クリスの魔法の石

夏海 菜穂(旧:Nao.)

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第2章 ◆ 見えるものと見えないものと

22. 幕間:明かり

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 暗闇の中、ぼんやりと意識が沈んでいく。
 まるで出血でもしているかのように体から力が流れ出ていく。
 これ以上力を失えば、私は別の何かになってしまう。
 ああ、私の存在はこのままこの闇に融けて無くなってしまうのだろうか。

「主よ、我が使命を果たせずに終わることをお赦しください」

 意識を手放そうとした時、何かが私の領域に入ってきたのを感じ取った。
 なんだろう?この気配は、いつも傍にいた明るく楽しい妖精達のものではない。
 妖精達が何かを招き入れたのだろうか?
 その気配は妖精達と何やら会話をしているようだ。
 人間?いや、人間には妖精が見えないはずだ。なら、何だというのだろう?
 不思議な気配は、妖精達とともにこちらに近付いてくるようだった。
 それ以上近付いては駄目だ。
 ここはおまえのような澄んだ者が来る場所ではない。
 そう願うも、澄んだ透明な魔力を持つその者は、あっという間に私と同じ暗闇に飲み込まれた。
 いけない、剣に存在を捉えられてしまった。このままではあの者も私のように闇に融けてしまう。
 しかしその者は、懐かしいものを手にしていた。昔、主が人間に託された魔宝石、ユーラティオだ。
 光を帯びた気配は、闇にかき消されることなく動き続けていた。
 それが私には暗闇に灯る明かりのように思えた。

「ああ、主よ。あなたは弱った私のためにあの者を遣わせてくれたのでしょうか」

 遠のいていた意識がはっきりしてくる。
 あの温かな気配を追えば、不思議と心が安らぎに満ちた。
 それでも力は流れていく一方だったが、気にも留めなかった。

 あの者に会いたい。会わなければ。

 そう思った時、気配が私の一部に触れた。
 それは思いがけない邂逅。
 優しく触れたのはまだ子どもの手だった。
 その者が一体誰なのかは知らない。
 そう、知らないはずだ。
 知らないはずなのに、ひどくその者が懐かしく思えた。
 遠い記憶の彼方に精霊と妖精に囲まれた彼女の後姿が思い起こされる。

 ああ、そうか。私は知っている。



 この者は………。


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