71 / 87
第2章 ◆ 見えるものと見えないものと
8. 束の間の里帰り
しおりを挟む
連休2日目の今日は、家に帰ることにしました。
家族のみんなに海組でのことを話したいし、フォルトの媒体のことも話しておかなければいけないです。魔宝石だってことは隠しておくけど。
あと、アメジストさんが作ってくれたアクセサリーもちょっと自慢したい!
「久しぶりの我が家だね」
『そうだな。やっぱり静かで落ち着いたこの村は好きだな』
「うんっ。私もこの村が大好きだよ!」
今、私達はオルデンから朝一番の馬車に乗って、ユグ村がある森の中を走っています。
フォルトは馬車に乗ると他のお客さんが乗れなくなってしまうので、今は魔宝石の中です。
乗る前に馬車の傍を走ったらどうかなと言ってみたけど、フォルトは首を振りました。森の精霊達が怖がるのだそうです。
さわさわと騒ぐ葉から光がキラキラと零れるように降り注ぐ様はいつ見ても神秘的で、そのいつもと変わらない森の様子に自分の村に帰ってきたと実感します。
そんな光のシャワーをしばらく浴びて、馬車はユグ村の停留所に着きました。
そこには何人かの人が荷物を持って馬車を待っていました。
きっと、オルデンとは逆の方向の街に行く人達だろうと思います。
「まあ!クリスちゃん、久しぶりだねぇ!元気だったかい?今日は休講日なの?」
「道具屋のおばさん!はい!この通り元気です!今日はちょっとだけ家に帰ってきました」
「あはははっ、そうかい、そうかい!思いっきり甘えて帰りな!」
豪快に笑う恰幅のいいこの人は、道具屋の店主さんです。
旦那さんはちょっとした鍛冶職人さんで、道具屋さんの隣で鍛治屋さんをしています。
道具屋は、この村では一つしかありません。
日常品から服やアクセサリーまでいろんな物が置いてあって、村の人達にとって欠かせないお店です。
旦那さんがやっている鍛治屋さんも一つしかありません。
「おばさんはおでかけ?」
おばさんの背中には大きなリュックが背負われていて、肩越しに地図や杖などがはみ出しているのが見えます。
「ああ。隣街へね。商品の仕入れと新しいものがあれば、それの交渉もさ」
「そうなんですね、お疲れ様です。またお店見に行きますね」
「ありがとねぇ、クリスちゃん。よい休日をね」
「またね」とおばさんに手を振って、家の方向へ足を向けます。
すれ違う人達と挨拶を交わして、家が見えてくるところまで行くと、お母さんが家の前に立っているのが見えました。
いつもの優しい笑顔が見えて、思わず走り出します。
「クリス、おかえり」
「お母さん!ただいま!」
走った勢いのままお母さんの腕へ飛び込むと、力いっぱい抱きとめられました。
お母さんのお花のような匂いと柔らかな腕に包まれて、とても安心します。
甘えるようにお母さんのお腹に頭をぐりぐりしていると、笑い声が降ってきます。
「ふふふ。クリスはまだまだ甘えん坊さんね」
「そんなことないよ。だって、家に帰ってきたんだもん!」
寮生活は楽しくて大変で、まだまだ慣れないことが多いです。
フォルトが傍にいるから心強いけど、やっぱり家族にずっと会えないのは寂しいのです。
お母さんを力いっぱいぎゅーっとしていると、後ろからひょいっと体を持ち上げられました。
「クリス、お父さんも抱きしめてくれないか」
次の瞬間には目線が高くなって、頬ずりをされていました。
お父さんのお髭、痛いよ!
ぐいぐいとお父さんの頬を押すと、すぐにやめてくれました。
「お父さん、おかえりなさい。今日は会えないって聞いてたけど…」
昨日の夜にレガロお兄ちゃんに連絡を取った時は、お父さんとクロードお兄ちゃんは騎士団の人達と合同訓練があって会えないと聞きました。
まだ時間じゃないのかな?
「そのつもりだったんだが…騎士団の人達にクリスに会いたいと言われたんだ」
「え?」
困ったように笑うお父さんに首を傾げていると、またまたひょいっと後ろへ体を持って行かれました。
それにびっくりして振り返れば、見知った顔が。
「クリスちゃん!久しぶりね、元気にしてた?」
「エレナさん!」
私を高く上げながら満面の笑顔でそう言ったのは、オルデン騎士団のエレナさんでした。
最後に会ったのはお礼に行った日だから、ずいぶん間が空いてしまいました。
エレナさんの頭と腕の包帯が取れていたので、怪我が治ったんだとうれしくなります。
「元気そうで何よりだ」
エレナさん越しに、オルデン騎士団の団長スティールさんが歩いてくるのが見えました。
地面に降ろしてもらって礼をしたら、歓迎の挨拶をします。
「スティール騎士団長さん、こんにちは。ようこそユグ村へお越しくださいました」
「そんなに畏まらなくていい。今日はここの自警団の方々と訓練させてもらうことになった。精霊の森での訓練は、我が団にとっては初めてのことばかりだ。自警団の方々から学ばせてもらおうと思っている」
スティールさんはそう言うと、お父さんにきれいな礼をします。
お父さんもそれに応えるように礼を執りました。
穏やかに笑い合うその様子から、お互いを尊敬しているのがわかります。
私の大好きな人達がそんな風に笑っていると、うれしい気持ちになっちゃいます。
「そうだったんですね。こちらこそ、オルデンの騎士団の皆さんにはお世話になっています。訓練頑張ってください」
もう一度礼をすると、困ったように笑う声が降ってきました。
顔を上げれば、スティールさんが眉を寄せて笑っています。
私の礼、そんなにおかしかったかな?
「すまない、笑ったわけではないのだ。相変わらず礼儀正しい娘だ。…海組でのことも聞いている」
最後の言葉にびっくりしました。
スティールさんには海組に進級したことを言っていなかったから。
「実は海組に実技講師として私の弟が在籍しているのだ。ときどき話を聴かせてもらっていた」
「そ、そうだったんですか。それは、びっくりしました……」
海組には実技の先生がたくさんいます。教育科の中で約8割の実技の先生が海組に所属しているのです。
その中で私が関わったことのある先生と言えばほんの少しで、4,5人くらいしかいません。
寮の先生は女の先生だし、担任の先生はエルフだから違うよね。
ってなると、講堂前でいつも笑顔で朝のご挨拶してくれる先生か、たまにすごく怖い顔で実技を見てくれる先生…かな?
自分と関わっている先生を指を折りながら思い出していると、スティールさんがまた笑って言いました。
「私の弟にはおそらく会ったことはないだろう。あれはひどい人見知りで、いつも奥まった部屋で精霊の目を使って海組の実技を見ているのだ」
スティールさんが私の考えていることにすぐ答えたので、思わず自分の頬をむにむにと触ります。
むむむ。私、そんなに顔に出てたかな?
そうしていると、エレナさんが「かわいいわね~」と頭を撫でてきたので、気を取りなおしてスティールさんに訊いてみます。
「スティールさんの弟さん、お名前はなんていうんですか?」
「…イヴェルだ。しかし弟を探さないでくれ。イヴェルはクリスさんのことを気に入っているから、気づかれたらますます引きこもってしまう」
「は、はい…」
ますます引きこもるって…イヴェル先生はとても恥ずかしがり屋さんなんですね。
どうして気に入られているのかはわかりませんが、実技ではいつも見ていてくれていたのでしょうか?
きっと私が知らない他の先生も何かしらの形で見ているのだと思いますが、スティールさんにイヴェル先生のことを聞いて、先生がとても身近に感じられました。
いつもフォルトと2人だけで練習してたから、名前の知らない先生より、一人じゃないって思えます。
「イヴェル先生には会えませんけど、実技を見ていてくださってありがとうございますって気持ちだけでも受け取ってくれますか?」
「ああ。イヴェルの代わりに受け取ろう。そして、私がクリスさんの代わりに弟を褒めよう」
スティールさんは柔らかく笑って、私の頭を撫でてくれました。
撫で慣れていないのか、ちょっとだけ手荒ですが、優しさが伝わってくるので全然気にならないです。
後ろで「団長殿もあんな顔をするんだね」「団長、ずるいわ」って聞こえたけど。
そろそろ合同訓練の時間が近づいてきたようで、オルデンの騎士団の人と自警団の人がお父さん達を呼びに来ました。
合同訓練見てみたいけど、「深霧の森」には今の私では入ることはできません。
森の精霊は気まぐれだけど、一つだけ確かなことがあります。子どもが大嫌いなのです。
お母さんがそう言っていたので、間違いないと思います。
なので、私は馬車で通る以外のことで森に入ったことがありません。
入り口近くまで行ったことはありますが、なんだか気持ち悪い空気がまとわりついてきて、怖かったのを覚えています。
あれ…?そう言えば、寮に入った時のあの気持ち悪い感じに似てる…?
「それじゃあ、クリスちゃん、またね。夕食は一緒に食べられるかしら?」
「…え?っあ、はい!」
気がつけば、エレナさんが屈んで私の顔を覗き込んでいました。
考え事をしていたので、反応が遅れてしまいました。いけない、いけない。
頭を振って目を上げたら、どこか心配そうに見つめるエレナさんに答えます。
「お母さんと一緒においしいご飯を作って待ってますね!」
エレナさんは今日一番の笑顔をして、お父さん達と合同訓練に行きました。
その背中を見送って、「おいしいご飯を作りましょうね」と言ったお母さんの言葉に大きく頷きました。
家族のみんなに海組でのことを話したいし、フォルトの媒体のことも話しておかなければいけないです。魔宝石だってことは隠しておくけど。
あと、アメジストさんが作ってくれたアクセサリーもちょっと自慢したい!
「久しぶりの我が家だね」
『そうだな。やっぱり静かで落ち着いたこの村は好きだな』
「うんっ。私もこの村が大好きだよ!」
今、私達はオルデンから朝一番の馬車に乗って、ユグ村がある森の中を走っています。
フォルトは馬車に乗ると他のお客さんが乗れなくなってしまうので、今は魔宝石の中です。
乗る前に馬車の傍を走ったらどうかなと言ってみたけど、フォルトは首を振りました。森の精霊達が怖がるのだそうです。
さわさわと騒ぐ葉から光がキラキラと零れるように降り注ぐ様はいつ見ても神秘的で、そのいつもと変わらない森の様子に自分の村に帰ってきたと実感します。
そんな光のシャワーをしばらく浴びて、馬車はユグ村の停留所に着きました。
そこには何人かの人が荷物を持って馬車を待っていました。
きっと、オルデンとは逆の方向の街に行く人達だろうと思います。
「まあ!クリスちゃん、久しぶりだねぇ!元気だったかい?今日は休講日なの?」
「道具屋のおばさん!はい!この通り元気です!今日はちょっとだけ家に帰ってきました」
「あはははっ、そうかい、そうかい!思いっきり甘えて帰りな!」
豪快に笑う恰幅のいいこの人は、道具屋の店主さんです。
旦那さんはちょっとした鍛冶職人さんで、道具屋さんの隣で鍛治屋さんをしています。
道具屋は、この村では一つしかありません。
日常品から服やアクセサリーまでいろんな物が置いてあって、村の人達にとって欠かせないお店です。
旦那さんがやっている鍛治屋さんも一つしかありません。
「おばさんはおでかけ?」
おばさんの背中には大きなリュックが背負われていて、肩越しに地図や杖などがはみ出しているのが見えます。
「ああ。隣街へね。商品の仕入れと新しいものがあれば、それの交渉もさ」
「そうなんですね、お疲れ様です。またお店見に行きますね」
「ありがとねぇ、クリスちゃん。よい休日をね」
「またね」とおばさんに手を振って、家の方向へ足を向けます。
すれ違う人達と挨拶を交わして、家が見えてくるところまで行くと、お母さんが家の前に立っているのが見えました。
いつもの優しい笑顔が見えて、思わず走り出します。
「クリス、おかえり」
「お母さん!ただいま!」
走った勢いのままお母さんの腕へ飛び込むと、力いっぱい抱きとめられました。
お母さんのお花のような匂いと柔らかな腕に包まれて、とても安心します。
甘えるようにお母さんのお腹に頭をぐりぐりしていると、笑い声が降ってきます。
「ふふふ。クリスはまだまだ甘えん坊さんね」
「そんなことないよ。だって、家に帰ってきたんだもん!」
寮生活は楽しくて大変で、まだまだ慣れないことが多いです。
フォルトが傍にいるから心強いけど、やっぱり家族にずっと会えないのは寂しいのです。
お母さんを力いっぱいぎゅーっとしていると、後ろからひょいっと体を持ち上げられました。
「クリス、お父さんも抱きしめてくれないか」
次の瞬間には目線が高くなって、頬ずりをされていました。
お父さんのお髭、痛いよ!
ぐいぐいとお父さんの頬を押すと、すぐにやめてくれました。
「お父さん、おかえりなさい。今日は会えないって聞いてたけど…」
昨日の夜にレガロお兄ちゃんに連絡を取った時は、お父さんとクロードお兄ちゃんは騎士団の人達と合同訓練があって会えないと聞きました。
まだ時間じゃないのかな?
「そのつもりだったんだが…騎士団の人達にクリスに会いたいと言われたんだ」
「え?」
困ったように笑うお父さんに首を傾げていると、またまたひょいっと後ろへ体を持って行かれました。
それにびっくりして振り返れば、見知った顔が。
「クリスちゃん!久しぶりね、元気にしてた?」
「エレナさん!」
私を高く上げながら満面の笑顔でそう言ったのは、オルデン騎士団のエレナさんでした。
最後に会ったのはお礼に行った日だから、ずいぶん間が空いてしまいました。
エレナさんの頭と腕の包帯が取れていたので、怪我が治ったんだとうれしくなります。
「元気そうで何よりだ」
エレナさん越しに、オルデン騎士団の団長スティールさんが歩いてくるのが見えました。
地面に降ろしてもらって礼をしたら、歓迎の挨拶をします。
「スティール騎士団長さん、こんにちは。ようこそユグ村へお越しくださいました」
「そんなに畏まらなくていい。今日はここの自警団の方々と訓練させてもらうことになった。精霊の森での訓練は、我が団にとっては初めてのことばかりだ。自警団の方々から学ばせてもらおうと思っている」
スティールさんはそう言うと、お父さんにきれいな礼をします。
お父さんもそれに応えるように礼を執りました。
穏やかに笑い合うその様子から、お互いを尊敬しているのがわかります。
私の大好きな人達がそんな風に笑っていると、うれしい気持ちになっちゃいます。
「そうだったんですね。こちらこそ、オルデンの騎士団の皆さんにはお世話になっています。訓練頑張ってください」
もう一度礼をすると、困ったように笑う声が降ってきました。
顔を上げれば、スティールさんが眉を寄せて笑っています。
私の礼、そんなにおかしかったかな?
「すまない、笑ったわけではないのだ。相変わらず礼儀正しい娘だ。…海組でのことも聞いている」
最後の言葉にびっくりしました。
スティールさんには海組に進級したことを言っていなかったから。
「実は海組に実技講師として私の弟が在籍しているのだ。ときどき話を聴かせてもらっていた」
「そ、そうだったんですか。それは、びっくりしました……」
海組には実技の先生がたくさんいます。教育科の中で約8割の実技の先生が海組に所属しているのです。
その中で私が関わったことのある先生と言えばほんの少しで、4,5人くらいしかいません。
寮の先生は女の先生だし、担任の先生はエルフだから違うよね。
ってなると、講堂前でいつも笑顔で朝のご挨拶してくれる先生か、たまにすごく怖い顔で実技を見てくれる先生…かな?
自分と関わっている先生を指を折りながら思い出していると、スティールさんがまた笑って言いました。
「私の弟にはおそらく会ったことはないだろう。あれはひどい人見知りで、いつも奥まった部屋で精霊の目を使って海組の実技を見ているのだ」
スティールさんが私の考えていることにすぐ答えたので、思わず自分の頬をむにむにと触ります。
むむむ。私、そんなに顔に出てたかな?
そうしていると、エレナさんが「かわいいわね~」と頭を撫でてきたので、気を取りなおしてスティールさんに訊いてみます。
「スティールさんの弟さん、お名前はなんていうんですか?」
「…イヴェルだ。しかし弟を探さないでくれ。イヴェルはクリスさんのことを気に入っているから、気づかれたらますます引きこもってしまう」
「は、はい…」
ますます引きこもるって…イヴェル先生はとても恥ずかしがり屋さんなんですね。
どうして気に入られているのかはわかりませんが、実技ではいつも見ていてくれていたのでしょうか?
きっと私が知らない他の先生も何かしらの形で見ているのだと思いますが、スティールさんにイヴェル先生のことを聞いて、先生がとても身近に感じられました。
いつもフォルトと2人だけで練習してたから、名前の知らない先生より、一人じゃないって思えます。
「イヴェル先生には会えませんけど、実技を見ていてくださってありがとうございますって気持ちだけでも受け取ってくれますか?」
「ああ。イヴェルの代わりに受け取ろう。そして、私がクリスさんの代わりに弟を褒めよう」
スティールさんは柔らかく笑って、私の頭を撫でてくれました。
撫で慣れていないのか、ちょっとだけ手荒ですが、優しさが伝わってくるので全然気にならないです。
後ろで「団長殿もあんな顔をするんだね」「団長、ずるいわ」って聞こえたけど。
そろそろ合同訓練の時間が近づいてきたようで、オルデンの騎士団の人と自警団の人がお父さん達を呼びに来ました。
合同訓練見てみたいけど、「深霧の森」には今の私では入ることはできません。
森の精霊は気まぐれだけど、一つだけ確かなことがあります。子どもが大嫌いなのです。
お母さんがそう言っていたので、間違いないと思います。
なので、私は馬車で通る以外のことで森に入ったことがありません。
入り口近くまで行ったことはありますが、なんだか気持ち悪い空気がまとわりついてきて、怖かったのを覚えています。
あれ…?そう言えば、寮に入った時のあの気持ち悪い感じに似てる…?
「それじゃあ、クリスちゃん、またね。夕食は一緒に食べられるかしら?」
「…え?っあ、はい!」
気がつけば、エレナさんが屈んで私の顔を覗き込んでいました。
考え事をしていたので、反応が遅れてしまいました。いけない、いけない。
頭を振って目を上げたら、どこか心配そうに見つめるエレナさんに答えます。
「お母さんと一緒においしいご飯を作って待ってますね!」
エレナさんは今日一番の笑顔をして、お父さん達と合同訓練に行きました。
その背中を見送って、「おいしいご飯を作りましょうね」と言ったお母さんの言葉に大きく頷きました。
0
あなたにおすすめの小説
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~
如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる
その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う
稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある
まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが…
だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた…
そんな時に生まれたシャルロッテ
全属性の加護を持つ少女
いったいこれからどうなるのか…
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる