【完】好き好き大好きの嘘

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高校3年生、夏



今日は私の家に集まり、“駿と雪”だけではなく増田君や和も一緒になって形にしていく。
“ゆきのうえ商店街”を中心として増田君の幼馴染み達が出すお店について、形にしていく。



幼馴染み達の中、大学に進学をするのは“駿と雪”だけ。
他の幼馴染み達は高校を卒業後は自分のお店を経営することになっている。



「家賃を結子のお父さんが安くしてくれてるから本当にありがたい！」



キミヨが満面の笑みでそう言ってくれ、私は頷く。



「永家にとっても利益に繋がるからね。
街が栄えることによって永家が所有出来た不動産の価値は上がっていくから。」



“掘り出し物”
お父さんはあの街をそう表現した。
それは物件についての“掘り出し物”という意味だけではなく、この子達をセットにしての表現なのだと分かる。



あの街にはこれから多くの人達が集まる。
幅広い年齢層の人達が“ゆきのうえ商店街”を中心に集まるようこの子達が形にしていくから。



そこに、永家が建てる物件にもっと人が集まってくる。



“ゆきのうえ商店街”は終わるどころか大きくなっていく。
永家の“巨大なモンスター”とともに、大きくなっていく。



予想外だったはず。
もう1つの財閥はこんなことになるとは予想外だったはず。



“駿と雪”を中心に、和まで加わった。
永家財閥の本家の長男でもおかしくなかった男が、加わった。
そして・・・“全然似てない”と言われ続ける私の双子の妹までたまに加わる。
永家の知識全てを詰め込まれたような翔子も。



みんなを眺めながら、私は怖いくらい真剣な顔をしている増田君の横顔を見る。



“ゆきのうえ商店街”に力を与えようとしている。
自分の力で偉くなった時、そこに“ゆきのうえ商店街”があるように。
大好きな幼馴染み達のカラフルな夢が詰まった場所であり続ける為に。



増田君も“ゆきのうえ商店街”に力を与えようとしている。