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それには苦笑いをする。
「誰から何聞いた?」
「え・・・言って、いいの・・・?」
豊が困ったように笑うので、俺もそれに笑い返した。
こいつは、俺と理子の母親を追い求めた。
言葉のとおり、“追い求めた”。
その時なのだと思う。
“桃子”の話も、俺の話も、その時に聞こえたはずで。
死んだあの女は、何故か“桃子”と俺を結婚させたがっていたから。
5歳の俺に、8歳も歳上のババアと結婚させようと思っていたから。
そう思っている時、豊が飯を綺麗に食べながら俺の胸の辺りを見てきた。
それにつられるように、俺は右手で自分の胸をおさえる。
そして、口を開いた。
「すっげー苦しい・・・。」
「うん・・・。」
「でも、それでも良い・・・。
俺は、俺が幸せになることよりも、家族が幸せになる姿の方が見たい・・・。
あんな最悪な光景なんて、もう一生見たくねーから・・・。」
「うん・・・。」
豊は優しい顔で笑いながら、俺の顔を見てきた。
「でも、僕は・・・鮫島君にも幸せに、なって欲しいと・・・思うよ・・・。」
そう言われ、俺は右手を胸の所でギュウッと握り締めた。
「幸せだよ、俺は・・・。
家族がみんな幸せそうに笑ってたら、それで幸せだよ・・・。」
その言葉は、小さな声にしかならなかった・・・。
「誰から何聞いた?」
「え・・・言って、いいの・・・?」
豊が困ったように笑うので、俺もそれに笑い返した。
こいつは、俺と理子の母親を追い求めた。
言葉のとおり、“追い求めた”。
その時なのだと思う。
“桃子”の話も、俺の話も、その時に聞こえたはずで。
死んだあの女は、何故か“桃子”と俺を結婚させたがっていたから。
5歳の俺に、8歳も歳上のババアと結婚させようと思っていたから。
そう思っている時、豊が飯を綺麗に食べながら俺の胸の辺りを見てきた。
それにつられるように、俺は右手で自分の胸をおさえる。
そして、口を開いた。
「すっげー苦しい・・・。」
「うん・・・。」
「でも、それでも良い・・・。
俺は、俺が幸せになることよりも、家族が幸せになる姿の方が見たい・・・。
あんな最悪な光景なんて、もう一生見たくねーから・・・。」
「うん・・・。」
豊は優しい顔で笑いながら、俺の顔を見てきた。
「でも、僕は・・・鮫島君にも幸せに、なって欲しいと・・・思うよ・・・。」
そう言われ、俺は右手を胸の所でギュウッと握り締めた。
「幸せだよ、俺は・・・。
家族がみんな幸せそうに笑ってたら、それで幸せだよ・・・。」
その言葉は、小さな声にしかならなかった・・・。
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