【完】死神にウェディングドレスを

Bu-cha

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「あんた達、高校生だよね?」



その日の帰り道、豊と電車に乗っていると派手なオバサンに話し掛けられた。



「はあ・・・。」



俺が頷くと、オバサンは俺と豊のことをジッと見上げてきた。



「大学に進学する予定はあるの?」



「・・・いや、まだ高校1年なのでなんとも。
一応進学校ではありますけど。
あ、こっちの方は大学行かせようと思ってますけど。」



親指で豊のことを指差すと、オバサンは派手な口紅のついた口を笑わせた。
派手な顔面をしているからか、その口紅も似合ってはいる。



「父親みたいな言い方だね!
あんたは?
まあ・・・お金があるなら大学には行った方がいいとは思うけどね。」



そんなことを言いながら、俺に何かを渡してきた。
それを見ると・・・名刺だった。



受け取らずにそれを見下ろすと、“加瀬建築”と書いてあり・・・



書いてあり・・・



“代表取締役”と、書いてあった・・・。



「高校1年生でこんなに可愛い子達、初めて見たよ。
自分の子ども達が高校1年生だった時よりも可愛い。」



そんなことを言って、俺に名刺を押し付けてきた。
反射的にその名刺を受け取る。
そしたら、オバサンは豊にもその名刺を渡していた。



「バイトしたくなったり、就職活動が始まった時、連絡ちょうだい。」



そう言って、俺と豊を交互に見てきた。



そして・・・



俺のことだけをジッと見詰めてきて・・・



「あんた・・・でも、なんか危なそうな男にも見えるね・・・。」



今度はそう言ったかと思ったら・・・



「“普通”の可愛さではないね・・・。
あんた、戦争でも行ってきたの?」



そう聞かれ、俺は笑った。



この派手なオバサンを見下ろしながら・・・。



俺が俺を殺しているのは確かで・・・。
でも・・・。
どっちのことを聞いてきたのかは分からないけど、目が良すぎる派手なオバサンを見下ろしながら口を開く。



「最悪な戦場に行ったことがありますね、ガキの頃。
本気で俺を殺そうとしてくる奴と、生きるか死ぬかの戦いをしてきました。」



誰かに初めてこの話をした俺に、派手なオバサンは目を鋭く光らせながら微笑んだ。



「うちに来な!!
その力、勿体ないからね!!
パワーだけじゃなくて、こっちも!!」



そう言いながら、俺の胸の真ん中を左手の指先で少し触れた。
その指には、薬指に華奢な指輪が光っていて・・・



「使ってやるよ、ヘトヘトになるまで!!」



そう言った派手なオバサン・・・。



加瀬社長との出会いだった・・・。
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