「1つでいいですよね？」



「そうだね、1つで。」



そして、アイスコーヒーを持ってから部長さんを見て瞬きをする。
そして、“気”を込めた。



「アイスコーヒーです。
よく気付けるようになる“薬”を入れておきました。
企画のお仕事だけではなくて、恋にも。」



「それはありがたい薬だな、ありがとう。」



「なので、今日お時間少しいただけませんか？」



私が部長さんに聞くと、部長さんは少し驚いた顔をしている。



「今日、15時から17時まで打ち合わせやアポはないようですけど、お時間ありますか？」



「凄いな・・・社員の覚えてるの？」



「1度お会いしたことがある人は部署とお名前を覚えて、先週からはスケジュールも確認させてもらっています。
それでアイスコーヒーにお薬を入れていて・・・。」



「凄い記憶力だね・・・。
16時くらいからだったら時間取れるよ。」



「ありがとうございます。
珈琲店を貸し切りにしますので、教えて貰いたいことがあります。
私に・・・教えてくれませんか？」



企画部の部長さんを見ながら瞬きをすると、部長さんは残念そうな顔をして頷いた。