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汚い部屋の中がもっとグチャグチャになった後、鬼2人は床にしゃがみこみ呼吸を荒げながら恐怖の顔で光一を見上げている・・・。



そんな2人の鬼に、血に塗れながらも無傷の光一が狂ったように笑い続ける。



確かに、恐かった・・・。



恐ろしかった・・・。



5歳にしては大きいだろうけど、それでも小さな男の子・・・。



そんな男の子が、どんなに捕まえようとしても捕まらない・・・。
どんなに殺そうとしても殺せない・・・。



小さな傷1つ負わせることも出来ない・・・。



そして、笑っている・・・。



笑っている・・・。



狂ったように、笑っている・・・。



恐かった・・・。



恐かった・・・。



鬼なんかよりも、ずっとずっと、恐かった・・・。



そう思いながら、狂ったように笑い続ける光一を見ていると・・・



玄関の扉が勢い良く開き・・・



喜一さんが焦った顔で入ってきて・・・



この光景を見て、目も口も大きく開けて驚き・・・



「その血・・・怪我は・・・?」



「俺は何もない。
それより、桃子。」



「何も・・・?」



「全然、何も、全くない。」



光一のその言葉に喜一さんは驚きながらも頷き、鬼2人をチラッと見た後に私の元に歩いてきた。



そしたら・・・



喜一さんの後ろから、バタバタと大人の男の人達が入ってきたのが見えた・・・。



「桃・・・。」



喜一さんが、私のことを“桃”と呼ぶ・・・。
何故か、喜一さんだけは、私のことを“桃”と呼ぶ・・・。



ほとんど裸の私の身体を、喜一さんがサッと確認していく・・・。
それに、私は両手で身体を抱き締めながら、身体を小さくする・・・。



そんな私を、喜一さんは深刻そうな顔で見下ろして・・・スッと立ち上がった。



そして・・・



「光一。」



と、光一を呼んで・・・。



「桃のこと、少し頼んだぞ。」



そんな言葉を残して、バタバタとしている大人達の中に加わっていった・・・。
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