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第1章 ◆ はじまりと出会いと
5. おでかけ①
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小さくて大きな決意から、私はちょっとずつ光組八番クリスとしていろんなことを頑張りました。
もう知らない人からの視線にも慣れました!
それでも、お兄ちゃん達と歩いていると、ちょっとだけ居心地は悪いのですが…。
その分お兄ちゃん達が私をかわいがってくれるから、ふっとんじゃいます。
でも、人前で抱っこはちょっと恥ずかしいな…。
私はお兄ちゃん達にとって、まだまだ小さい子どものようです。むむむ。
学校に通ってわかったことは、私は魔力がとても弱い上に体力もあまり無いということです。
魔法が使えるかどうかは、体力があるかないかにも繋がっていると知りました。
魔法を使うには魔力も必要ですが、体力も少なからず必要なのだそうです。
水が入ったバケツを持ち上げて運ぶのに体力がいるように、魔法を使うのにもその魔力を使う体力が必要なんですね。
魔力があっても、魔法が使えない・下手な人は、大抵は体力がそれについていけてないことが多いのだと先生は言っていました。
そして、何より、そこに「意志」を持って使わなければならないのだそうです。
むむむ。体力をつけたら、魔力も少しは上がるのかな…?
体力のことなら、お父さんとクロードお兄ちゃんに聞いてみよう。
小さな私でも、ちょっとずつできる運動を教えてくれるかもしれないです。
レガロお兄ちゃんには、魔力が弱くても使える簡単な魔法を教えてもらいます。
今はまだまだでも、私ができることを頑張り続ければ、魔法もきっと使えるようになるよね!あきらめません!
さて、今日は学校はお休みです。
そして、なんと!
リィちゃんと街へおでかけする日です!
わーいっ、女の子の友達とおでかけは初めてです!
あ、私達だけでは心配ということで、レガロお兄ちゃんも付き添いとして一緒に来てくれました。
本当はクロードお兄ちゃんが来てくれるはずだったんだけど、自警団の訓練が入ってしまいました。
残念そうに「また今度、一緒に行こうな」と頭をなでて見送ってくれました。
クロードお兄ちゃんにお土産を買わないとですね!
いつもより二つ遅い便の馬車に乗って、オルデンに向かいます。
オルデンは、私が通っているグランツ学園がある街で、国で二番目に大きな街です。
北の高い山を背に、扇状に街の三分の一をグランツ学園が占めています。
そのグランツ学園から南へ行くほど、商店や飲食店が並んで、街の南門あたりになると、宿屋や役所、騎士団の駐屯地が並んでいます。
昼も夜も明るい街で、お店にはいろんな商品が並んでいます。
食べ物はもちろん、外国の装飾品や伝統工芸品、珍しい武器や本などもあります。
「オルデンは、交易都市として重要な街なのです」と、レガロお兄ちゃんが言いました。
こうえきってなんだろうと思っていたら、レガロお兄ちゃんはわかりやすく教えてくれました。
レガロお兄ちゃんのお話を聞いていたら、あっという間に停留所に着きました。
馬車を降りたら、リィちゃんが待っていてくれていました。
「クリスちゃん、おはよう。あ、もうお昼だから、こんにちは、ね」
「リィちゃん、こんにちは!楽しみすぎて眠れなかったよ」
「ふふ、私もよ」
二人できゃっきゃっしていると、レガロお兄ちゃんが小さく咳払いをしました。
あ、ごめんなさい、レガロお兄ちゃん。
「リィちゃん、もう知ってると思うけど、私のお兄ちゃんのレガロお兄ちゃん。今日は付き添いとして一緒に来てくれたの」
「わ、わわ~~~っ!?は、はじめましてっ!クリスちゃんと同じクラスのリリーと言います!っよ、よろしくお願いします!」
リィちゃん、すごい緊張してます。
そういえば、お兄ちゃんパニックの時もすごく興奮していました。
顔を赤くして敬語でお話ししている姿は、なんだかかわいいです。ものすごくアワアワしてるけど。
「はじめまして、リリーさん。クリスの兄、レガロです。クリスがいつもお世話になっています。今日はクロード兄上の代理で来ました。どうぞよろしくお願いいたします」
レガロお兄ちゃんはそう言うと、きれいな礼を執りました。
いつ見てもきれいな礼で、私も思わずリィちゃんと一緒にお辞儀をしてしまいました。
ちらりと周りを見てみると、道行く人の中にもリィちゃんみたいに顔を真っ赤にして騒ぐ女の子達がいました。
んん?レガロお兄ちゃんは街中でも有名人なのでしょうか?
周りの人の目が学校にいるときと同じ視線です。
「それでは、まずはどこに行きますか?」
「えっと…最初は雑貨屋さんに行きたい!」
うん、周りのことなんて気にしない!
今日は思いっきり、リィちゃんとレガロお兄ちゃんと一緒に街を楽しみます!
「私も雑貨屋さんで賛成よ」
リィちゃんは笑顔で賛成してくれました。
レガロお兄ちゃんは、何か考えて、すぐに頷きました。
「雑貨屋が多く並ぶ通りは、猫町通りと花風通りですが、どちらに行きますか?」
「まあ、お店の通りをすべて知っているんですか?」
リィちゃんが目を丸くして聞きます。
私もびっくりしました。
オルデンには学校に通う前にも何度か来たことはありますが、通りの名前やお店の並びまで覚えていません。
さすがレガロお兄ちゃんです!
「そうですね。よく研究材料の買出しに来ますから。その時にいろんな人から頼まれごとをされるので覚えてしまったのですよ。なので、オルデンの地図は頭に入っています」
「そうなのですね。とっても心強いです」
「そう言っていただけて光栄です」
レガロお兄ちゃんがふわっと笑うと、リィちゃんの顔はまた真っ赤になってしまいました。
あわわわわっ、大丈夫かな!?
こんなに真っ赤になって、倒れたりしないでしょうか!?心配です。
でもレガロお兄ちゃんは普通に接しているから大丈夫…なのかな?
そして例のごとく、周りの人達も叫んだり、顔を赤くしたり、忙しそうです。
そんなこんなで、最初の行き先は猫町通りにしました。
その通りに喫茶店があるので、そこでお昼ということになりました。
「クリスちゃん、はぐれないように手を繋ぎましょう」
「うんっ!」
ふわふわかわいいリィちゃんに誘われたら、断れないです。
リィちゃんと右手を、レガロお兄ちゃんと左手を繋いで、私達は猫町通りを目指しました。
大好きな人達を両手に独り占めです!
「…っか、かわいい!!」
「本当ねっ!」
猫町通りはその名の通り、猫がたくさん住んでいる通りのようです。
道のあちこちで猫が休んでいたり、歩いたり、お話ししています。
え?お話ししてるって?
そう、この通りの猫は、お店を開いている猫もいて言葉をしゃべるんです!
でも、言葉をしゃべる猫は白猫と黒猫だけ。
それ以外の猫はしゃべれませんが、とても人に慣れていて、後ろを付いてきたり、じゃれてきたりして、とってもかわいいです!もう、メロメロです!
リィちゃんも目をキラキラさせて猫達の様子を見ています。
レガロお兄ちゃんは、はぐれないようにしっかりと私の手を握っているので、ぐいぐい引っ張る私に困った顔をしています。
「おや、レガロのだんにゃ。今日は妹ちゃんと…おおっ、彼女と一緒かにゃ?これまた、かわいらしい娘だにゃあ」
急に後ろから声をかけられました。
振り向けば、少しぽっちゃりした黒猫が私達を見上げていました。
は!しゃべる猫ですね!?
首には青いストライプのリボンを着けていて、紳士みたいです。
リィちゃんは、彼女という言葉にびっくりして、顔を真っ赤にしています。
さっきよりも真っ赤です。大丈夫でしょうか?
「こんにちは、ダンテさん。いえ、この方は妹の友人です。私は二人の付き添いで来たのです」
「にゃあ~、そうだったにゃか。これは失礼したにゃ。そうにゃ、レガロのだんにゃ、今日はいい材料が入ってるにゃよ。見ていくかにゃ?」
ダンテと呼ばれた黒猫さんは、肉球をお店の方に向けます。
お店を見ると、看板に「○◆×◎専門店」と書かれていました。
んん??なんて読むのでしょうか?猫文字?
「申し訳ないです、ダンテさん。今日は妹達が最優先なんです。またの機会に来ますね」
「それは残念にゃ~。また来てにゃあ」
ダンテさんと別れて、雑貨屋さんを巡ります。
雑貨屋さんは、本当にいろんな雰囲気のお店があって、かわいいお店はもちろん、かっこいいお店や大人っぽいお店、古びたお店もあったら、ピカピカでゴージャスなお店までありました。
初めて見るものばかりで、どのお店も気になって迷ってしまいます。
「いろんなお店があって、迷っちゃうなぁ。リィちゃんは気になるお店見つけた?」
「ええ。あのグリーンがたくさん飾られてる雑貨屋さんがいいなって」
リィちゃんが指差した方には、入り口やショーウィンドウが緑でいっぱいのお店でした。
植物が好きなリィちゃんの雰囲気にぴったりです。
「じゃあ、あのお店から見ようよ」
「いいの?クリスちゃん」
「うん。私はまだ迷ってるから。後でいいよ」
笑顔で答えれば、リィちゃんも笑顔を返してくれました。
どうしても迷ったら、リィちゃんとお揃いのものを買ってもいいかも。
こっそりそんなことを思いながら、雑貨屋「Green Bird」に入りました。
お店の中は、緑であふれていて、とても落ち着いた空間でした。
外からだとわからなかったけど、大きな木を中心にお店が建てられているみたいです。
その大きな木は不思議な存在感があって、触ってみると何か温かいものを感じます。
そう思ったら、大きな木からふわふわと淡い光が現れて、意志があるのか私の周りをゆっくりと動いていきます。
まるで話しかけられてるみたいです。
他にもいろんな植物や花があって、どれも温かい光がふわふわと舞っていました。
その不思議な光景に見入ってしまいます。
リィちゃんは、好みの雑貨があったようで、何個か手に取っては、見比べていました。
ふふふ、リィちゃん、かわいいです。
「クリスは見なくていいのですか?」
「うん。欲しいものはないの。このお店の雰囲気だけで十分だよ」
レガロお兄ちゃんは、そんな私をじっと見つめていました。
視線に気がついて「なあに?」と首をかしげると、レガロお兄ちゃんは何かを言いかけて、やめてしまいました。
どうしたんだろう?なんだか困ったような、悩んでいるような、変な顔をしています。
は!もしかして!レガロお兄ちゃんも何か買いたいのかな!?
さっきは私達が最優先って言ってくれたけど、レガロお兄ちゃんにも楽しんでほしいです。
そう思って、レガロお兄ちゃんの手を引っ張ります。
「お兄ちゃんは、行きたいお店ある?何か買い物しようよ。私達だけじゃなくて、お兄ちゃんにも楽しんでほしいの」
両手でぐいぐいとレガロお兄ちゃんの手を引っ張れば、困ったように笑います。
でも、それは嫌な顔じゃなくて、私をかわいがる時の顔です。
「クリスが楽しければ、僕も楽しいですよ」
そのレガロお兄ちゃんの笑顔に、お店にいた女の人達がみんな顔を真っ赤にしたのが見えました。
レガロお兄ちゃんは、笑顔だけで女の人を倒せるんじゃないかなと思った瞬間でした。
もう知らない人からの視線にも慣れました!
それでも、お兄ちゃん達と歩いていると、ちょっとだけ居心地は悪いのですが…。
その分お兄ちゃん達が私をかわいがってくれるから、ふっとんじゃいます。
でも、人前で抱っこはちょっと恥ずかしいな…。
私はお兄ちゃん達にとって、まだまだ小さい子どものようです。むむむ。
学校に通ってわかったことは、私は魔力がとても弱い上に体力もあまり無いということです。
魔法が使えるかどうかは、体力があるかないかにも繋がっていると知りました。
魔法を使うには魔力も必要ですが、体力も少なからず必要なのだそうです。
水が入ったバケツを持ち上げて運ぶのに体力がいるように、魔法を使うのにもその魔力を使う体力が必要なんですね。
魔力があっても、魔法が使えない・下手な人は、大抵は体力がそれについていけてないことが多いのだと先生は言っていました。
そして、何より、そこに「意志」を持って使わなければならないのだそうです。
むむむ。体力をつけたら、魔力も少しは上がるのかな…?
体力のことなら、お父さんとクロードお兄ちゃんに聞いてみよう。
小さな私でも、ちょっとずつできる運動を教えてくれるかもしれないです。
レガロお兄ちゃんには、魔力が弱くても使える簡単な魔法を教えてもらいます。
今はまだまだでも、私ができることを頑張り続ければ、魔法もきっと使えるようになるよね!あきらめません!
さて、今日は学校はお休みです。
そして、なんと!
リィちゃんと街へおでかけする日です!
わーいっ、女の子の友達とおでかけは初めてです!
あ、私達だけでは心配ということで、レガロお兄ちゃんも付き添いとして一緒に来てくれました。
本当はクロードお兄ちゃんが来てくれるはずだったんだけど、自警団の訓練が入ってしまいました。
残念そうに「また今度、一緒に行こうな」と頭をなでて見送ってくれました。
クロードお兄ちゃんにお土産を買わないとですね!
いつもより二つ遅い便の馬車に乗って、オルデンに向かいます。
オルデンは、私が通っているグランツ学園がある街で、国で二番目に大きな街です。
北の高い山を背に、扇状に街の三分の一をグランツ学園が占めています。
そのグランツ学園から南へ行くほど、商店や飲食店が並んで、街の南門あたりになると、宿屋や役所、騎士団の駐屯地が並んでいます。
昼も夜も明るい街で、お店にはいろんな商品が並んでいます。
食べ物はもちろん、外国の装飾品や伝統工芸品、珍しい武器や本などもあります。
「オルデンは、交易都市として重要な街なのです」と、レガロお兄ちゃんが言いました。
こうえきってなんだろうと思っていたら、レガロお兄ちゃんはわかりやすく教えてくれました。
レガロお兄ちゃんのお話を聞いていたら、あっという間に停留所に着きました。
馬車を降りたら、リィちゃんが待っていてくれていました。
「クリスちゃん、おはよう。あ、もうお昼だから、こんにちは、ね」
「リィちゃん、こんにちは!楽しみすぎて眠れなかったよ」
「ふふ、私もよ」
二人できゃっきゃっしていると、レガロお兄ちゃんが小さく咳払いをしました。
あ、ごめんなさい、レガロお兄ちゃん。
「リィちゃん、もう知ってると思うけど、私のお兄ちゃんのレガロお兄ちゃん。今日は付き添いとして一緒に来てくれたの」
「わ、わわ~~~っ!?は、はじめましてっ!クリスちゃんと同じクラスのリリーと言います!っよ、よろしくお願いします!」
リィちゃん、すごい緊張してます。
そういえば、お兄ちゃんパニックの時もすごく興奮していました。
顔を赤くして敬語でお話ししている姿は、なんだかかわいいです。ものすごくアワアワしてるけど。
「はじめまして、リリーさん。クリスの兄、レガロです。クリスがいつもお世話になっています。今日はクロード兄上の代理で来ました。どうぞよろしくお願いいたします」
レガロお兄ちゃんはそう言うと、きれいな礼を執りました。
いつ見てもきれいな礼で、私も思わずリィちゃんと一緒にお辞儀をしてしまいました。
ちらりと周りを見てみると、道行く人の中にもリィちゃんみたいに顔を真っ赤にして騒ぐ女の子達がいました。
んん?レガロお兄ちゃんは街中でも有名人なのでしょうか?
周りの人の目が学校にいるときと同じ視線です。
「それでは、まずはどこに行きますか?」
「えっと…最初は雑貨屋さんに行きたい!」
うん、周りのことなんて気にしない!
今日は思いっきり、リィちゃんとレガロお兄ちゃんと一緒に街を楽しみます!
「私も雑貨屋さんで賛成よ」
リィちゃんは笑顔で賛成してくれました。
レガロお兄ちゃんは、何か考えて、すぐに頷きました。
「雑貨屋が多く並ぶ通りは、猫町通りと花風通りですが、どちらに行きますか?」
「まあ、お店の通りをすべて知っているんですか?」
リィちゃんが目を丸くして聞きます。
私もびっくりしました。
オルデンには学校に通う前にも何度か来たことはありますが、通りの名前やお店の並びまで覚えていません。
さすがレガロお兄ちゃんです!
「そうですね。よく研究材料の買出しに来ますから。その時にいろんな人から頼まれごとをされるので覚えてしまったのですよ。なので、オルデンの地図は頭に入っています」
「そうなのですね。とっても心強いです」
「そう言っていただけて光栄です」
レガロお兄ちゃんがふわっと笑うと、リィちゃんの顔はまた真っ赤になってしまいました。
あわわわわっ、大丈夫かな!?
こんなに真っ赤になって、倒れたりしないでしょうか!?心配です。
でもレガロお兄ちゃんは普通に接しているから大丈夫…なのかな?
そして例のごとく、周りの人達も叫んだり、顔を赤くしたり、忙しそうです。
そんなこんなで、最初の行き先は猫町通りにしました。
その通りに喫茶店があるので、そこでお昼ということになりました。
「クリスちゃん、はぐれないように手を繋ぎましょう」
「うんっ!」
ふわふわかわいいリィちゃんに誘われたら、断れないです。
リィちゃんと右手を、レガロお兄ちゃんと左手を繋いで、私達は猫町通りを目指しました。
大好きな人達を両手に独り占めです!
「…っか、かわいい!!」
「本当ねっ!」
猫町通りはその名の通り、猫がたくさん住んでいる通りのようです。
道のあちこちで猫が休んでいたり、歩いたり、お話ししています。
え?お話ししてるって?
そう、この通りの猫は、お店を開いている猫もいて言葉をしゃべるんです!
でも、言葉をしゃべる猫は白猫と黒猫だけ。
それ以外の猫はしゃべれませんが、とても人に慣れていて、後ろを付いてきたり、じゃれてきたりして、とってもかわいいです!もう、メロメロです!
リィちゃんも目をキラキラさせて猫達の様子を見ています。
レガロお兄ちゃんは、はぐれないようにしっかりと私の手を握っているので、ぐいぐい引っ張る私に困った顔をしています。
「おや、レガロのだんにゃ。今日は妹ちゃんと…おおっ、彼女と一緒かにゃ?これまた、かわいらしい娘だにゃあ」
急に後ろから声をかけられました。
振り向けば、少しぽっちゃりした黒猫が私達を見上げていました。
は!しゃべる猫ですね!?
首には青いストライプのリボンを着けていて、紳士みたいです。
リィちゃんは、彼女という言葉にびっくりして、顔を真っ赤にしています。
さっきよりも真っ赤です。大丈夫でしょうか?
「こんにちは、ダンテさん。いえ、この方は妹の友人です。私は二人の付き添いで来たのです」
「にゃあ~、そうだったにゃか。これは失礼したにゃ。そうにゃ、レガロのだんにゃ、今日はいい材料が入ってるにゃよ。見ていくかにゃ?」
ダンテと呼ばれた黒猫さんは、肉球をお店の方に向けます。
お店を見ると、看板に「○◆×◎専門店」と書かれていました。
んん??なんて読むのでしょうか?猫文字?
「申し訳ないです、ダンテさん。今日は妹達が最優先なんです。またの機会に来ますね」
「それは残念にゃ~。また来てにゃあ」
ダンテさんと別れて、雑貨屋さんを巡ります。
雑貨屋さんは、本当にいろんな雰囲気のお店があって、かわいいお店はもちろん、かっこいいお店や大人っぽいお店、古びたお店もあったら、ピカピカでゴージャスなお店までありました。
初めて見るものばかりで、どのお店も気になって迷ってしまいます。
「いろんなお店があって、迷っちゃうなぁ。リィちゃんは気になるお店見つけた?」
「ええ。あのグリーンがたくさん飾られてる雑貨屋さんがいいなって」
リィちゃんが指差した方には、入り口やショーウィンドウが緑でいっぱいのお店でした。
植物が好きなリィちゃんの雰囲気にぴったりです。
「じゃあ、あのお店から見ようよ」
「いいの?クリスちゃん」
「うん。私はまだ迷ってるから。後でいいよ」
笑顔で答えれば、リィちゃんも笑顔を返してくれました。
どうしても迷ったら、リィちゃんとお揃いのものを買ってもいいかも。
こっそりそんなことを思いながら、雑貨屋「Green Bird」に入りました。
お店の中は、緑であふれていて、とても落ち着いた空間でした。
外からだとわからなかったけど、大きな木を中心にお店が建てられているみたいです。
その大きな木は不思議な存在感があって、触ってみると何か温かいものを感じます。
そう思ったら、大きな木からふわふわと淡い光が現れて、意志があるのか私の周りをゆっくりと動いていきます。
まるで話しかけられてるみたいです。
他にもいろんな植物や花があって、どれも温かい光がふわふわと舞っていました。
その不思議な光景に見入ってしまいます。
リィちゃんは、好みの雑貨があったようで、何個か手に取っては、見比べていました。
ふふふ、リィちゃん、かわいいです。
「クリスは見なくていいのですか?」
「うん。欲しいものはないの。このお店の雰囲気だけで十分だよ」
レガロお兄ちゃんは、そんな私をじっと見つめていました。
視線に気がついて「なあに?」と首をかしげると、レガロお兄ちゃんは何かを言いかけて、やめてしまいました。
どうしたんだろう?なんだか困ったような、悩んでいるような、変な顔をしています。
は!もしかして!レガロお兄ちゃんも何か買いたいのかな!?
さっきは私達が最優先って言ってくれたけど、レガロお兄ちゃんにも楽しんでほしいです。
そう思って、レガロお兄ちゃんの手を引っ張ります。
「お兄ちゃんは、行きたいお店ある?何か買い物しようよ。私達だけじゃなくて、お兄ちゃんにも楽しんでほしいの」
両手でぐいぐいとレガロお兄ちゃんの手を引っ張れば、困ったように笑います。
でも、それは嫌な顔じゃなくて、私をかわいがる時の顔です。
「クリスが楽しければ、僕も楽しいですよ」
そのレガロお兄ちゃんの笑顔に、お店にいた女の人達がみんな顔を真っ赤にしたのが見えました。
レガロお兄ちゃんは、笑顔だけで女の人を倒せるんじゃないかなと思った瞬間でした。
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