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「で、どうする?
給与面なんかの細々とした条件は、ここに書いてある。」



私は、テーブルに出された紙をチラリと見て、すぐに副社長に視線を戻す。



「副社長の指示に、会社の指示に、従います。」



その言葉に、副社長は少し驚く。



「私は、“KONDO”の社員なので。」



そう言い切った私に、副社長はまた笑いながら、私を睨み付けた。





「桐谷さん、クリアファイル・・・あ、大丈夫、自分で取ります。」



副社長は自分で急いで立ち上がり、さっきの書類をクリアファイル・・・“KONDO”のクリアファイルに入れ、私に渡してきた。



「青田さんの気持ちは分かった。
ご両親ともよく話し合って、あとは、“shu-”君とも。」



クリアファイルを受け取りながら、私も立ち上がる。



「青田さんがこの条件を飲んでくれなくても、“shu-”君には“KONDO”の新モデルとして契約したから。」



「え!?」



「俺は、“shu-”君が契約したとなれば青田さんも絶対条件を飲むと思ってたが・・・。
“shu-”君が、どうするかは君の意思を尊重して欲しいと何度も言ってね。
その条件を飲むなら、自分は“KONDO”と契約するって・・・」



副社長が、本当に面白そうに、声を上げて笑う。



「神崎社長があんなに感情を丸出しにしながら何やら言ってるの、初めて見たぞ?
神崎社長は、青田さんにもバラエティーなんかにも“shu-”君と一緒に出したかったみたいだけど、それは勝手に俺と“shu-”君でナシにした。」



「そうですか・・・。」



「彼、一見可愛いだけの男の子なのに、じゃじゃ馬で見ていて飽きない。
久しぶりに、面白い子達と仕事出来そうで、今から楽しみだ。」




副社長が満足そうに笑った時・・・




「副社長、忘れてますよ?」




と、桐谷さんが副社長の前に何かを差し出し・・・




「・・・あ!そうだった・・・。
あの、青田さん・・・これ・・・」




と、私にソーッと、何かを渡してきた。




見てみると、それは白紙の色紙で・・・





「申し訳ないんだが、“shu-”君に書いてもらいたい・・・。」



「サイン・・・ですよね?」



「うちの奥さんが、好きで・・・。」



「意外ですよね~?芸能人とか、サインとか、全然興味なさそうなのに。」



「なんでも、俺に似ているとかで・・・」



「どこがですか!?どこも!!なにもかも!!!似てないですって!!!・・・イタタタ・・・」



興奮した桐谷さんがお腹を抑え、副社長がオロオロとしていた。




夏生side.....
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