【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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一夜からそう聞かれ、私はすぐに頷いた。



「そうだよ、その為だけに生まれてきた。
それで結子を守る為だけに育てられてきた。」



「そんな風に育てられて、寂しかったり悲しかったりしませんでしたか?」



「そんなこと何も思ったことがない。
本当だったら結子が持っておくべき必要な物が、同じお腹にいた私の身体に入っちゃったんだと思う。」



「強くて逞しいですからね、翔子さんは。」



そんな一夜からの言葉に私は頷いた。



「どうして、お父様は翔子さんをこの会社で働かせているんですか?」



「ドレスを着てないからでしょ、私は。
営業は足が基本だからね、ドレスにヒールだと歩けない。」



「パンツスーツにパンプスですけどね、スニーカーじゃなくて。」



「スニーカーでいいならスニーカーにするけど、でも今は結子もいないしローヒールのパンプスで充分。」



「そうですね、それでも充分ですね。
それでも入社2年目には営業でトップになりましたからね。」



「そんなの余裕のよっちゃん。」



「たまに言うそれ、何ですか?」



「うちの父親がよく言ってる。」



「あのお父様が?想像出来ませんよね。」



「母親なんてもっと強いから。
よくぶっ飛ばす連呼してるよ?
結子と結婚して外に女でも作ったら、私より先に母親にぶっ飛ばされるから覚悟しなさいよ。」



一夜が結子のことが好きなのは知っているけれど、そう言った。



一夜がどんな目で結子を見詰めているか私は知っている。



この前のフランス料理を食べたのは結子、その後に夜にまた会った時は私が結子になった。
その日は夜に譲とのデートがあったから、私と結子は交換っこした。



そして、クソジジイとの孫会を結子として出席した後に一夜に会った時、その時も私が結子になった。



だから知っている。



私は一夜がどんな目で結子を見ているのか知っている。



私には見せたことがない激しい愛情の目で結子を見詰めるその目を知っている。



「浮気と不倫はご法度だからね、俺はそんなことを絶対にしませんよ。
本当に好きな女の子と、覚悟を決めたセックスしかしないように父親から何度も言われているので。
なので俺、ずっと誰ともそういうことをしていませんでしたし。」
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