【完】初めてのベッドの上で珈琲を(カットページ掲載済2023.5.13)

Bu-cha

文字の大きさ
121 / 122
10

10-6

しおりを挟む
数日後・・・




「剛士君!!おはよう!!!」



私が起きた時と1ミリも動いていない剛士君の身体を大きく揺らしながら今日も起こす。
それでも勿論今日も起きなくて・・・。



それを何度も何度も繰り返すとやっと瞼を薄く開き・・・私を見て幸せそうな顔をした。
今日も“あやめちゃん”に少し会えてタイムマシーンに乗れたのかもしれない。



「朝ご飯、食パンだけで本当にいいの?」



お父さんはまた海外に行っていて、それからは朝ご飯も作っていなくて・・・。



「食パンもいらねー・・・。
もっとギリギリまで寝てる・・・。」



三食ちゃんと食べないと死んでしまうはずの剛士君がこんなことを言い出したから。



「あ、でもアイスコーヒー1つ・・・。」



今日もそう言われ、私は自然に笑いならベッドを立ち上がった。



キッチンでアイスコーヒーを準備し、それと・・・。
両手でそれを持ってまた私の部屋へ。



オババが使っていた部屋を剛士君の部屋にしたのに、そこに荷物だけを置いた剛士君はリビングと私の部屋だけにしかいない。



私の部屋に入ると今日も勿論、剛士君はまだベッドに寝ている。
剛士君の足の方に私が座ると剛士君はやっとゆっくりと起き上がり・・・
今日も眠そうな顔で私を見ている。



それに笑いながら瞬きをし・・・



「アイスコーヒーです!!
今日の面接は午前中6件に、午後に13件・・・それと、今日こそはお仕事の後に前の部屋の荷物を少しでも片付けましょう!
弟さんが1人、家を出ようとしていて自立する良い機会ですので!!
この部屋に戻るまで眠くならず、全部を頑張れる特別な“薬”を入れました!!」



「ん・・・」



剛士君がアイスコーヒーを一気に飲み、私を見た。
今日は特別な“薬”だからか、いつもよりもっと剛士君の目に“気”が込められた。



それに笑いながら、もう片方の手に持っていた小さめなグラスを渡す。



「サービスの牛乳です!!
少なめにしてあります!!」



いつものように幸せな顔をした剛士君がサービスの牛乳を受け取り、一気に飲んだ。



「見付けてください、また。
あの大きな会社の新鮮な血となる人を、また見付けてください。剛士君。」



「見付けてくる。
俺はかくれんぼで遊ぶのが得意だからな。」



いつもの返事をした後に、剛士君がイタズラをする時の子どものような顔で笑った・・・。
そんな顔で笑う剛士君の上唇の上・・・そこに少しついた牛乳を私は瞬きをしながら指先で拭った。



「あっちの部屋の片付けもすぐに終わらせる。
早く帰って、瞳の処女貰わねーといけないからな。」



「私は処女じゃないよ・・・。」



「どっからどう見ても処女だろ!!」



剛士君が大笑いをしながら私にアイスコーヒーと牛乳が入ったグラスを渡し、勢い良く立ち上がった。



そして、私を振り返った。



「“アヤメ”と“剛士”の初めて、それに瞳の初めてを貰い続けてるこのベッドの上で飲む珈琲も牛乳も、美味いな!!
今日も我が家の珈琲店は美味すぎて、他の店で飲めねーよ!!」



「それは・・・ありがとうございました。」



恥ずかしい言葉に照れてしまうけど、下を向かずに剛士君を見て瞬きを繰り返した・・・。



そして、とりあえず言ってみた・・・。
今日も裸の剛士君に、言ってみた・・・。









「あの・・・毛、生えてきてるよね?」



「は・・・?」





剛士君が不思議そうに私の視線を辿り、自分の下半身を見下ろし・・・





「永久脱毛だぞ・・・。
マジか、信じられねー・・・。」





そして、私に視線を戻し・・・





「俺の奥さん、俺より見付けるの得意過ぎるだろ!!!」




大笑いで笑いながら、筋肉のよくついた綺麗な身体でシャワーを浴びにお風呂に向かった。




男の人だけど私より綺麗な剛士君の裸を・・・勿論、何度も瞬きをして記憶した。





だって、私は勉強不足で・・・





色々と勉強しないといけないから・・・。





言い訳とかではなくて、たぶん・・・。






昨日も私の処女を貰ってもらったベッドの上で、空っぽになったアイスコーヒーのグラスと牛乳のグラスを見下ろし笑顔になる。






アヤメさん、剛士君、私・・・
3人の初めてのベッドで、懐かしいホット珈琲とサービスのホットミルクを旦那さんに渡すのは、もう少し先の未来のお話・・・。





そんな未来を楽しみにしながら、今日も2人が1番幸せな顔でいられる写真を撮っていく。





私の瞳のレンズで・・・。





そして・・・





シャッターの音が聞こえ、そっちを見ると剛士君がスマホを私に向けていた・・・。





この毎日同じやり取りが出来る幸せを感じながら、今日もベッドから立ち上がる・・・。





少しだけベッドを振り返ると、この数日間の剛士君との写真を思い出せる。
全てを、鮮明に・・・
















「朝からそんな処女みたいな顔すんなよ!!」









今日も私は処女らしいので、夜にはまたこのベッドで初めてを貰われる・・・。














end.......
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】 その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。 片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。 でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。 なのに、この呼び出しは一体、なんですか……? 笹岡花重 24歳、食品卸会社営業部勤務。 真面目で頑張り屋さん。 嫌と言えない性格。 あとは平凡な女子。 × 片桐樹馬 29歳、食品卸会社勤務。 3課課長兼部長代理 高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。 もちろん、仕事できる。 ただし、俺様。 俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...