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「夏生、お酒飲んでる・・・?」



「飲んでない。ごめんね・・・?」



夏生が泣きそうな顔で、俺を見る。



「私・・・全然覚えてなくて。
でも、さっき走りながら考えたの。
なんで、私が“お嫁さんに”って言ったのか。」



夏生の、強くて大きな目から、涙が流れてくる。



「私、男みたいだから・・・。
小さな時から、気付いた時から、私は男みたいだったから・・・。
だから、私は・・・誰の“彼女”にもなれないと思ってた・・・!!」



「夏生は、可愛いよ・・・。
1番、可愛い。」



俺がそう言うと、夏生は嬉しそうに笑った。



「シューは、私があんなに男みたいな時から、そう言ってくれた。
そんなこと言ってくれるの、シューしかいないの、シューだけなの。」



夏生が、落ちていた桜の花をゆっくりと拾った。




「“私”を、見てくれるのは、シューだけなんだよ。」




俺の左手を取り、ゆっくりと持ち上げる・・・。




「あんなに大きくて、ゴツゴツした私の手を取って、それでも“可愛い”って言ってくれるのは、シューだけ。」




夏生のその強い目が、更に強さを増し、俺を見詰める。
動けなくなる。
ゾクゾクとして、鳥肌が立つ。




「誰よりも可愛い顔・・・」



「夏生・・・?」



「誰よりも可愛い顔の、シュー・・・。
私のことを“可愛い”と言ってくれる、誰よりも可愛い顔のシュー。
そんなシューの“彼女”には、なれない。
だって、私・・・男みたいだから。
私、手が・・・あんなに大きくて、男みたいで・・・!!」



「夏生・・・」



「“お嫁さん”に、なってほしかったんだと思う。
言葉のままの意味だと思う。
私が“彼女”になれなくても、誰よりも可愛い顔のシューなら、男の子でも、“お嫁さん”になれると思ったんだと思う。
そしたら、ずっと一緒にいられるから・・・。」




俺の左手の薬指に、





夏生が、桜の花を乗せてくれた・・・。






「シュー、私の“お嫁さん”になって?
ずっと一緒にいたい・・・私、シューとずっと一緒にいたい・・・!!」




宗side.....
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