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第1章 ◆ はじまりと出会いと
4. 光組八番のクリスです
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学校に通い始めて一週間。
だんだん学校生活にも慣れてきました。
苦手だった計算も、苦手意識がなくなって、楽しくなってきました。
魔法は相変わらず使えませんが、先生は「魔法が使えなくても単位は取れるから大丈夫だよ」と言ってくれました。
むむむ。でも、周りが使っていれば私も一つくらいは使ってみたいと思うのは仕方ないですよね。
今はお昼の長い休み時間です。
教室でリィちゃんとお昼ごはんのお弁当を食べながら、次の授業の話をしています。
しているのですが…。
「あの子がクロード様の妹さん?」
「ずいぶん年が離れているんだなぁ」
「レガロ様のように頭がいいのかしら?」
「もしかしたら、芸術方面かもしれないぞ。なんたって、あの兄弟の妹だからな」
あのお兄ちゃんパニック(一緒に帰っただけ)から、みんなの目が痛いです。
毎日、知らない人達が休み時間のたびに教室にやってきます。
期待の声や、残念そうな視線、様々な好奇心が私の背中を刺してきます。
ううっ、ものすごく居心地が悪いです…。
あの後、リィちゃんから聞いた話ですが、クロードお兄ちゃんとレガロお兄ちゃんが揃うことは、なかなかないそうです。
そう言われてみれば、クロードお兄ちゃんは教育科じゃなくて別の学修科の塔に行っているし、レガロお兄ちゃんも登下校以外は空組専用の図書室や実験室から出てきません。
私達は、会う約束をしない限り、簡単に揃わないと思います。
だからあの日、すごい人だかりだったんですね…。
家の中だけではわからなかった、お兄ちゃん達のすごさがよくわかりました。
そして、あの時の、みんなの信じられないようなものを見る目は、本当に忘れられないです。
確かに、小っちゃいけど!全然似てないけど!
お兄ちゃん達と見比べられて「え?」っていう顔をされると、ちょっと傷つきます!
私はこれから大きくなるんですー!
「…クリスちゃん、ごめんね…」
「ふえ?」
口の中に卵焼きが入っていたので、変な返事をしてしまいました。
もぐもぐ急いで飲み込んで、リィちゃんの方にもう一度向きます。
「私、ちょっとだけクリスちゃんが羨ましかったの。クロード様とレガロ様の妹ってことが。それでクリスちゃんを傷つけちゃったわ」
どうして私が傷ついたと思ったんだろうと、首をかしげました。
お兄ちゃん達の妹であることは、とてもうれしいことです。
でも、胸の奥にはもやもやがあって、ちょっとだけさみしい気分です。
これは、私が傷ついているから?
「毎日こうやっていろんな人がクリスちゃんを見に来るでしょう?でも、きっとほとんどの人がクリスちゃんを直接見ていないわ。お兄様達を通して見ているのよ。私も、クリスちゃんに似てないって言っちゃったし…本当にごめんね」
なるほど。
私のことなのに、どこか別の人のように聞こえるのは、そういうことだったのですね。
「だが、そうじゃなかったら、クリスはいろんな人には知られなかっただろ?」
突然の会話の乱入に、リィちゃんとその声の主の方へ向きます。
いつの間にか、私たちのそばにカイト君が立っていました。
「どういうこと?」
リィちゃんがむっとした顔でカイト君を見上げます。
「この学校にはいろんな人がいるんだぜ。この学校で、俺らのことを知っている人なんて、この組の奴、関わってる先生くらいだろ。クリスは立派な兄ちゃん達のおかげで、いろんな人に知られたんだから、贅沢ってもんだ」
「む~、そうだけどぉ…。クリスちゃんはクリスちゃんだよ」
「わかってるよ。それは、俺達がわかっていればそれでいいだろ。名は知られないより知られた方がいい。名が知られるということは、存在していることの証だ」
カイト君のその言葉に、リィちゃんはびっくりしたように目を大きくしました。
私は、カイト君がどうしてそんなことを言ったのか、わかりませんでした。
だって、その目はとても悲しそうなものだったから。
「……難しくてわからないよ、カイト君」
困り顔で言うと、カイト君は一瞬怒った顔をしましたが、すぐに教室を出ていってしまいました。
リィちゃんは、それを困った顔で見送って、小さくため息をつきました。
カイト君を怒らせてしまったのでしょうか。
心配になって、リィちゃんを見れば、また困った顔をさせてしまいました。
「本当にごめんね、クリスちゃん。カイトも…怒ってるように見えるけど、本当はクリスちゃんを心配してるんだと思うわ」
「そっか…。リィちゃんも気にしないで。周りが騒ぐのもわかるよ。お兄ちゃん達が立派なのは本当のことで、それは私のことじゃないっていうのも。だから、まずは光組8番のクリスとして頑張るよ!」
にこーっと笑えば、リィちゃんはびっくりした顔をして、でもすぐにふんわり笑ってくれました。
うん、リィちゃんには笑顔が一番似合います!
二人で笑い合えば、ぽかぽかと心があったかくなります。
本当だね、カイト君。
きっとカイト君が言いたかったことと違うかもしれないけど、カイト君の言うとおりだと思います。
リィちゃんやカイト君が私自身を見てくれていることを知っているから、知らない人達が私を見ていなくても平気です。
遠くの人よりも身近な人がわかってくれるなら、今はそれでいい。
これからどんな道に進むのかわからないけど、少しずつ私のペースで友達を増やしていけばいいんだよね?
よし!まずは最初の目標である、私ができることを見つけます!
せっかくグランツ学園に入ったんです。
お父さんやお母さんが言ったように、私は私なりに勉強と友達作りをしようと思います。
小さいけど、でも大きな一歩になる決意を胸に、私はお弁当を勢いよく食べたのでした。
だんだん学校生活にも慣れてきました。
苦手だった計算も、苦手意識がなくなって、楽しくなってきました。
魔法は相変わらず使えませんが、先生は「魔法が使えなくても単位は取れるから大丈夫だよ」と言ってくれました。
むむむ。でも、周りが使っていれば私も一つくらいは使ってみたいと思うのは仕方ないですよね。
今はお昼の長い休み時間です。
教室でリィちゃんとお昼ごはんのお弁当を食べながら、次の授業の話をしています。
しているのですが…。
「あの子がクロード様の妹さん?」
「ずいぶん年が離れているんだなぁ」
「レガロ様のように頭がいいのかしら?」
「もしかしたら、芸術方面かもしれないぞ。なんたって、あの兄弟の妹だからな」
あのお兄ちゃんパニック(一緒に帰っただけ)から、みんなの目が痛いです。
毎日、知らない人達が休み時間のたびに教室にやってきます。
期待の声や、残念そうな視線、様々な好奇心が私の背中を刺してきます。
ううっ、ものすごく居心地が悪いです…。
あの後、リィちゃんから聞いた話ですが、クロードお兄ちゃんとレガロお兄ちゃんが揃うことは、なかなかないそうです。
そう言われてみれば、クロードお兄ちゃんは教育科じゃなくて別の学修科の塔に行っているし、レガロお兄ちゃんも登下校以外は空組専用の図書室や実験室から出てきません。
私達は、会う約束をしない限り、簡単に揃わないと思います。
だからあの日、すごい人だかりだったんですね…。
家の中だけではわからなかった、お兄ちゃん達のすごさがよくわかりました。
そして、あの時の、みんなの信じられないようなものを見る目は、本当に忘れられないです。
確かに、小っちゃいけど!全然似てないけど!
お兄ちゃん達と見比べられて「え?」っていう顔をされると、ちょっと傷つきます!
私はこれから大きくなるんですー!
「…クリスちゃん、ごめんね…」
「ふえ?」
口の中に卵焼きが入っていたので、変な返事をしてしまいました。
もぐもぐ急いで飲み込んで、リィちゃんの方にもう一度向きます。
「私、ちょっとだけクリスちゃんが羨ましかったの。クロード様とレガロ様の妹ってことが。それでクリスちゃんを傷つけちゃったわ」
どうして私が傷ついたと思ったんだろうと、首をかしげました。
お兄ちゃん達の妹であることは、とてもうれしいことです。
でも、胸の奥にはもやもやがあって、ちょっとだけさみしい気分です。
これは、私が傷ついているから?
「毎日こうやっていろんな人がクリスちゃんを見に来るでしょう?でも、きっとほとんどの人がクリスちゃんを直接見ていないわ。お兄様達を通して見ているのよ。私も、クリスちゃんに似てないって言っちゃったし…本当にごめんね」
なるほど。
私のことなのに、どこか別の人のように聞こえるのは、そういうことだったのですね。
「だが、そうじゃなかったら、クリスはいろんな人には知られなかっただろ?」
突然の会話の乱入に、リィちゃんとその声の主の方へ向きます。
いつの間にか、私たちのそばにカイト君が立っていました。
「どういうこと?」
リィちゃんがむっとした顔でカイト君を見上げます。
「この学校にはいろんな人がいるんだぜ。この学校で、俺らのことを知っている人なんて、この組の奴、関わってる先生くらいだろ。クリスは立派な兄ちゃん達のおかげで、いろんな人に知られたんだから、贅沢ってもんだ」
「む~、そうだけどぉ…。クリスちゃんはクリスちゃんだよ」
「わかってるよ。それは、俺達がわかっていればそれでいいだろ。名は知られないより知られた方がいい。名が知られるということは、存在していることの証だ」
カイト君のその言葉に、リィちゃんはびっくりしたように目を大きくしました。
私は、カイト君がどうしてそんなことを言ったのか、わかりませんでした。
だって、その目はとても悲しそうなものだったから。
「……難しくてわからないよ、カイト君」
困り顔で言うと、カイト君は一瞬怒った顔をしましたが、すぐに教室を出ていってしまいました。
リィちゃんは、それを困った顔で見送って、小さくため息をつきました。
カイト君を怒らせてしまったのでしょうか。
心配になって、リィちゃんを見れば、また困った顔をさせてしまいました。
「本当にごめんね、クリスちゃん。カイトも…怒ってるように見えるけど、本当はクリスちゃんを心配してるんだと思うわ」
「そっか…。リィちゃんも気にしないで。周りが騒ぐのもわかるよ。お兄ちゃん達が立派なのは本当のことで、それは私のことじゃないっていうのも。だから、まずは光組8番のクリスとして頑張るよ!」
にこーっと笑えば、リィちゃんはびっくりした顔をして、でもすぐにふんわり笑ってくれました。
うん、リィちゃんには笑顔が一番似合います!
二人で笑い合えば、ぽかぽかと心があったかくなります。
本当だね、カイト君。
きっとカイト君が言いたかったことと違うかもしれないけど、カイト君の言うとおりだと思います。
リィちゃんやカイト君が私自身を見てくれていることを知っているから、知らない人達が私を見ていなくても平気です。
遠くの人よりも身近な人がわかってくれるなら、今はそれでいい。
これからどんな道に進むのかわからないけど、少しずつ私のペースで友達を増やしていけばいいんだよね?
よし!まずは最初の目標である、私ができることを見つけます!
せっかくグランツ学園に入ったんです。
お父さんやお母さんが言ったように、私は私なりに勉強と友達作りをしようと思います。
小さいけど、でも大きな一歩になる決意を胸に、私はお弁当を勢いよく食べたのでした。
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