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小さくだけどそう伝えた私から朝人はパッと目を逸らした。



「確かに少しは大人になってるよな!
俺にこんなことまでお願いするようになって・・・いや、高校3年の時から誘惑しまくってきてたか!!」



「そっか・・・。
あの頃から全然変わらないね・・・。」



私も朝人も全然変わらない。
私の年齢が大人になったからか少しは手を出してくれるけれど、朝人と私の関係は何も変わっていない。



「そうだな、変わってない。
お前なんでそんなにガキなの?」



「・・・うるさいって!!老人!!」



「俺はオジサンから老人になったのにな~。
だから変わったのに、お前中身がマジでガキのまま。
・・・あっつ、開けるか。」



朝人がテントの出入口を開けると、気持ちの良い風が入ってきた。
そして、テントにつけるように敷いたレジャーシートの上に缶ジュース1本と缶コーヒー1本が置かれているのに気付き・・・。



「安部だな、差し入れのお礼だろ。」



朝人がそう言ってきて、私は慌てながら両手で口を押さえた。



「エッチなことしてるの気付いてたかな!?」



「だろうな、だからここに置いてあるんだろうし。
明日また事務所であいつから小言言われんのかよ、面倒くせー。」



朝人が缶ジュースを開けて私に渡してきてくれ、それを受け取りながらも口を開いた。



「小言どころの話じゃないでしょ!!
恥ずかしい・・・!!
34と25の良い歳した2人がこんな所で昼間から何してんの!?」



「お前結構声我慢出来てたし、他の奴らには気付かれてねーだろ。」



朝人が何でもない顔で缶コーヒーを飲み始めて、余裕のあるその姿にはムカついた。



「こんなの慣れっこなんだ!?
外でもエッチしまくってたんだ!?」



「俺を誰だと思ってんだよ。
気取った男の代表だぞ?
外でなんかやるかよ。」



「じゃあ・・・家でしてたの?
あの布団でエッチしまくってたの?」



「家に彼女なんて連れてくるかよ。
ホテルだよホテル!!」



「私もホテルに行ってみたい・・・。」



私も寝たあの布団でエッチをしていなかったことに凄くホッとしたけれど、今度は朝人とホテルに行きたくなった。



「彼氏とか旦那になった奴に連れて行ってもらえ。」



そう言われてしまい言い返したい気持ちにもなったけれど、少しは大人になっているはずなので缶ジュースを飲んで言葉を飲み込んだ。



「千寿子、お好み焼き食わせて。」



朝人が何故か怒った顔でお好み焼きが入ったパックと私が使っていたお箸を渡してきた。
怒りたいのは私なのに。



「疲れたからちょっと寝る!!
本物の老人じゃないんだから自分で食べて!!」



「なんだよ、俺に食わせるくらいいいだろ!?
俺はお前をあんなにスッキリさせたのに!!」



「全然スッキリしてない!!」



「それは嘘だろ!!」



テントの中に横になり目を閉じると・・・



「・・・まっっず!!!」



冷えたお好み焼きを自分で食べたであろう朝人の叫び声が聞こえてきた。
味が濃いどころではなく不味かったらしい。
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