【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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私がそう答えると隼人は乾いたような笑い方で笑った。



本当は、透はウジウジとしていて・・・。
「俺が何かしたのかな?」とか姫には言わないけど私には言ってくる。
でも、私が変に口を出して良い問題でもなさそうなことは分かるので。
ウジウジウジウジした後にいつも最後に言う透の言葉だけでも伝えておく。



そして、今日は2時間くらい勉強をさせてもらい、途中で簡単な夜ご飯も作り隼人が食べて・・・。
23時過ぎに隼人が運転する車で我が家まで送ってくれた。



「デカイ屋敷だよな~。」



隼人が我が家を見ながら今日もそう言う。
小学校から大学4年生の途中まで、隼人は我が家によく来ていた。
私の従兄弟の透にお父さんが色々と教えていたのだけど、友達として連れてきた一般家庭の隼人の方にお父さんは目をつけていて。



大学生にもなると夜遅くまでお父さんの書斎で2人で話していることも多かった。
でも、隼人はお父さんに染まりきっていない。
お父さんの教えと隼人の人生経験が上手く溶け込み、融合されているように思う。
そんな隼人からの教えは、私にとって刺激的で魅力的なものばかりだった。



隼人にお礼を伝え車の助手席を降りた。



降りた・・・



その時・・・



「女子高生、こんな時間に帰宅で大丈夫?」



と・・・。



そんなことをすぐ後ろから言われて、振り向くと・・・。



24歳の男の人が。



「勉強をしてたの!!!」



「勉強?」



そう言いながら助手席の扉から運転席の隼人を覗いている。



そしたら、そんな24歳の男の人を、隼人が・・・



「・・・小町の屋敷の居候って、“加賀の若き天才”かよ!!!」



と・・・。
そんな呼び方をした。
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