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第1章 ◆ はじまりと出会いと
56. それぞれの道
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「リィちゃん、進級おめでとう。花組に行っても、また遊んでね」
「もちろんよ、クリスちゃん」
小さなお見送り会も終わり、一年生が帰る時間になりました。
リィちゃんと二人並んで、教育科の校舎を出ます。
お見送り会は、みんな泣きながらも笑顔でできました。
さみしさもあるけど、仲間が先へ進むのはとてもうれしいこと。
明日から組替えになる子は、ボロボロ泣いて帰りたくないと言っていましたが、みんなで背中を押してあげました。
みんな、それぞれの道を見つけて、それに向かって歩いていく。
最初は同じ道を歩いていても、いつかは違う道に分かれて、でもいつかどこかで再会できる。
道は違っても、友達で仲間なのは消えないから、大丈夫。
リスト先生が仲間に贈ったその言葉を胸に噛みしめながら、最後はみんなで笑い合えました。
校門へと向かう私達は、いつもより長くお話ししたくて、自然と歩みはゆっくりになります。
「リィちゃんは、いつ花組に行くの?」
「来週よ。ちょうど花組の校外学習があるから、それに合わせて組替えしたらどうかって先生に教えてもらったの」
「そっか…」
来週…もう五日もない。
休んでいた三週間がとてももったいない時間だった気がして、悔しくなります。
「…クリスちゃんは、自分のやりたいことを見つけた?」
その言葉にドキリとして、リィちゃんを見つめます。
リィちゃんの目は、いつものように優しいものでした。
そのお姉さんのような眼差しに涙が出そうになりましたが、なんとか堪えて答えました。
「…うん。見つけたよ。きっかけは、いっぱいあった……」
いつかリィちゃんが言ってくれた言葉を思い出します。
―『―――探す努力を惜しまなければ、クリスちゃんの世界はその分大きくなるはずよ』―
その言葉で、自分のやりたいことを探すのが楽しくなりました。
そう言われなかったら、きっと悩み過ぎて諦めていたかもしれません。
たくさんのことに触れて、見て、勉強して、体験したこと、それは私にとっての宝物になりました。
リィちゃん、フォルトと親友になったこと、先生達や騎士団の人達、ライゼンさんに出会えたこと。
そして、自分自身の事も。
「―――私、目指したいことがあるんだ」
自分の中に生まれたばかりのやりたいこと、今の私にできるかどうかわからないけど、初めて目指したいと思ったことです。
目指したいと勉強したいは、似ているようで、全然違う。
勉強は言ってしまえば、知識を得ることです。解れば大抵それで終わってしまいます。
それが目指すとなると全く違ってきます。知識だけで終わらないのです。
それを行動に移して、実現していかなければ全く意味がないからです。
「それが何か訊いてもいい?」
「…うーん…まだ秘密!」
「え~」
リィちゃんに訊かれて、いたずらっぽく答えると、不満な顔が返ってきました。すぐに笑ってくれましたが。
これは、私一人で決めたいことだから、もう少しだけ考えたいんです。
フォルトにも、まだ秘密かな。
「決まったら教えてね」
「うんっ、もちろんだよ!」
二人で顔を見合わせて、くすくすと笑います。
こうして一緒に過ごせる時間は、もうあまりありません。
遊びに行ったりすることはあるかもしれないけど、同じ時間、同じ場所で一緒に勉強することは、もうあと少しの時間しかないのです。
そう思うと、とてもさみしく思いました。
リィちゃんには、たくさんのことを教えてもらいました。
楽しいことも、つらいことも一緒に半分こしました。
リィちゃんは、いつも隣にいてくれた私の大切な親友です。
リィちゃんもフォルトと同じ、お母さんが言っていた一生ものの友達だと思います。
ああ、そう思うとまた涙が出そうです。
涙をこらえようとして目をぎゅっと閉じたら、不意にリィちゃんが足を止めました。
その気配で、私も目を開けて足を止めます。
「クリスちゃん、もし私の力が必要になった時は呼んでね。すぐに駆けつけるから」
とても強い意志がリィちゃんの顔に表れていました。
さっきまでのふわふわな優しいリィちゃんはいなくなって、年相応の頼れるお姉さんの顔だと思いました。
「うん。リィちゃんも、困ったときは私を呼んでね。私もリィちゃんの力になりたいから」
「ええ。必ず、必ず呼ぶわ」
リィちゃんは、私の手を引くと額をこつんと合わせてきました。
びっくりしましたが、リィちゃんの新緑の目がきれいで、離れることができませんでした。
【花よ、木々よ。我が慕い護るこの者に、いばらの道も、立ち塞ぐ樹海の前であっても、導きと護りを与えたまえ】
リィちゃんがそう言うと、額から温かい何かが流れてきました。
それは、リィちゃんの目と同じ新緑色の淡い光でした。
それが全身に広がると、リィちゃんは額を離しました。
「何が起きたんだろう?」と不思議に思いながら自分の額に手を当てれば、リィちゃんは微笑んで言いました。
「フラワーエルフの祈りよ。クリスちゃんがいつも元気でいられるように」
「…! ありがとう、リィちゃん!」
正門の近くまで行くと、フォルトが座って待っているのが見えました。
リィちゃんがフォルトを見つけると、とても穏やかに笑っていて、なんだか胸があったかくなりました。
この時、訊くのなら今だろうかと思って、前から気になっていたことを訊いてみることにしました。
「…リィちゃんは、どうしてフォルトのことを知ってたの?精霊獣だってことも知ってた?」
リィちゃんは、ちょっとだけ目を見開きましたが、答えてくれました。
「ええ。まだカイトだった時に、どうしてあんな魔力の輝きをしているんだろうって疑問に思ったことがきっかけだったわ」
「エルフの目にはどう見えたの?」
「カイトの時は、輝きを抑え込むように薄い膜のようなものが覆っていたわね。今は、何の制限もないから、とても眩しい輝きよ」
輝きを覆う…フォルトが言っていた、人間の体っていう制限なのかもしれないです。
「実はね、カイトと私、契約しようと思った時があったの」
「えっ!?」
びっくりして言葉に詰まっていると、リィちゃんは微笑んで「失敗しちゃったけどね」と言いました。
フォルトは信頼関係が必要って言ってたから、仲のいいリィちゃんと契約っていうのは不自然ではないです。…不自然じゃない、よね?
フォルトからそんな話は聞かなかったからわからないけど…失敗したってどういうことなんだろう?
リィちゃんはそれ以上何も言わなかったので、どう答えればいいのかわかりませんでした。
正門前に座るフォルトを二人で見つめていると、私達の視線に気がついたのか、フォルトがこっちに顔を向けました。
『おう。ずいぶん遅かったな?また図書室か?』
「ううん。今日はお見送り会だったんだ」
フォルトにお見送り会のこととリィちゃんが組替えすることを話しました。
フォルトは黙って聞いていて、ときどきリィちゃんに視線を向けていました。
「ふふふ。私の心配事が一つなくなったから、もう花組に行こうかなって」
『…そうなのか』
「カイト…じゃないわね、フォルト。いまさらだけど、契約おめでとう」
リィちゃんは、フォルトの首元をそっと撫でながら言いました。
フォルトは無言でそれを受け入れています。その目は、ちょっとだけさみしそうなものでした。
『リリーも組替えおめでとう。別々の道だけど、応援してるぞ』
「ええ。フォルトも、クリスちゃんのことよろしくね」
『リリーの分まで護ってやるよ』
フォルトが鼻をリィちゃんの頬に寄せます。
リィちゃんは最初びっくりしていましたが、フォルトの鼻突っつきに微笑んでいました。
その二人の穏やかな様子に、どうして契約が失敗したんだろうと思わずにはいられませんでした。
「あっ!そうだ、リィちゃん。来週のお休みって予定空いてる?」
来週のクレスト様とのお茶会の日、フォルトはリィちゃんのところに行くって言ってたから、予定を訊かないと!
リィちゃんは特に予定がないと言ったので、そのことを言おうとしたら、フォルトが視線で私の言葉を止めます。
『クリス、俺が自分で言う』
フォルトは、リィちゃんを見下ろすようにいた位置から、ちょっとだけ離れて座ります。
緊張した様子で視線を泳がせたかと思えば、リィちゃんに視線を戻します。
『リリー、その日……あー…と、時間があるなら…その…』
「?」
なかなか本題を言わないフォルトにリィちゃんが不思議そうな顔をしました。
頑張れフォルト!
言葉に詰まるフォルトを心の中で応援します。
『俺と…少し話さねーか?』
「ええ、いいわよ。クリスちゃんも一緒?」
うーん、ちょっと言葉が足りなかったけど、フォルトにしては頑張りました!
「リィちゃん。実はね、私その日に学園で用事があって、その間フォルトと一緒にいてほしいんだ」
フォルトの言葉に補足をすると、リィちゃんはびっくりしたように目を丸くしてフォルトを見つめました。
その顔は、戸惑いも混じったようなものでした。
フォルトはもう視線を逸らしているので、リィちゃんの表情は見えていません。
「えっと…大丈夫だけど…クリスちゃんと離れてていいの?」
『学園内にいるから、大丈夫だろ』
どこか遠慮がちに問うリィちゃんに、フォルトはそっけなく答えました。
リィちゃんは、視線を泳がせて私に目を合わせます。
肯定するように頷いてあげると、リィちゃんはちょっとだけ困った顔で返事をしました。
「…じゃあ、よろしくお願いします?」
「なんで疑問形?」って思ったけど、二人の予定も決まったので気にしないことにしました。
二人のことは二人にしかわからないから、私はただ見守ろうと心に決めました。
そして次の週、リィちゃんは光組八番のみんなに見送られて、笑顔で花組へと進級しました。
「もちろんよ、クリスちゃん」
小さなお見送り会も終わり、一年生が帰る時間になりました。
リィちゃんと二人並んで、教育科の校舎を出ます。
お見送り会は、みんな泣きながらも笑顔でできました。
さみしさもあるけど、仲間が先へ進むのはとてもうれしいこと。
明日から組替えになる子は、ボロボロ泣いて帰りたくないと言っていましたが、みんなで背中を押してあげました。
みんな、それぞれの道を見つけて、それに向かって歩いていく。
最初は同じ道を歩いていても、いつかは違う道に分かれて、でもいつかどこかで再会できる。
道は違っても、友達で仲間なのは消えないから、大丈夫。
リスト先生が仲間に贈ったその言葉を胸に噛みしめながら、最後はみんなで笑い合えました。
校門へと向かう私達は、いつもより長くお話ししたくて、自然と歩みはゆっくりになります。
「リィちゃんは、いつ花組に行くの?」
「来週よ。ちょうど花組の校外学習があるから、それに合わせて組替えしたらどうかって先生に教えてもらったの」
「そっか…」
来週…もう五日もない。
休んでいた三週間がとてももったいない時間だった気がして、悔しくなります。
「…クリスちゃんは、自分のやりたいことを見つけた?」
その言葉にドキリとして、リィちゃんを見つめます。
リィちゃんの目は、いつものように優しいものでした。
そのお姉さんのような眼差しに涙が出そうになりましたが、なんとか堪えて答えました。
「…うん。見つけたよ。きっかけは、いっぱいあった……」
いつかリィちゃんが言ってくれた言葉を思い出します。
―『―――探す努力を惜しまなければ、クリスちゃんの世界はその分大きくなるはずよ』―
その言葉で、自分のやりたいことを探すのが楽しくなりました。
そう言われなかったら、きっと悩み過ぎて諦めていたかもしれません。
たくさんのことに触れて、見て、勉強して、体験したこと、それは私にとっての宝物になりました。
リィちゃん、フォルトと親友になったこと、先生達や騎士団の人達、ライゼンさんに出会えたこと。
そして、自分自身の事も。
「―――私、目指したいことがあるんだ」
自分の中に生まれたばかりのやりたいこと、今の私にできるかどうかわからないけど、初めて目指したいと思ったことです。
目指したいと勉強したいは、似ているようで、全然違う。
勉強は言ってしまえば、知識を得ることです。解れば大抵それで終わってしまいます。
それが目指すとなると全く違ってきます。知識だけで終わらないのです。
それを行動に移して、実現していかなければ全く意味がないからです。
「それが何か訊いてもいい?」
「…うーん…まだ秘密!」
「え~」
リィちゃんに訊かれて、いたずらっぽく答えると、不満な顔が返ってきました。すぐに笑ってくれましたが。
これは、私一人で決めたいことだから、もう少しだけ考えたいんです。
フォルトにも、まだ秘密かな。
「決まったら教えてね」
「うんっ、もちろんだよ!」
二人で顔を見合わせて、くすくすと笑います。
こうして一緒に過ごせる時間は、もうあまりありません。
遊びに行ったりすることはあるかもしれないけど、同じ時間、同じ場所で一緒に勉強することは、もうあと少しの時間しかないのです。
そう思うと、とてもさみしく思いました。
リィちゃんには、たくさんのことを教えてもらいました。
楽しいことも、つらいことも一緒に半分こしました。
リィちゃんは、いつも隣にいてくれた私の大切な親友です。
リィちゃんもフォルトと同じ、お母さんが言っていた一生ものの友達だと思います。
ああ、そう思うとまた涙が出そうです。
涙をこらえようとして目をぎゅっと閉じたら、不意にリィちゃんが足を止めました。
その気配で、私も目を開けて足を止めます。
「クリスちゃん、もし私の力が必要になった時は呼んでね。すぐに駆けつけるから」
とても強い意志がリィちゃんの顔に表れていました。
さっきまでのふわふわな優しいリィちゃんはいなくなって、年相応の頼れるお姉さんの顔だと思いました。
「うん。リィちゃんも、困ったときは私を呼んでね。私もリィちゃんの力になりたいから」
「ええ。必ず、必ず呼ぶわ」
リィちゃんは、私の手を引くと額をこつんと合わせてきました。
びっくりしましたが、リィちゃんの新緑の目がきれいで、離れることができませんでした。
【花よ、木々よ。我が慕い護るこの者に、いばらの道も、立ち塞ぐ樹海の前であっても、導きと護りを与えたまえ】
リィちゃんがそう言うと、額から温かい何かが流れてきました。
それは、リィちゃんの目と同じ新緑色の淡い光でした。
それが全身に広がると、リィちゃんは額を離しました。
「何が起きたんだろう?」と不思議に思いながら自分の額に手を当てれば、リィちゃんは微笑んで言いました。
「フラワーエルフの祈りよ。クリスちゃんがいつも元気でいられるように」
「…! ありがとう、リィちゃん!」
正門の近くまで行くと、フォルトが座って待っているのが見えました。
リィちゃんがフォルトを見つけると、とても穏やかに笑っていて、なんだか胸があったかくなりました。
この時、訊くのなら今だろうかと思って、前から気になっていたことを訊いてみることにしました。
「…リィちゃんは、どうしてフォルトのことを知ってたの?精霊獣だってことも知ってた?」
リィちゃんは、ちょっとだけ目を見開きましたが、答えてくれました。
「ええ。まだカイトだった時に、どうしてあんな魔力の輝きをしているんだろうって疑問に思ったことがきっかけだったわ」
「エルフの目にはどう見えたの?」
「カイトの時は、輝きを抑え込むように薄い膜のようなものが覆っていたわね。今は、何の制限もないから、とても眩しい輝きよ」
輝きを覆う…フォルトが言っていた、人間の体っていう制限なのかもしれないです。
「実はね、カイトと私、契約しようと思った時があったの」
「えっ!?」
びっくりして言葉に詰まっていると、リィちゃんは微笑んで「失敗しちゃったけどね」と言いました。
フォルトは信頼関係が必要って言ってたから、仲のいいリィちゃんと契約っていうのは不自然ではないです。…不自然じゃない、よね?
フォルトからそんな話は聞かなかったからわからないけど…失敗したってどういうことなんだろう?
リィちゃんはそれ以上何も言わなかったので、どう答えればいいのかわかりませんでした。
正門前に座るフォルトを二人で見つめていると、私達の視線に気がついたのか、フォルトがこっちに顔を向けました。
『おう。ずいぶん遅かったな?また図書室か?』
「ううん。今日はお見送り会だったんだ」
フォルトにお見送り会のこととリィちゃんが組替えすることを話しました。
フォルトは黙って聞いていて、ときどきリィちゃんに視線を向けていました。
「ふふふ。私の心配事が一つなくなったから、もう花組に行こうかなって」
『…そうなのか』
「カイト…じゃないわね、フォルト。いまさらだけど、契約おめでとう」
リィちゃんは、フォルトの首元をそっと撫でながら言いました。
フォルトは無言でそれを受け入れています。その目は、ちょっとだけさみしそうなものでした。
『リリーも組替えおめでとう。別々の道だけど、応援してるぞ』
「ええ。フォルトも、クリスちゃんのことよろしくね」
『リリーの分まで護ってやるよ』
フォルトが鼻をリィちゃんの頬に寄せます。
リィちゃんは最初びっくりしていましたが、フォルトの鼻突っつきに微笑んでいました。
その二人の穏やかな様子に、どうして契約が失敗したんだろうと思わずにはいられませんでした。
「あっ!そうだ、リィちゃん。来週のお休みって予定空いてる?」
来週のクレスト様とのお茶会の日、フォルトはリィちゃんのところに行くって言ってたから、予定を訊かないと!
リィちゃんは特に予定がないと言ったので、そのことを言おうとしたら、フォルトが視線で私の言葉を止めます。
『クリス、俺が自分で言う』
フォルトは、リィちゃんを見下ろすようにいた位置から、ちょっとだけ離れて座ります。
緊張した様子で視線を泳がせたかと思えば、リィちゃんに視線を戻します。
『リリー、その日……あー…と、時間があるなら…その…』
「?」
なかなか本題を言わないフォルトにリィちゃんが不思議そうな顔をしました。
頑張れフォルト!
言葉に詰まるフォルトを心の中で応援します。
『俺と…少し話さねーか?』
「ええ、いいわよ。クリスちゃんも一緒?」
うーん、ちょっと言葉が足りなかったけど、フォルトにしては頑張りました!
「リィちゃん。実はね、私その日に学園で用事があって、その間フォルトと一緒にいてほしいんだ」
フォルトの言葉に補足をすると、リィちゃんはびっくりしたように目を丸くしてフォルトを見つめました。
その顔は、戸惑いも混じったようなものでした。
フォルトはもう視線を逸らしているので、リィちゃんの表情は見えていません。
「えっと…大丈夫だけど…クリスちゃんと離れてていいの?」
『学園内にいるから、大丈夫だろ』
どこか遠慮がちに問うリィちゃんに、フォルトはそっけなく答えました。
リィちゃんは、視線を泳がせて私に目を合わせます。
肯定するように頷いてあげると、リィちゃんはちょっとだけ困った顔で返事をしました。
「…じゃあ、よろしくお願いします?」
「なんで疑問形?」って思ったけど、二人の予定も決まったので気にしないことにしました。
二人のことは二人にしかわからないから、私はただ見守ろうと心に決めました。
そして次の週、リィちゃんは光組八番のみんなに見送られて、笑顔で花組へと進級しました。
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