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第2章 ◆ 見えるものと見えないものと
17. 従属契約
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「教えて、リィちゃん。妖精さん達にもルルーシア先輩にも言われたけど…リィちゃんから、リィちゃんの言葉で知りたい」
クリスちゃんに真剣な顔でそう言われた時、もう隠し通せないなって思った。
ずっと隠すつもりはなかったけれど、できるなら、まだ先がよかった。
「…ええ。クリスちゃん。ちゃんと説明するわ」
お別れ会をしたあの日、クリスちゃんに「フラワーエルフの祝福」と言って従属契約をしたこと。
フラワーエルフは人に作られた存在で、従属できる特殊なエルフだということ。
それ故に、対等もしくは自分に有利な契約はできないということ。
一つ一つ、クリスちゃんにもわかるように、従属契約と私について説明した。
クリスちゃんは、それを黙って聞いてくれた。
説明が終わり、一つ息を吐いて隣のフォルトを見たら、なんとも複雑そうな顔を向けられていた。
ふふ、このことはフォルトしか知らなかったものね。
青目のうさぎさんには今日初めて会ったけど、フォルトの昔の仲間みたいだし、クリスちゃん達の会話からして敵ではない…かしらね。
うさぎさんの方は、私が説明している間クリスちゃんの方をじっと見つめていたから、何か思うところはあるのでしょうけど。
改めてクリスちゃんの方を向くと、思っていたとおり、泣きそうな顔をしていた。
そんな顔させたくなかったから隠したかったんだけどね…。
「クリスちゃん、これだけは言っておくわね。私はクリスちゃんのことが大好きで、親友って言ってもらえて、とってもとっても幸せなのよ」
「私だって、リィちゃんのこと大好き。リィちゃんは私の自慢の親友だよ」
クリスちゃんの手がギュッとスカートの裾を握って、かわいらしい色のスカートに皺が走る。
その手を撫でてあげると、思いっきり抱き着かれて倒れそうになった。
大好きな親友であり主人でもあるクリスちゃんの肩は震えていて、その表情は見えない。
「クリスちゃん…黙って従属契約したこと怒ってる?」
「…怒ってるよ。怒ってるに決まってる!!」
その悲痛な声に、胸が痛くなる。
契約は私の意志。
大好きなクリスちゃんだから、その無邪気に笑う笑顔を護りたかったから、私は契約することを決めたの。
そんなクリスちゃんへの愛情を否定されたような気がして、勝手に落ち込んでしまう。
「どうして言ってくれなかったの!?そんな大事なこと私が知らないところで決めないで!!」
クリスちゃんはそう言うと、私の腕の中で大泣きした。
やっぱり泣かせてしまったわ…。
初めて一緒におでかけした時にプレゼントした花の髪ゴムをクリスちゃんは今でも着けてくれていた。
その髪ゴムを見つめながら、この小さな存在を抱きしめ返すことしかできなかった。
「契約は大事なことなんだよね?リィちゃんの道を決めちゃうんだよね?そんな足枷みたいな契約、したくなかった!」
「クリスちゃん…」
クリスちゃんにはきっとわからないこと。
従属させられる側にとって、自分のすべてを差し出したいと思うほどの相手に出会えるのは奇跡なのよ。
この気持ちは、感覚は、当事者にならないとわからないものだわ。
「…でも…リィちゃんの気持ちも大事にしたい…。だから、相談してほしかった。契約のこともフラワーエルフのことも知って、リィちゃんが本当に望んでいることを知りたかった…私はちゃんと知って考えた上で従属契約を結びたかったよ」
クリスちゃんはそう言って、顔を上げた。
涙に濡れた、それでも強い輝きを宿すその瞳に私が映った。
「だって、私はリィちゃんの親友だよ?そんな契約なんか無くったってリィちゃんの望みを叶えたい、困っていたら助けたい。それくらい信頼してるんだよ」
ああ、なんてことなの。
その時、本当に私は勝手なことをしたんだなって思い知った。
主人となるクリスちゃんも当事者なのに。
私は主人となる側の気持ちを知ろうとしてなかったんだわ。
それまでこんなに大好きになる主人に出会えるなんて思ってもみなかったから。
クリスちゃんの信頼を、私が裏切ってしまった。
そう思ったら、ぽろぽろと涙が溢れて止まらなくなってしまった。
申し訳ない。
うれしい。
大好き。
劣等感。
敬愛。
誇り。
いろんな感情が私の中を巡っていく。
契約した時、自分にとって最高の主人に出会えたことがうれしかった。でもそれだけだった。
それが今は、ずっと忌まわしく思っていた従属契約が初めて誇りに思えた。
自分勝手な契約ではなく、主人に信頼をもらえる喜びを知ったから。
「ごめん…ごめんなさい、クリスちゃん…私…勝手だったわ…。信頼を…裏切って、ごめんなさい」
縋るように腕の中の存在を抱きしめた。
この小さな主人が私に信頼を置いてくれていたことをとても誇りに思う。
溢れた涙がクリスちゃんの頭にポタポタと落ちて雫を作り、滲みこんでいく。
このままではクリスちゃんの髪が私の涙で濡れてしまう。
涙を拭おうとしたけど、抱きしめているこの存在を離したくなくて…。
『リリー。ちゃんとおまえの望みも言えよ』
黙って隣にいたフォルトがぺろりと涙を舐めとってくれた。
それに驚いて、あれだけ溢れていた涙が引っ込んでしまった。
『おまえも幸せにならなきゃ、クリスはおまえを赦さないと思うぞ』
そう言ったフォルトの顔は哀しみと苦しさが混じったような表情だった。
その表情と言葉に圧されて、少しだけ戸惑った。
……言ってしまっていいのかしら?
こんなの、従属した者が言っていいことではない。
そう、これは私のわがままなの。
例え、信頼を置いてもらっていても、主人であるクリスちゃんもそれを望まなければ、叶わないこと。
腕の中の主人に視線を移すと、もうその瞳に悲しみの色はなかった。
勉強する時、何かを試す時、どこか行ったことのない所へ行く時、そんな時いつも向けてくれた、私を信頼する眼。
その眼に助けられて、深呼吸をした。
そして、私の望みを告白する。
「クリスちゃん…私、私ね…ずっとクリスちゃんと一緒にいたい。クリスちゃんの成長を隣で見守りたい。いつかクリスちゃんが私の身長を追い越して、素敵な大人になって、家族を持っても、ずっと隣で友達でいたいの」
それが私の一番の望み。
普通に考えたら、なんて図々しい願いなんだろうと思うわ。
クリスちゃんがこれからもずっと私を好きでいてくれる保証なんてないもの。
人間は様々な生き方ができるから、人との繋がりも気持ちも、場所や環境でその都度移り変わる。
それでも私はクリスちゃんの傍にいたいの。フラワーエルフの本能のままに。
思い切って望みを言ったものの…一向にクリスちゃんからの反応が返ってこない。
目を合わせたまま、何も言わない主人に不安が大きくなってくる。
ちゃんと私の気持ち届いたかしら?
しばらくして、クリスちゃんは少し困ったような顔をして目を伏せた。
「…リィちゃんはそれでいいの?」
「もちろんよ」
「それは従属してるからっていう使命感があるから?」
あら。そんな風にも取られてしまうのね?
「ううん。それは違うわ。クリスちゃんの傍にいたいから、従属契約したのよ」
「…途中で嫌になったらどうするの?」
「そんなこと、絶対ありえないわ」
「……」
「クリスちゃんは私のこと嫌い?」
しまった。これはずるい言い方だったかもしれないわ。
「嫌いじゃない。大好きだから、もしリィちゃんが私のこと嫌いになった時、足枷になりたくないの…」
クリスちゃんは目をまっすぐに向けてそう言った。
私が思っている以上にクリスちゃんが私のことを好きでいてくれていることに、また涙が出そうになった。
そして、その優しさに、誠実さに胸が熱くなる。
「ふふ。そうね。じゃあ、その時一緒に考えましょう。クリスちゃんに相談するわ。嫌いになったので契約破棄してくださいって、ね?」
重い空気を吹き飛ばすように明るい声でそう言うと、クリスちゃんはぽかんとして、でもすぐに笑ってくれた。
いつものかわいらしいその笑顔にほっとする。
「うん。わかった。リィちゃんが幸せなら、それでいいの」
「ええ。クリスちゃんの傍にいられるだけで幸せなんだから、契約破棄の相談をする日なんて来ないわよ?」
『ははは。違いねぇな。クリス、リリーは幸せのためならクリスにべったりだぞー』
「失礼しちゃうわね。クリスちゃんの邪魔はしないわよ」
会話に割って入ってきたフォルトを睨みつけると、安心したような笑みを返された。
私もフォルトに心配をかけさせてたのね。
視線で「ごめん」と謝ると、それが通じたかのようにフォルトは首を横に振った。
『俺もおまえと似たようなもんだ。クリスの親友で、どんなときでもクリスの味方だ。ほら、こういうの、同士って言うんだろ?クリスにもだけど、俺にも遠慮なく頼れよ?』
「フォルト…」
フォルトからの思いがけない言葉に驚いた。
だって、フォルトは他人には興味がなかったから。
私のことだって、秘密を共有している他人としか思ってないだろうなって、勝手に思ってた。
他の誰よりも一番話して、一緒に過ごしていたはずなのにね。
そう思うと、自然と笑みが零れる。
「ありがとう。遠慮なくそうさせてもらうわ」
ああ。なんて幸せなんだろう。
大好きな主人と同士に出会えて、こうして笑い合えて、これ以上の幸せを私は知らない。
幸せすぎて怖いくらいよ。
うれしさで溢れた涙を今度はクリスちゃんが拭ってくれた。
「リィちゃん、いまさらだけど私と契約してくれてありがとう。リィちゃんの主人として…ううん、親友として恥じないように頑張るから、これからもよろしくね」
「ええ。もちろんよ」
もう一度抱きしめ合って、笑い合った。
これからもクリスちゃんの傍にいられる。
私は、クリスちゃんのものであり、従属する者。
でも、クリスちゃんの親友でもある。
「私の方こそよろしくね、クリスちゃん」
クリスちゃんに真剣な顔でそう言われた時、もう隠し通せないなって思った。
ずっと隠すつもりはなかったけれど、できるなら、まだ先がよかった。
「…ええ。クリスちゃん。ちゃんと説明するわ」
お別れ会をしたあの日、クリスちゃんに「フラワーエルフの祝福」と言って従属契約をしたこと。
フラワーエルフは人に作られた存在で、従属できる特殊なエルフだということ。
それ故に、対等もしくは自分に有利な契約はできないということ。
一つ一つ、クリスちゃんにもわかるように、従属契約と私について説明した。
クリスちゃんは、それを黙って聞いてくれた。
説明が終わり、一つ息を吐いて隣のフォルトを見たら、なんとも複雑そうな顔を向けられていた。
ふふ、このことはフォルトしか知らなかったものね。
青目のうさぎさんには今日初めて会ったけど、フォルトの昔の仲間みたいだし、クリスちゃん達の会話からして敵ではない…かしらね。
うさぎさんの方は、私が説明している間クリスちゃんの方をじっと見つめていたから、何か思うところはあるのでしょうけど。
改めてクリスちゃんの方を向くと、思っていたとおり、泣きそうな顔をしていた。
そんな顔させたくなかったから隠したかったんだけどね…。
「クリスちゃん、これだけは言っておくわね。私はクリスちゃんのことが大好きで、親友って言ってもらえて、とってもとっても幸せなのよ」
「私だって、リィちゃんのこと大好き。リィちゃんは私の自慢の親友だよ」
クリスちゃんの手がギュッとスカートの裾を握って、かわいらしい色のスカートに皺が走る。
その手を撫でてあげると、思いっきり抱き着かれて倒れそうになった。
大好きな親友であり主人でもあるクリスちゃんの肩は震えていて、その表情は見えない。
「クリスちゃん…黙って従属契約したこと怒ってる?」
「…怒ってるよ。怒ってるに決まってる!!」
その悲痛な声に、胸が痛くなる。
契約は私の意志。
大好きなクリスちゃんだから、その無邪気に笑う笑顔を護りたかったから、私は契約することを決めたの。
そんなクリスちゃんへの愛情を否定されたような気がして、勝手に落ち込んでしまう。
「どうして言ってくれなかったの!?そんな大事なこと私が知らないところで決めないで!!」
クリスちゃんはそう言うと、私の腕の中で大泣きした。
やっぱり泣かせてしまったわ…。
初めて一緒におでかけした時にプレゼントした花の髪ゴムをクリスちゃんは今でも着けてくれていた。
その髪ゴムを見つめながら、この小さな存在を抱きしめ返すことしかできなかった。
「契約は大事なことなんだよね?リィちゃんの道を決めちゃうんだよね?そんな足枷みたいな契約、したくなかった!」
「クリスちゃん…」
クリスちゃんにはきっとわからないこと。
従属させられる側にとって、自分のすべてを差し出したいと思うほどの相手に出会えるのは奇跡なのよ。
この気持ちは、感覚は、当事者にならないとわからないものだわ。
「…でも…リィちゃんの気持ちも大事にしたい…。だから、相談してほしかった。契約のこともフラワーエルフのことも知って、リィちゃんが本当に望んでいることを知りたかった…私はちゃんと知って考えた上で従属契約を結びたかったよ」
クリスちゃんはそう言って、顔を上げた。
涙に濡れた、それでも強い輝きを宿すその瞳に私が映った。
「だって、私はリィちゃんの親友だよ?そんな契約なんか無くったってリィちゃんの望みを叶えたい、困っていたら助けたい。それくらい信頼してるんだよ」
ああ、なんてことなの。
その時、本当に私は勝手なことをしたんだなって思い知った。
主人となるクリスちゃんも当事者なのに。
私は主人となる側の気持ちを知ろうとしてなかったんだわ。
それまでこんなに大好きになる主人に出会えるなんて思ってもみなかったから。
クリスちゃんの信頼を、私が裏切ってしまった。
そう思ったら、ぽろぽろと涙が溢れて止まらなくなってしまった。
申し訳ない。
うれしい。
大好き。
劣等感。
敬愛。
誇り。
いろんな感情が私の中を巡っていく。
契約した時、自分にとって最高の主人に出会えたことがうれしかった。でもそれだけだった。
それが今は、ずっと忌まわしく思っていた従属契約が初めて誇りに思えた。
自分勝手な契約ではなく、主人に信頼をもらえる喜びを知ったから。
「ごめん…ごめんなさい、クリスちゃん…私…勝手だったわ…。信頼を…裏切って、ごめんなさい」
縋るように腕の中の存在を抱きしめた。
この小さな主人が私に信頼を置いてくれていたことをとても誇りに思う。
溢れた涙がクリスちゃんの頭にポタポタと落ちて雫を作り、滲みこんでいく。
このままではクリスちゃんの髪が私の涙で濡れてしまう。
涙を拭おうとしたけど、抱きしめているこの存在を離したくなくて…。
『リリー。ちゃんとおまえの望みも言えよ』
黙って隣にいたフォルトがぺろりと涙を舐めとってくれた。
それに驚いて、あれだけ溢れていた涙が引っ込んでしまった。
『おまえも幸せにならなきゃ、クリスはおまえを赦さないと思うぞ』
そう言ったフォルトの顔は哀しみと苦しさが混じったような表情だった。
その表情と言葉に圧されて、少しだけ戸惑った。
……言ってしまっていいのかしら?
こんなの、従属した者が言っていいことではない。
そう、これは私のわがままなの。
例え、信頼を置いてもらっていても、主人であるクリスちゃんもそれを望まなければ、叶わないこと。
腕の中の主人に視線を移すと、もうその瞳に悲しみの色はなかった。
勉強する時、何かを試す時、どこか行ったことのない所へ行く時、そんな時いつも向けてくれた、私を信頼する眼。
その眼に助けられて、深呼吸をした。
そして、私の望みを告白する。
「クリスちゃん…私、私ね…ずっとクリスちゃんと一緒にいたい。クリスちゃんの成長を隣で見守りたい。いつかクリスちゃんが私の身長を追い越して、素敵な大人になって、家族を持っても、ずっと隣で友達でいたいの」
それが私の一番の望み。
普通に考えたら、なんて図々しい願いなんだろうと思うわ。
クリスちゃんがこれからもずっと私を好きでいてくれる保証なんてないもの。
人間は様々な生き方ができるから、人との繋がりも気持ちも、場所や環境でその都度移り変わる。
それでも私はクリスちゃんの傍にいたいの。フラワーエルフの本能のままに。
思い切って望みを言ったものの…一向にクリスちゃんからの反応が返ってこない。
目を合わせたまま、何も言わない主人に不安が大きくなってくる。
ちゃんと私の気持ち届いたかしら?
しばらくして、クリスちゃんは少し困ったような顔をして目を伏せた。
「…リィちゃんはそれでいいの?」
「もちろんよ」
「それは従属してるからっていう使命感があるから?」
あら。そんな風にも取られてしまうのね?
「ううん。それは違うわ。クリスちゃんの傍にいたいから、従属契約したのよ」
「…途中で嫌になったらどうするの?」
「そんなこと、絶対ありえないわ」
「……」
「クリスちゃんは私のこと嫌い?」
しまった。これはずるい言い方だったかもしれないわ。
「嫌いじゃない。大好きだから、もしリィちゃんが私のこと嫌いになった時、足枷になりたくないの…」
クリスちゃんは目をまっすぐに向けてそう言った。
私が思っている以上にクリスちゃんが私のことを好きでいてくれていることに、また涙が出そうになった。
そして、その優しさに、誠実さに胸が熱くなる。
「ふふ。そうね。じゃあ、その時一緒に考えましょう。クリスちゃんに相談するわ。嫌いになったので契約破棄してくださいって、ね?」
重い空気を吹き飛ばすように明るい声でそう言うと、クリスちゃんはぽかんとして、でもすぐに笑ってくれた。
いつものかわいらしいその笑顔にほっとする。
「うん。わかった。リィちゃんが幸せなら、それでいいの」
「ええ。クリスちゃんの傍にいられるだけで幸せなんだから、契約破棄の相談をする日なんて来ないわよ?」
『ははは。違いねぇな。クリス、リリーは幸せのためならクリスにべったりだぞー』
「失礼しちゃうわね。クリスちゃんの邪魔はしないわよ」
会話に割って入ってきたフォルトを睨みつけると、安心したような笑みを返された。
私もフォルトに心配をかけさせてたのね。
視線で「ごめん」と謝ると、それが通じたかのようにフォルトは首を横に振った。
『俺もおまえと似たようなもんだ。クリスの親友で、どんなときでもクリスの味方だ。ほら、こういうの、同士って言うんだろ?クリスにもだけど、俺にも遠慮なく頼れよ?』
「フォルト…」
フォルトからの思いがけない言葉に驚いた。
だって、フォルトは他人には興味がなかったから。
私のことだって、秘密を共有している他人としか思ってないだろうなって、勝手に思ってた。
他の誰よりも一番話して、一緒に過ごしていたはずなのにね。
そう思うと、自然と笑みが零れる。
「ありがとう。遠慮なくそうさせてもらうわ」
ああ。なんて幸せなんだろう。
大好きな主人と同士に出会えて、こうして笑い合えて、これ以上の幸せを私は知らない。
幸せすぎて怖いくらいよ。
うれしさで溢れた涙を今度はクリスちゃんが拭ってくれた。
「リィちゃん、いまさらだけど私と契約してくれてありがとう。リィちゃんの主人として…ううん、親友として恥じないように頑張るから、これからもよろしくね」
「ええ。もちろんよ」
もう一度抱きしめ合って、笑い合った。
これからもクリスちゃんの傍にいられる。
私は、クリスちゃんのものであり、従属する者。
でも、クリスちゃんの親友でもある。
「私の方こそよろしくね、クリスちゃん」
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