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数日後、お盆
今日は、高校からの友達である会長を含めた4人で夕方から都内のビアガーデンに来た。
「「「「かんぱ~い!!!」」」」
暑い中で飲むビールは美味しく感じた。
皆でグビグビと飲み・・・
「会長、職場はどう?」
今日も可愛い顔をしている会長に聞くと、会長は私の顔だけをジッと見詰めて答えてきた。
「平和で良いよ!みんな良い人達だし。」
「会長は公務員とか大企業に勤めるのかと思ってたのにな。
小さな会計事務所に決めたって聞いてビックリしたよ。」
友達の1人の言葉に私ともう1人の子は頷いた。
「小さな事務所だけど顧問先は結構豪華だったり勢いが良かったりするよ?
なにより所長が格好良いし。」
会長が珍しく男の人のことについてそう言った。
それにはみんなで驚いていると、会長がパッとスマホの画面を見せてきた。
みんなにではなく、私にだけ。
それを見て・・・
それを見て・・・
若松さんが見せたスマホの画面と同じくらい驚いた。
だって、いたから。
いたから。
朝人が、いたから・・・。
「え・・・!?めっっっちゃ格好良いんだけど!!」
「何歳!?独身!?」
「今年32歳だったかな?
独身、彼女募集中。
大手監査法人出身で仕事も凄い出来る!」
「え~、会長が男をそんなに褒めるの珍しい!
好きなの?・・・あ、もう本当は付き合ってる?」
「ないない、私だけじゃなくて向こうもない。」
会長とみんなが話している声を聞きながら私は驚きすぎて何も言葉が出てこない。
そんな私を会長は不思議と光る目で私のことを真っ直ぐと見詰めてくる。
この時の会長の顔を見て・・・。
たまになる会長のこんな時の顔を見て・・・。
私は笑いながら会長に聞いた。
今日は、私が朝人と会うことが出来る為の日でもあるのだと気付きながら。
会長は“普通”の女の子ではないから。
だから私の力なんて微々たるものだろうけれど、それでも聞いた。
「会長ってまだ彼氏いらないの?
こんなに可愛くてモテるのに誰とも付き合わないんだもん。
あ、でも高校の時に1人だけ良い感じの男子がいたよね?
てっきり内緒で付き合ってるのかと思ってたけど付き合ってなかったっていう男子!」
私の言葉に会長は鋭く目を光らせた。
“会長”は普通の女の子ではない。
だって、私は会長の名前を思い出せない。
いつも会長の名前を思い出せない。
その男子だけが呼べていた。
会長の名前をその男子だけが呼んでいた。
あの男子の名前は何だったか・・・。
若松さんから聞いたのにまた忘れてしまった。
あの男子の名前も思い出せない。
それだけではなく、あの男子の存在を何故か今まで忘れていた。
若松さんにスマホの画面を見せられるまで忘れていた。
そんな“普通”ではない2人を会わせようと若松さんと協力をし、今日はこれから若松さんがその男子を連れてこの店に来る。
でも・・・
「そうだ、明日うちの所長が増田ホールディングスに行くんだよね。
私のお姉ちゃんが増田財閥の次男と付き合ってて、私のお父さんは増田財閥の子会社の社長秘書もしてる関係で、増田ホールディングスの顧問になることになって。」
帰り道、会長からのその言葉には思わず小さな声になった。
「ありがとう、会長・・・。」
会長とあの男子を会わせたことを心配しながらも、会長にお礼を伝えた。
今日は私に朝人を会わせてくれる為だけの日になってしまったかもしれないから。
「あの気持ち悪い人、私の従兄なんだよね。
明日見掛けたら声を掛けてあげて?」
会長が元気なく笑っていた。
今日は、高校からの友達である会長を含めた4人で夕方から都内のビアガーデンに来た。
「「「「かんぱ~い!!!」」」」
暑い中で飲むビールは美味しく感じた。
皆でグビグビと飲み・・・
「会長、職場はどう?」
今日も可愛い顔をしている会長に聞くと、会長は私の顔だけをジッと見詰めて答えてきた。
「平和で良いよ!みんな良い人達だし。」
「会長は公務員とか大企業に勤めるのかと思ってたのにな。
小さな会計事務所に決めたって聞いてビックリしたよ。」
友達の1人の言葉に私ともう1人の子は頷いた。
「小さな事務所だけど顧問先は結構豪華だったり勢いが良かったりするよ?
なにより所長が格好良いし。」
会長が珍しく男の人のことについてそう言った。
それにはみんなで驚いていると、会長がパッとスマホの画面を見せてきた。
みんなにではなく、私にだけ。
それを見て・・・
それを見て・・・
若松さんが見せたスマホの画面と同じくらい驚いた。
だって、いたから。
いたから。
朝人が、いたから・・・。
「え・・・!?めっっっちゃ格好良いんだけど!!」
「何歳!?独身!?」
「今年32歳だったかな?
独身、彼女募集中。
大手監査法人出身で仕事も凄い出来る!」
「え~、会長が男をそんなに褒めるの珍しい!
好きなの?・・・あ、もう本当は付き合ってる?」
「ないない、私だけじゃなくて向こうもない。」
会長とみんなが話している声を聞きながら私は驚きすぎて何も言葉が出てこない。
そんな私を会長は不思議と光る目で私のことを真っ直ぐと見詰めてくる。
この時の会長の顔を見て・・・。
たまになる会長のこんな時の顔を見て・・・。
私は笑いながら会長に聞いた。
今日は、私が朝人と会うことが出来る為の日でもあるのだと気付きながら。
会長は“普通”の女の子ではないから。
だから私の力なんて微々たるものだろうけれど、それでも聞いた。
「会長ってまだ彼氏いらないの?
こんなに可愛くてモテるのに誰とも付き合わないんだもん。
あ、でも高校の時に1人だけ良い感じの男子がいたよね?
てっきり内緒で付き合ってるのかと思ってたけど付き合ってなかったっていう男子!」
私の言葉に会長は鋭く目を光らせた。
“会長”は普通の女の子ではない。
だって、私は会長の名前を思い出せない。
いつも会長の名前を思い出せない。
その男子だけが呼べていた。
会長の名前をその男子だけが呼んでいた。
あの男子の名前は何だったか・・・。
若松さんから聞いたのにまた忘れてしまった。
あの男子の名前も思い出せない。
それだけではなく、あの男子の存在を何故か今まで忘れていた。
若松さんにスマホの画面を見せられるまで忘れていた。
そんな“普通”ではない2人を会わせようと若松さんと協力をし、今日はこれから若松さんがその男子を連れてこの店に来る。
でも・・・
「そうだ、明日うちの所長が増田ホールディングスに行くんだよね。
私のお姉ちゃんが増田財閥の次男と付き合ってて、私のお父さんは増田財閥の子会社の社長秘書もしてる関係で、増田ホールディングスの顧問になることになって。」
帰り道、会長からのその言葉には思わず小さな声になった。
「ありがとう、会長・・・。」
会長とあの男子を会わせたことを心配しながらも、会長にお礼を伝えた。
今日は私に朝人を会わせてくれる為だけの日になってしまったかもしれないから。
「あの気持ち悪い人、私の従兄なんだよね。
明日見掛けたら声を掛けてあげて?」
会長が元気なく笑っていた。
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