その恋、チロが全力で応援します。

Bu-cha

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"他には?何か欲しいものある?”



チロが戻ってきたことにめちゃくちゃ安心し、めちゃくちゃ嬉しいと思いながらそう聞くと、チロは悩み始めて。



近くにあったホテルに着くまで、いや、着いても悩み続けて。



"クリスマスまでに考えておけよ。
それより今はすぐにヤらせて。”



ホテルの部屋の中で見たチロは、俺の部屋やチロの部屋の中で見るよりもずっとエロく見えて。



昔見た血まみれのマ◯コなんて1ミリも思い出せないくらいに興奮して・・・。



そして・・・



電気は消された部屋の中で、チロが最後まで気持ち良さそうな顔なんて何もしていないことへの焦りの気持ちから、チロの唇に自分の唇を初めて重ねた・・・・・・。



「何でクリスマスに指輪が欲しいって言わなかったんだよ・・・。
言えただろ、二十歳のクリスマスには言えただろ・・・。
"仕事が終わったら家に来る?
お父さんとお母さんとクリスマス会をやるけど。”とか、本当の欲しい物なんかじゃなかっただろ・・・。」



チロの二十歳の誕生日に連れてきた場所は、今日はムカつくくらいの青空の下でキラキラと輝く海が広がっている。



"星”と"青”を眺めながら、ポケットから指輪の箱を取り出した。



「青兄なんて女心も男心も分かんねーような奴なのに、何で青兄からのクソみたいなアドバイスを聞いたんだよ、俺・・・。」



青兄がチロのことを口説いた日、俺は青兄がチロのことをこれ以上口説かない為にもチロとセックスをした。



そしてチロの二十歳の誕生日、その日もチロが他の男の所へ行けないようにセックスをした。



そのどちらの時にも俺の頭の中には青兄からのクソみたいなアドバイスが思い浮かんでいた。



「青兄の声がデカすぎるんだよ・・・。
もっとよく考えれば分かっただろ・・・。
あの時の"ソレ”が何の気持ちなのか、気付けるチャンスが2回もあっただろ・・・。」



それなのに、俺はその2回のチャンスを掴めなかった。



そしてチロがいなくなってからやっと気付いた・・・。



やっと気付いたけど、もう遅い・・・。



もう遅かった・・・。



俺の隣にチロがいない砂浜で、ムカつくくらいに輝いている海を眺める。



「兄ちゃん、俺・・・俺さ、チロのことが好きだったらしいんだ・・・。
人としてじゃなく、女として好きだった・・・。
でも俺・・・チロのことを散々利用して散々傷付けて・・・チロは俺の所からいなくなった・・・。」



この歳で涙を流しながら電話をした相手は勿論青兄ではなく、青兄の弟の真白兄でも銀でもなく・・・



俺が本気で好きだった花音と付き合えて結婚までした、俺の兄貴だった。
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