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第2章 ◆ 見えるものと見えないものと
9. フォルトの旧友①
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夕食の時間までにはまだまだ時間があるので、私とフォルトはお母さんの家事のお手伝いをしながら魔法の勉強をすることにしました。
洗濯物を洗いながらお母さんに水魔法のことを教えてもらったり、庭の掃除をしながらフォルトに土魔法のことを教えてもらいました。
水魔法はまだあまり使ったことがないので、次の課題でいろいろ試してみたいな。
「よし、お掃除終わり!」
『おう。お疲れ、クリス』
庭の草むしりと落ち葉を掃き終えて、一息つきます。
最初フォルトはのんびり木陰で寝ていたのですが、いつの間に起きたのか私の様子を見ていたようです。
フォルトが鼻を寄せてきたので、それに応えるようにつやつやの毛を撫でてあげます。
あっ、手汚れてた。ごめんフォルト、後でブラッシングするね。
『ずいぶん熱心にお手伝いするな。久々に家に帰ってきたんだからゆっくりしたらいいじゃねーか』
「だからだよ。海組になってなかなか家に帰ってこれない分、できることをしたい」
フォルトは『全然休日になってねーけど、まあ、クリスらしいな』と、納得したように首を振りました。
お掃除の後は、お母さんとお昼ご飯のサンドイッチを食べました。
寮の食堂のサンドイッチもおいしいけれど、やっぱりお母さんのサンドイッチが一番です!
おやつのクッキーを作りはじめていると、外から騒がしい声がいくつも上がりました。
「何だろう?」とお母さんと顔を見合わせて、窓から外の様子を見てみると、たくさんの大人達がお団子になりながら白い何かを捕まえようとしていました。
その何かはとてもすばしっこいようで、大人たちの足元や肩をすり抜けては遊んでいるように見えました。
「あれは…うさぎさん?」
長い耳と小さな体、すばしっこくてジャンプ力があるそれは、そう思うには当然で。
でも野生のうさぎにしては人に慣れているような…?
ぼんやりその様子を見ていたら、うさぎさんと目が合った気がしました。
その目は吸い込まれそうなスカイブルー。うさぎにしては珍しい目の色でした。
「クリス、あれはうさぎではないわ。困ったわね…捕まえていいものではないの……」
お母さんは困った顔で外の様子を見ながら、そう言いました。そして私にフォルトを呼んでくるように言いました。
慌てて自分の部屋にいるフォルトを呼びに行くと、フォルトは何かを感じ取ったのかすぐに来てくれました。
『…あいつ、何やってんだ?』
うさぎさんを見たフォルトは、呆れたようにため息をついてそう呟きました。
「フォルト…知り合い?」
フォルトがあいつって言うくらいだから、普通のうさぎさんではないことはわかりました。
『ああ。あいつは精霊獣だ。昔何度か会ったことがあるな』
えっ!?精霊獣!?そ、それはほっといちゃいけないんじゃ!?
フォルトは窓からひょいっと外に出ると、うさぎさんに向かって吠えるように声を掛けました。
うさぎさんはその声に気がつくと、フォルトの方へ向かって駆け出します。その動きは、普通のうさぎよりも素早いものでした。
そしてフォルトに体当たりするように突っ込むと、大きな笑い声を上げました。
『あははははっ!カイト、ひっさしぶりー!あっ、今は違う名前なんだっけ!?』
『フォルトだ。相変わらずシーニーはテンション高い奴だな』
『え~?そうかなぁ?フォルトがテンション低すぎるんだよぅ!暗いよりも明るい方がいいでしょ?』
『そうだけどよ、時と場所を考えろよ。それに、おまえみんなを振り回して遊んでただろ?迷惑かけるな』
『は~い!ごめんねっ!』
2人(?)の会話にうさぎさんを追っていた大人達も私もぽかんとその様子を見つめます。
なんというか、とても元気な…いたずらっ子さんなんですね?フェルーテちゃんと気が合いそう…。
遠い目になるフォルトを横目に、とりあえずうさぎさんには私の家に来てもらうことにしました。
『いや~。久しぶりにこの森に来たんだけど、人間が住んでてびっくりしちゃった!前来た時は森の精霊しかいなかったのになぁ』
『それ、いつの話だ?1000年以上前とか言うんじゃねーだろうな?』
『あははははっ!そんなわけないじゃん!いくらなんでも…んん?それくらい経ってるかも??』
『あのなー…』
さっき作ったクッキーをお母さんと食べながら、2人(?)の会話を聞きます。
フォルトがため息をつきながらしゃべる様子はどこか疲れているように見えました。
お母さんは考え事をしているのか、ちょっとだけ悩むような顔でうさぎさん…シーニーさんを見つめています。
「精霊達から、昔『深霧の森』には愉快な精霊獣がいたと聞いておりましたが、それはシーニー様のことなのですか?」
『うん!そうだよ~!この森の精霊達は親みたいなものだから、ときどき今日みたいに帰ってくるんだぁ』
クッキーを頬張りながら、うんうんと首を振るシーニーさん…かわいい…。
動きに合わせてぴょこぴょこ動く長い耳に、つい目が行っちゃいます。
フォルトもそうだけど、シーニーさんもどれくらい昔から生きてるんだろう?
少なくともフォルトは守護獣としてのカイトだった時代があるから…歴史の時代で言うと今からずっとずっと昔の【精霊歴】だよね?
【精霊歴】よりも昔は【神話歴】と言って、あまり文献とか伝承とかも残っていない時代です。
その時代にエルフはすでにいたそうだけど、人間もいたかと言われるとそれを証明する遺物が残っていないから、事実わからないってライゼンさんが言ってました。
んー…そんな昔のことを考えても、わからないものはわからないよね。
そんなことをぼんやりと考えながら、再びお母さんとシーニーさんの会話に耳を傾けます。
「そうだったのですね。この森が他の精霊の森とどこか違うのは、シーニー様の加護もあるからなのですね」
『ん??…あっ、そっかぁ!そうかもねー!あたしの魔法がずっと解けてないからそうなのかも??』
「魔法?」
シーニーさんの言葉で思わず2人の会話に割り込んでしましました。
お母さんとシーニーさんの目が私を捉えます。
『この森の魔法はね、あたしが森を出る時にかけた魔法なんだ。森を壊そうとしたりする悪い奴をこてんこてんにやっつける魔法だよ』
ええっ!?深霧の森を護るあの不思議な魔法は、シーニーさんの魔法だったんですね!?
森に住む精霊さん達がかけたものだと思っていました。
シーニーさんにそう思ったことを伝えると、スカイブルーの目が鋭くなります。
それまで可愛らしいうさぎだったのに、その少し怖い雰囲気に一瞬息が止まりそうになりました。
それは深霧の森の空気に似た張り詰めたもので、目の前にいる存在は精霊獣なのだと改めて思い知らされます。
『森の精霊達は基本的に人間に干渉しないよ。あまり力の強くない者達だし、主の命令でなきゃ動かない。だからあたしが森に守護の魔法をかけたんだ』
『へぇ、そうだったのか。でもそうならなんで人間が住めてるんだよ?』
シーニーさんの空気を気にもせずにフォルトがぶっきらぼうに問います。
その問いにピクリと長い耳が動いたかと思うと、力が抜けたようにへにょりと垂れました。
『それはあたしにもわかんない。でも、この森とうまく共存してるみたいだから悪意がなかったから…なのかも?』
『なんだそりゃ。相変わらず魔法効果の定義が大雑把だな』
『何おう―!!?』
バシバシと大きなフォルトに小さなシーニーさんがうさ耳ビンタを繰り出します。
その様子は、さっきまでの張り詰めた空気がまるで嘘みたいにとても微笑ましいもので、お母さんと一緒に笑ってしまいました。
シーニーさんがひとしきりフォルトを叩いて気が済んだところで、お母さんが改まって跪きました。
それにびっくりしましたが、シーニーさんに対するお母さんの敬意を感じて私もそれに倣って膝をつきます。
「シーニー様。この森に住む者の代表として、感謝いたします。この森の加護のおかげで、私達村の者達は穏やかに暮らせております」
『んー、本当はあたしの家に人間入れたくなかったけど、こうなっちゃったもんはしょうがないよね。フォルトにも久しぶりに会えたし、こっちのクリスにも会えたし、まあいっか!許す!』
シーニーさんは最初沈んだように言いましたが、最後には明るく言ったので、お母さんと顔を合わせてほっとしました。
確かに、ずっと留守にしていたとはいえ自分の家にいつの間にか知らない人が住んでたらいやだもんね。
「シーニーさん、ありがとうございます」
『シーニーと呼び捨てでいいわよ、クリス。また昔みたいに、いーっぱい遊ぼ!』
「…っえ?」
私、前にシーニーと会ったことあったっけ…?
こんな楽しいうさぎさんを見たら絶対忘れられないよ。
隣に座るフォルトに視線を向けようとしたその時、玄関の扉が開く音がしました。
「ただいまー」
「ただいま~。お腹すいたなぁ」
「クリスちゃん、ただいま!」
合同訓練を終えたお父さん達が帰ってきました。
気がつけばもう夕食の準備をする時間になっていて、慌てて玄関へお父さん達を迎えに行きました。
そこにいたのは、お父さんとクロードお兄ちゃん、エレナさんの3人だけでした。
「おかえりなさい!あれ?他の人達は?」
他の騎士団の人達に会えるかなと思ったのですが、スティールさんの姿も見えません。
もう帰ってしまったのでしょうか?
「他の騎士団の人達は自警団の屋敷で休んでいるよ。お父さんもこのまま屋敷に戻るよ」
ここで追いついてきたお母さんがお父さんに着替えとタオルを持たせました。
今日はお父さんが夜の見回り当番なんだね。
騎士団の人達との訓練のお話聴いてみたかったな。
少し残念に思っていると、クロードお兄ちゃんが頭を撫でてきました。
「俺とエレナさんはこっちでご飯食べるから、おいしいご飯頼むな」
「ふふふ。楽しみにしてるわね。クリスちゃん」
そうでした!お母さんとおいしい晩ご飯作るって約束しました!
今から作らないと!
お父さんを見送ったお母さんに視線を投げると、心得たように笑ってくれました。
「任せて!」
その日の晩ご飯はクロードお兄ちゃんの大好きなオムライスカレーを作りました。
お母さん特製のオムライスに私が作ったカレーをかけて、とてもおいしく仕上がりました。お母さんとの合作料理です!
クロードお兄ちゃんとセレナさんはとても喜んでくれて、おかわりをたくさんしてくれました。
そして、こっそりシーニーもフォルトと一緒に私の部屋でお腹いっぱい食べたのでした。
洗濯物を洗いながらお母さんに水魔法のことを教えてもらったり、庭の掃除をしながらフォルトに土魔法のことを教えてもらいました。
水魔法はまだあまり使ったことがないので、次の課題でいろいろ試してみたいな。
「よし、お掃除終わり!」
『おう。お疲れ、クリス』
庭の草むしりと落ち葉を掃き終えて、一息つきます。
最初フォルトはのんびり木陰で寝ていたのですが、いつの間に起きたのか私の様子を見ていたようです。
フォルトが鼻を寄せてきたので、それに応えるようにつやつやの毛を撫でてあげます。
あっ、手汚れてた。ごめんフォルト、後でブラッシングするね。
『ずいぶん熱心にお手伝いするな。久々に家に帰ってきたんだからゆっくりしたらいいじゃねーか』
「だからだよ。海組になってなかなか家に帰ってこれない分、できることをしたい」
フォルトは『全然休日になってねーけど、まあ、クリスらしいな』と、納得したように首を振りました。
お掃除の後は、お母さんとお昼ご飯のサンドイッチを食べました。
寮の食堂のサンドイッチもおいしいけれど、やっぱりお母さんのサンドイッチが一番です!
おやつのクッキーを作りはじめていると、外から騒がしい声がいくつも上がりました。
「何だろう?」とお母さんと顔を見合わせて、窓から外の様子を見てみると、たくさんの大人達がお団子になりながら白い何かを捕まえようとしていました。
その何かはとてもすばしっこいようで、大人たちの足元や肩をすり抜けては遊んでいるように見えました。
「あれは…うさぎさん?」
長い耳と小さな体、すばしっこくてジャンプ力があるそれは、そう思うには当然で。
でも野生のうさぎにしては人に慣れているような…?
ぼんやりその様子を見ていたら、うさぎさんと目が合った気がしました。
その目は吸い込まれそうなスカイブルー。うさぎにしては珍しい目の色でした。
「クリス、あれはうさぎではないわ。困ったわね…捕まえていいものではないの……」
お母さんは困った顔で外の様子を見ながら、そう言いました。そして私にフォルトを呼んでくるように言いました。
慌てて自分の部屋にいるフォルトを呼びに行くと、フォルトは何かを感じ取ったのかすぐに来てくれました。
『…あいつ、何やってんだ?』
うさぎさんを見たフォルトは、呆れたようにため息をついてそう呟きました。
「フォルト…知り合い?」
フォルトがあいつって言うくらいだから、普通のうさぎさんではないことはわかりました。
『ああ。あいつは精霊獣だ。昔何度か会ったことがあるな』
えっ!?精霊獣!?そ、それはほっといちゃいけないんじゃ!?
フォルトは窓からひょいっと外に出ると、うさぎさんに向かって吠えるように声を掛けました。
うさぎさんはその声に気がつくと、フォルトの方へ向かって駆け出します。その動きは、普通のうさぎよりも素早いものでした。
そしてフォルトに体当たりするように突っ込むと、大きな笑い声を上げました。
『あははははっ!カイト、ひっさしぶりー!あっ、今は違う名前なんだっけ!?』
『フォルトだ。相変わらずシーニーはテンション高い奴だな』
『え~?そうかなぁ?フォルトがテンション低すぎるんだよぅ!暗いよりも明るい方がいいでしょ?』
『そうだけどよ、時と場所を考えろよ。それに、おまえみんなを振り回して遊んでただろ?迷惑かけるな』
『は~い!ごめんねっ!』
2人(?)の会話にうさぎさんを追っていた大人達も私もぽかんとその様子を見つめます。
なんというか、とても元気な…いたずらっ子さんなんですね?フェルーテちゃんと気が合いそう…。
遠い目になるフォルトを横目に、とりあえずうさぎさんには私の家に来てもらうことにしました。
『いや~。久しぶりにこの森に来たんだけど、人間が住んでてびっくりしちゃった!前来た時は森の精霊しかいなかったのになぁ』
『それ、いつの話だ?1000年以上前とか言うんじゃねーだろうな?』
『あははははっ!そんなわけないじゃん!いくらなんでも…んん?それくらい経ってるかも??』
『あのなー…』
さっき作ったクッキーをお母さんと食べながら、2人(?)の会話を聞きます。
フォルトがため息をつきながらしゃべる様子はどこか疲れているように見えました。
お母さんは考え事をしているのか、ちょっとだけ悩むような顔でうさぎさん…シーニーさんを見つめています。
「精霊達から、昔『深霧の森』には愉快な精霊獣がいたと聞いておりましたが、それはシーニー様のことなのですか?」
『うん!そうだよ~!この森の精霊達は親みたいなものだから、ときどき今日みたいに帰ってくるんだぁ』
クッキーを頬張りながら、うんうんと首を振るシーニーさん…かわいい…。
動きに合わせてぴょこぴょこ動く長い耳に、つい目が行っちゃいます。
フォルトもそうだけど、シーニーさんもどれくらい昔から生きてるんだろう?
少なくともフォルトは守護獣としてのカイトだった時代があるから…歴史の時代で言うと今からずっとずっと昔の【精霊歴】だよね?
【精霊歴】よりも昔は【神話歴】と言って、あまり文献とか伝承とかも残っていない時代です。
その時代にエルフはすでにいたそうだけど、人間もいたかと言われるとそれを証明する遺物が残っていないから、事実わからないってライゼンさんが言ってました。
んー…そんな昔のことを考えても、わからないものはわからないよね。
そんなことをぼんやりと考えながら、再びお母さんとシーニーさんの会話に耳を傾けます。
「そうだったのですね。この森が他の精霊の森とどこか違うのは、シーニー様の加護もあるからなのですね」
『ん??…あっ、そっかぁ!そうかもねー!あたしの魔法がずっと解けてないからそうなのかも??』
「魔法?」
シーニーさんの言葉で思わず2人の会話に割り込んでしましました。
お母さんとシーニーさんの目が私を捉えます。
『この森の魔法はね、あたしが森を出る時にかけた魔法なんだ。森を壊そうとしたりする悪い奴をこてんこてんにやっつける魔法だよ』
ええっ!?深霧の森を護るあの不思議な魔法は、シーニーさんの魔法だったんですね!?
森に住む精霊さん達がかけたものだと思っていました。
シーニーさんにそう思ったことを伝えると、スカイブルーの目が鋭くなります。
それまで可愛らしいうさぎだったのに、その少し怖い雰囲気に一瞬息が止まりそうになりました。
それは深霧の森の空気に似た張り詰めたもので、目の前にいる存在は精霊獣なのだと改めて思い知らされます。
『森の精霊達は基本的に人間に干渉しないよ。あまり力の強くない者達だし、主の命令でなきゃ動かない。だからあたしが森に守護の魔法をかけたんだ』
『へぇ、そうだったのか。でもそうならなんで人間が住めてるんだよ?』
シーニーさんの空気を気にもせずにフォルトがぶっきらぼうに問います。
その問いにピクリと長い耳が動いたかと思うと、力が抜けたようにへにょりと垂れました。
『それはあたしにもわかんない。でも、この森とうまく共存してるみたいだから悪意がなかったから…なのかも?』
『なんだそりゃ。相変わらず魔法効果の定義が大雑把だな』
『何おう―!!?』
バシバシと大きなフォルトに小さなシーニーさんがうさ耳ビンタを繰り出します。
その様子は、さっきまでの張り詰めた空気がまるで嘘みたいにとても微笑ましいもので、お母さんと一緒に笑ってしまいました。
シーニーさんがひとしきりフォルトを叩いて気が済んだところで、お母さんが改まって跪きました。
それにびっくりしましたが、シーニーさんに対するお母さんの敬意を感じて私もそれに倣って膝をつきます。
「シーニー様。この森に住む者の代表として、感謝いたします。この森の加護のおかげで、私達村の者達は穏やかに暮らせております」
『んー、本当はあたしの家に人間入れたくなかったけど、こうなっちゃったもんはしょうがないよね。フォルトにも久しぶりに会えたし、こっちのクリスにも会えたし、まあいっか!許す!』
シーニーさんは最初沈んだように言いましたが、最後には明るく言ったので、お母さんと顔を合わせてほっとしました。
確かに、ずっと留守にしていたとはいえ自分の家にいつの間にか知らない人が住んでたらいやだもんね。
「シーニーさん、ありがとうございます」
『シーニーと呼び捨てでいいわよ、クリス。また昔みたいに、いーっぱい遊ぼ!』
「…っえ?」
私、前にシーニーと会ったことあったっけ…?
こんな楽しいうさぎさんを見たら絶対忘れられないよ。
隣に座るフォルトに視線を向けようとしたその時、玄関の扉が開く音がしました。
「ただいまー」
「ただいま~。お腹すいたなぁ」
「クリスちゃん、ただいま!」
合同訓練を終えたお父さん達が帰ってきました。
気がつけばもう夕食の準備をする時間になっていて、慌てて玄関へお父さん達を迎えに行きました。
そこにいたのは、お父さんとクロードお兄ちゃん、エレナさんの3人だけでした。
「おかえりなさい!あれ?他の人達は?」
他の騎士団の人達に会えるかなと思ったのですが、スティールさんの姿も見えません。
もう帰ってしまったのでしょうか?
「他の騎士団の人達は自警団の屋敷で休んでいるよ。お父さんもこのまま屋敷に戻るよ」
ここで追いついてきたお母さんがお父さんに着替えとタオルを持たせました。
今日はお父さんが夜の見回り当番なんだね。
騎士団の人達との訓練のお話聴いてみたかったな。
少し残念に思っていると、クロードお兄ちゃんが頭を撫でてきました。
「俺とエレナさんはこっちでご飯食べるから、おいしいご飯頼むな」
「ふふふ。楽しみにしてるわね。クリスちゃん」
そうでした!お母さんとおいしい晩ご飯作るって約束しました!
今から作らないと!
お父さんを見送ったお母さんに視線を投げると、心得たように笑ってくれました。
「任せて!」
その日の晩ご飯はクロードお兄ちゃんの大好きなオムライスカレーを作りました。
お母さん特製のオムライスに私が作ったカレーをかけて、とてもおいしく仕上がりました。お母さんとの合作料理です!
クロードお兄ちゃんとセレナさんはとても喜んでくれて、おかわりをたくさんしてくれました。
そして、こっそりシーニーもフォルトと一緒に私の部屋でお腹いっぱい食べたのでした。
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