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「第2皇子を匿い、国王として必要な教育を・・・?
今王宮で何が起きている?」 



男がそう聞いてきたかと思ったら、男が右手を伸ばしこっちに向けてきた。



「いや、聞かないでおく。
ここはインソルドとインラドル、知らない方が守れるモノもあるから聞くのは止めておく。」 



そんなことを言った男にお父様が面白そうに笑い、俺の背中をゆっくりと押してきた。
その手に誘導されるように俺は前に出て、泣き続けている第2皇子を男の方に見せた。



「そんなに泣いて可哀想に。
早く乳を飲ませてやるぞ。
インソルドに丁度乳が出る女がいるから早く来い。」



その言葉には驚いていると、男が物凄く驚いた顔をしながらお父様と俺の顔を交互に見ている。



「何だよ?」



「え、だってこの子・・・黒髪持ちだから。」



「そうな、黒髪持ちみたいだな。」



「それだけ・・・!?
黒髪持ちは国を滅ぼそうとするって・・・。
どんな厄災が降りかかるか分からないって・・・。」



「だから民がいないここを選んだのか。
ここは無理だ、生き物がいられる場所ではない。
早くインソルドに来い。」



「いいのか・・・?
どんな厄災が降りかかるか分からないぞ?」



「俺達を何だと思ってるんだよ?
この“死の森”の目の前で生き延びてる人間達だぞ?
どんな厄災が降りかかろうとも強く生き抜くことが出来るよう日々鍛えている。」



「そうか・・・。
クラスト陛下に代わり感謝する。」



お父様が剣を腰に仕舞い、握り締めた右手を胸に置き騎士のポーズをした。
男はそれを無視するかのように俺の方を見てきた。



「5歳でユンスを殺ったか!!
もしかして実戦は初めてか!?」



「うん。」



「強い男の種が来てくれて、こっちも万々歳だ!!
俺の娘と将来くっつけたいところだな!!」



そんな言葉には何も答えずにいると、お父様が俺の頭に優しく手をのせながら言った。



「こいつは娘だ。」



「娘・・・?」



男は驚いた顔で俺の姿を上から下まで見ている。



「これにも訳があって、生まれた時から男として育ててきた。
本人は性別が女であるとは分かっている。
出来れば村では女として育ててやりたい。」



「え!?嫌だよそんなの!!
俺ドレスなんて着たくない!!!」



初めて俺を女にしようとしてきたお父様にそう抗議をすると、男が楽しそうに笑った。



「インソルドでもインラドルでも女はドレスなんて着てないぞ!!
女でも戦える人間だけしかいない!!」



それには少し安心した気持ちになりながらお父様の隣を歩きだした。



そしたら・・・



お腹を上にして寝転がっていた魔獣がゆっくりと起き上がり、俺の隣に並び歩きだした。



「黒髪持ちなうえに魔獣持ちとは、とんでもない皇子が生まれたもんだな!!」
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