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「黒髪持ちの男とは話したことがある?」
そう聞いた私にカルベルはパッと顔を明るくして頷いた。
「黒髪持ちなんて珍しいはずなのに、ステル殿下と同じ黒髪持ちの方が騎士にもう1人いるんですよ!!」
「そうなんだ・・・っ?」
それには大きく笑いながら頷く。
ステル殿下もカルベルと話す時は身分を隠していたらしいから。
大きく笑っている私にカルベルも嬉しそうな顔で笑いながら言った。
言った・・・。
その男の名前を、言った・・・。
「ソソという名前の方です!!」
そう言った・・・。
この王宮には1人しかいない黒髪持ちの男のことを・・・
ステル殿下のことを・・・
“ソソ”と、そう呼んで・・・
「最近は使ってないですけど、前はたまにここを使っていましたね!!」
そう、言った・・・。
それには何故か唇が震えてきて、何故かこの両手まで震えてきた。
震えるようコントロールなどしていないのに、何故か震えてきた。
「ソソって・・・名乗ってたの・・・?」
「はい。」
「それは昔・・・?結構前のこと?」
「初めてお会いしたのは5年前くらいですかね、僕が5歳くらいの時。
5歳の頃に今の母が拾ってくれて、コック見習いとしてそれからはここに置いてもらっていたんです。」
「5年前か・・・。」
それならその時、“ソソ”は13歳。
10歳の時にこの王宮に戻ったのでまだ3年しか経っていなかった頃。
インソルドでの記憶もまだ強く残っていたのだと思う。
でも・・・
「ソソは13歳の頃からここを使ってたの?」
震え続ける唇と両手のまま聞くと、カルベルは楽しそうに笑いながら頷いた。
「使っていましたね。」
「女と会ってたの・・・?」
「そうですね、女性とも会っていました。」
ソソは13歳の頃からここで隠れて女と会っていたらしい。
それはもう既に“ソソ”ではなかったのだと分かる。
それが分かりながらも聞いた。
聞かずにはいられないので、聞いた。
「ソソはどんな女と会ってた?」
「う~ん・・・貴族の女性ではないと思います。
侍女でもないようだったので、王宮を出入り出来る仕事をしていた女性なのかなって思っていました。」
「そうなんだ・・・。」
乾いた笑い声を出しながら、続けなければいいのに続けてしまう。
「ソソはここで女と何かをしてた?」
「それは・・・まあ・・・ここで会うということはそういうことだと思いますし。
抱き合っている所はよく見掛けていましたね。
日中でも夜でもよく抱き合っていました。」
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「黒髪持ちの男とは話したことがある?」
そう聞いた私にカルベルはパッと顔を明るくして頷いた。
「黒髪持ちなんて珍しいはずなのに、ステル殿下と同じ黒髪持ちの方が騎士にもう1人いるんですよ!!」
「そうなんだ・・・っ?」
それには大きく笑いながら頷く。
ステル殿下もカルベルと話す時は身分を隠していたらしいから。
大きく笑っている私にカルベルも嬉しそうな顔で笑いながら言った。
言った・・・。
その男の名前を、言った・・・。
「ソソという名前の方です!!」
そう言った・・・。
この王宮には1人しかいない黒髪持ちの男のことを・・・
ステル殿下のことを・・・
“ソソ”と、そう呼んで・・・
「最近は使ってないですけど、前はたまにここを使っていましたね!!」
そう、言った・・・。
それには何故か唇が震えてきて、何故かこの両手まで震えてきた。
震えるようコントロールなどしていないのに、何故か震えてきた。
「ソソって・・・名乗ってたの・・・?」
「はい。」
「それは昔・・・?結構前のこと?」
「初めてお会いしたのは5年前くらいですかね、僕が5歳くらいの時。
5歳の頃に今の母が拾ってくれて、コック見習いとしてそれからはここに置いてもらっていたんです。」
「5年前か・・・。」
それならその時、“ソソ”は13歳。
10歳の時にこの王宮に戻ったのでまだ3年しか経っていなかった頃。
インソルドでの記憶もまだ強く残っていたのだと思う。
でも・・・
「ソソは13歳の頃からここを使ってたの?」
震え続ける唇と両手のまま聞くと、カルベルは楽しそうに笑いながら頷いた。
「使っていましたね。」
「女と会ってたの・・・?」
「そうですね、女性とも会っていました。」
ソソは13歳の頃からここで隠れて女と会っていたらしい。
それはもう既に“ソソ”ではなかったのだと分かる。
それが分かりながらも聞いた。
聞かずにはいられないので、聞いた。
「ソソはどんな女と会ってた?」
「う~ん・・・貴族の女性ではないと思います。
侍女でもないようだったので、王宮を出入り出来る仕事をしていた女性なのかなって思っていました。」
「そうなんだ・・・。」
乾いた笑い声を出しながら、続けなければいいのに続けてしまう。
「ソソはここで女と何かをしてた?」
「それは・・・まあ・・・ここで会うということはそういうことだと思いますし。
抱き合っている所はよく見掛けていましたね。
日中でも夜でもよく抱き合っていました。」
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