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25歳になる年、3月中旬



「はあ!!!?聞いてねーよ!!!!」



バサマとジサマと暮らしていた家の中、リビングのちゃぶ台にのった、ジサマが作ってくれた朝飯を吹き出しながらも俺は怒鳴った。



「だから今言ってるだろ。」



「おせーよ!!・・・じゃなくて!!!
何でこの家取り壊すんだよ!!!!
それも4月に入ったらすぐにとか急すぎるだろ!!!」



「こんなボロボロの家あぶねーだろ。
それに俺も歳だしな。
明日から老人ホームに入るから。」



「はあ!?聞いてねーよ!!!!」



「だから今言ってるだろ。」



「それも言うの遅すぎだろ!!!」



「何を騒いでんだよ。
天国に行くわけでもねーのに。」



「騒ぐだろ!!!
何1人で勝手に決めてんだよ!!!
ジサマが死ぬ時まで俺が面倒見るに決まってんだろ!!!」



「お前に介護なんてさせるわけねーだろ。」



「させろよ!!!
俺のことを育ててくれたんだから次は俺がジサマを介護する番だろ!!!」



「そんなことしてる時間があるなら、金稼いで好きな女口説いて早く幸せになれ。
それが1番のお爺様孝行だからな。」



「もう金も稼いでるし彼女もいるだろ!!
・・・結婚か。今日ちょっと聞いてみるか。」



「聞くって何だよ!
自分からプロポーズするくらい好きな女じゃないのに何が結婚だよ!!」



それを指摘され、少し考える。



「いや、プロポーズとかそういうのはねーな。
でも向こうは結婚したいみたいなことも言ってるから聞いてみる。
向こうは大丈夫だろ。」



「向こうは大丈夫でもお前は大丈夫じゃねーだろ。」



「顔は少しバサマに似てるし気持ちも頭も結構強い子だし大丈夫だろ。」



「その子の小便も大便も片付けられんのかよ?」



「そんな状況になったことねーから分かんねーよ・・・。」



「お互いに綺麗な姿しか知らないのに何が結婚だよ。
ジジイになっても一緒に暮らしていくのに何十年外面気にして生活するつもりだよ。」



それを言われてしまうと何も言えなくなる。



「その子じゃねーから早めに別れてやれ。
すぐにもう少し良い子が寄ってくるからな。」



「マジか・・・。」



話が脱線しているのに気付き、俺はジサマが作った旨い朝飯を食べながら口を開く。



「明日は俺が老人ホームに車で送っていくからな!!」



「仕事だろ?」



「無理矢理にでも有給休暇取るに決まってんだろ!!!」



「お、和泉かおりが今日テレビに出る。」



食べ終わったジサマが新聞を見ながら呟き俺の言葉を無視していた。
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