【完】死神にウェディングドレスを

Bu-cha

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俺がこの病院に運ばれてすぐ、理子と真理姉が来た。
大急ぎで来てくれたからか、2人ともバラバラで。
バラバラに来て、バラバラに帰って行き・・・。



「彼女じゃねーよ、姉貴と妹だよ!!
・・・いってぇーなぁ!!!!」



「誤魔化すならもっとマシな誤魔化し方にしな!!
彼女同士が鉢合わせてトラブっても、私は何も言わないよ!!」



「あ~んなに可愛い女の子達とね~。
鮫島ちゃん格好良いし、それはモテるよね~。」



「俺も若い頃はなー・・・。」



「俺だってそうだよ!!
若い頃は、“女好きの竜”って呼ばれてたんだからな!?」



「それ、ただの女好きじゃねーか・・・いっっってぇ~・・・!!!」



痛みに悶えながら、俺はババアに聞く。



「親・・・来た・・・?
母親・・・。」



「まだ来てないよ、だから代わりに加瀬さんが色々とやってくれたんでしょ?
あんたそんな感じなのに何回もお母さんお母さんって、可愛いところあるじゃない。」



「そういうんじゃねーから・・・。
でも、社長には悪いことしたな・・・。」



「加瀬さんこそ珍しく死にそうな顔してたけどね。」



そうババアから言われ、俺は頷く。
ちゃんと点検していたはずで。
社長は従業員を何よりも大切にしている人で。
従業員の命を何よりも大切にしているような人で。
だからこそ、厳しいくらいに現場のチェックはある。



それなのに、あんな事故が起きた・・・。



あんな・・・



あんな、事故が起きた・・・。



「死んでいてもおかしくないような事故だったみたいだね。」



ババアが小さな声でそう言ったので、俺は右手で胸を少しおさえた。



「奇跡的に腕1本で済んだから・・・あんまり加瀬さんを責めないようにしてくれたら嬉しい・・・。
私の・・・元売れないアイドルのババアの、独り言だと思って聞いてちょうだい・・・。」



「そんなこと社長にするかよ・・・。
あの人には感謝しかねーよ・・・。」



そう呟きながら、右手を胸の前で握った・・・。



押された・・・。



俺は、確かにこの胸を押された・・・。



きっと、押された・・・。



その右手を離し、枕元に置いていたスマホを見る。



やっぱり、母ちゃんからの連絡はなかった・・・。



「絹枝ちゃん・・・いてーよ・・・。」



胸が痛すぎて、そう言いながらババアを見上げる。



そしたら・・・



さっきまではただのババアだったけど、白衣の天使のようなババアにも見えた。



優しく笑っていたから・・・。
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