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私の返事にお兄ちゃんは満足そうに笑った。
満足そうに笑って・・・“お兄ちゃん”の方を見た。



お兄ちゃんのその笑顔を不思議に思いながらも、“お兄ちゃん”の方を見る。



つられて、“お兄ちゃん”の方を見る。



そしたら、“お兄ちゃん”が口を開いた。



優しく笑いながら、口を開いた。



「今日は、りーちゃんにお願いがあって来たんだ・・・。」



「お願い?“お兄ちゃん”が?」



「うん、僕が・・・。
初めてりーちゃんにもお願いをするよ・・・。」



「・・・誰かにお願いしたことあるの?」



「うん、鮫島君に・・・。」



その返事を聞いて、私はイライラとした。



「何でお兄ちゃんにお願いなんてしてるの!!?
私にはしたことないのに!!!」



私がそう噛み付くと、“お兄ちゃん”は面白そうに笑って頷いた。



「今回・・・。
今回、鮫島君にお願いをしたよ・・・。」



「今回?」



私は首を傾げながらお兄ちゃんのことを見る。
スマホを片手に持っているお兄ちゃんのこと。



「動画撮るのお願いしたの?」



「うん・・・。」



「撮らないでよ、私こんなに太っちゃって全然可愛くないし。
スキンケアもドライヤーもしてないし。」



私がそう言うと、お兄ちゃんは珍しく少し下を向いた。
少し困った顔をしながら、両手でお母さんのノートを抱き締めている私の手元を見ながら。



それからまた私の方を見て、口を開いた。



優しく笑いながら、口を開いた。



「僕をりーちゃんの“お兄ちゃん”にして欲しい・・・。」



そう、口を開いた・・・。
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