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第1章 ◆ はじまりと出会いと
29. ハラハラな料理実習①
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今日の授業は、五人グループで料理実習です。
花組の調理実習室を借りて、お昼ご飯を作ります。
料理はいつもお手伝いをしているので、ちょっとだけ得意です!
調理実習室は、六つの調理台にそれぞれ窯が設置されていて本格的なものでした。
窓がない方の壁一面には、いろんな食器が入った食器棚が占めていました。
実習室の奥には「準備室」と書かれたプレートがついた扉があって、その扉の向こうの部屋にはレシピや調理器具を含めた様々な道具が置いてあるそうです。
先生がその準備室から子ども用の調理器具を用意しながら、料理の内容を簡単に説明しました。
「作るものはハンバーグです。余裕のあるグループはサラダとかスープを作ると点数アップですよ。レシピは今から配るプリントを見てくださいね」
先生の「ハンバーグ」という言葉で、みんなが「やったぁ!」と思い思いに叫びます。
ハンバーグ!
大好きなメニューです!
まだ一人で作ったことはないけど、家ではいつもお肉をこねて形にするお手伝いをしています。
焼くのは、まだ危ないということでお母さんがしてくれます。
お母さん特製のソースをからめて、じゅうぅっと焼く、これがとってもおいしいのです!
他の子達も目をキラキラさせながら、ハンバーグのレシピを見ています。
みんなもハンバーグ好きだよね、わかります!
プリントの調理手順を見ていたら、隣の調理台のグループの一人が手を挙げました。
「先生ー。ハンバーグの材料はどこですか?」
そう言われれば、器具は用意されていますが食材が見当たらないです。
質問を受けた先生は、にっこりと笑います。
とてもいい笑顔ですが、なんだか嫌な予感がします。
「食材は自分たちで集めるんです。まあ、簡単ですよ。学園中を探せば食材なんてすぐ見つかります」
『ええっ!!?』
組のみんなは、びっくりして叫びます。
まさか、食材集めから料理実習が始まるなんて思ってもみませんでした!
戸惑う私達に先生は笑うのをやめて、真剣な顔で言いました。
「いつでも簡単に食材が手に入るわけじゃありません。どんな状況になっても常に対応できるように訓練するのも大事なことです。甘えないでくださいね」
先生から伝わるピリリとしたプレッシャーに、みんな息をのみます。
その空気を破ったのは、元気にガッツポーズで「やるぞー!」と叫ぶ男の子、ハーツ君でした。
それに釣られた子達も頷き合って、「頑張るぞー!」とやる気を取り戻しました。
やる気になったみんなは、それぞれのグループで相談や役割分担を始めます。
その様子を先生は優しい顔で見守っていました。
「では、みんなのやる気に先生からアドバイスです。食材集めは、どんな方法でもできます。魔法や知恵などを使って、おいしいハンバーグを作ってください。以上、健闘を祈ります」
不思議なアドバイスに首を傾げましたが、何人かの子達は何かに気がついたようでした。
どんな方法でもいいって…勝手に冷蔵庫や畑から取ってきたりしちゃいけないし…。
どうやって集めるんだろう?動物とか、鳥にお願いするとか?
「クリスさん、調理は得意でして?」
考えていると、同じグループのアイリーナちゃんに声をかけられました。
アイリーナちゃんは貴族のお嬢様で水魔法が得意です。
ウェーブがかかった水色の長い髪は、今はポニーテールに結ばれています。
「できないことはないよ。家でお手伝いしてるし」
「そう。では、クリスさんに調理はお任せしましょう」
え。私が調理するの?
アイリーナちゃん以外の子達もこくこくと頷いていました。
目を合わせれば、みんな首を横に振ります。
どうやら、グループの子達は調理をしたくないみたいです。
「で、でも…協力した方が…」
アイリーナちゃんを見ると、睨まれてしまいました。
「クリスさんは魔法が使えないでしょう。食材は私たちが探してきますから、ここで待っていてくださいまし」
「……」
それを言われてしまうと、何も返せないです。
それは事実で、アイリーナちゃん達の助けにはなれないということをはっきり自覚させられました。
しょんぼりしてしまった私の様子を見て、アイリーナちゃん達は何も言わないで行ってしまいました。
他のグループの子達も食材集めに実習室から出ていきます。
一瞬、カイト君と目が合ったけど、思わず逸らしてしまいました。
リィちゃんも何か言いたげな目をしていたけど、グループの子達に引っ張られて行ってしまいました。
「…悔しい…」
みんなと食材集めできないのが悔しい。
それ以上に、魔法が使えないことが悔しい…。
私は独り、調理実習室で食材が届くのを待つことになりました。
「んん?クリスさんだけお留守番ですか?」
独りで窯の火加減を見ながら待っていると、奥の準備室から先生が顔を出しました。
何か作っていたのでしょうか?
準備室から、なんだかいい香りがします。
でもそれは今まで嗅いだことのないもので、先生が何を作っていたのかはわかりません。
「えと、私、食材集めの役には立てないので…」
「………」
困り笑いをした私を先生は黙って見つめていました。
その視線は怒っているものじゃなくて、とても優しいものでした。
「ほう、火の番ですね!火を守るのは重要ですよ!」
「えっ。えと…?」
頭をぽふぽふと撫でられながら先生を見れば、その顔はいたずらをするように笑っていました。
わけが分からなくて、されるがままになっていると、先生は人差し指を口に当てながら言いました。
「クリスさん、すごいですね。実はここにもヒントがあったんですよ」
「え?ヒント…?」
「料理は魔法と知恵でどうにでもなるということです」
先生はにこにこしながら言います。
ますます意味が解りません。
ここにもヒントって…実習室にも食材があるってことでしょうか?
きょろきょろと見渡しますが、やっぱり食材は見当たりません。食器棚と調理器具があるだけです。
ふと不思議な香りがする準備室に目を向けると、先生がにっこりと微笑みました。
「クリスさん、この香りが気になりますか?」
「あ…はい…。嗅いだことのない香りなので…」
先生は、にこにこしたまま準備室に入ってしまいました。
しばらくして戻って来ると、その手には親指ぐらいしかないサイズの透明な小瓶が。
その中には光を閉じ込めたようなキラキラした液体が入っています。
「これは魔法の調味料です。ある特定の者が好む香りなんですよ」
「不思議な香りですね。甘くて…少し香辛料が混ざった感じで…」
先生の手元の小瓶の香りを手で扇いで寄せながら、改めてその香りに触れます。
やっぱり不思議な香りです。
先生は、私の手にその小瓶を乗せました。
「この調味料をあげましょう。クリスさんが好きに使うといいですよ」
「えっ!いいんですか!?」
「もちろん。先生だって食材集めの協力者の一人ですよ?」
そう言って、かっこよくウィンクをくれました。
手のひらの小瓶と先生の顔を交互に見て、思わず飛び跳ねてしまいました。
わあい!やったぁ!
この香りの調味料なら、ハンバーグの隠し味で入れてもいいよね!
笑顔になった私に、先生は今度は優しく頭を撫でてきます。
大きな手でふわふわと撫でられる感触は、まるでお父さんに撫でられているみたいでした。
「クリスさん。自分で役に立たないと決めつけてはだめですよ。自分に何ができるか、です。料理は一人でできるものではないんですから」
「……!」
そうでした。
役に立つ、立たないじゃない。
自分に何ができるか。
いつも私にできることを考えていたのに、魔法が使えないってだけですっかり忘れていました。
料理で魔法が使えなくたっていいんだ。
料理は一人で全部できるわけじゃない。魔法を使っても、だ。
食材を作ってくれる人がいて、その命を育ててくれる人がいて、それを届けてくれる人がいる。
そして、それらを調理する人、その調理のための道具を作る人、盛り付ける食器を作る人、その他にも、私の知らないたくさんの人たちが料理に関わっている。
先生が「魔法と知恵」と言った意味がちょっとだけわかった気がしました。
ハンバーグのために必要なものを揃えるなら、魔法だけではなくて、知識や知恵も必要です。
どんなにいい食材を使っても、作る人が下手だと無駄になってしまう。
どんなにおいしく作れても、それを飾るお皿がいまいちだと、微妙な気持ちになる。
そう、知識に伴った技術や経験も必要なんだ。
「先生!私、火の番と調理頑張ります!あと、ハンバーグに合う素敵なお皿を選びます!」
「うんうん。クリスさんは本当に素直でいい子ですね~。クリスさんが今のところ高得点です」
先生が「魔法の授業は魔法が使えなくても単位が取れる」って言っていたのは、もしかしたらこういうことなのかもしれません。
魔法を使う人のサポートができるかどうか。
使わなくても、その魔法の知識と知恵で対処することができるか。
この料理実習も魔法実技に関する授業だったんですね!
もしかして、アイリーナちゃんもそれをわかってて私に調理を頼んだのでしょうか?
料理は片付けまでが料理。
その中で私ができることはたくさんあります。
そう思ったら、やる気が出てきて、何かしたくてうずうずしてきます!
「先生!調理器具とかは他のを選べたりしますか?お皿もあそこの食器棚から選んできてもいいですか?」
「もちろんです。好きなだけ見て選ぶといいですよ」
「ありがとうございます!」
先生にお礼を言って、大きな食器棚に向かいます。
食器棚にはいろんな種類の食器が並んでいて、それぞれ色も形も様々です。
高いところの食器は後で見るとして、まずは主役のハンバーグを乗せるお皿を探しました。
五人分のお皿を選び終えて、ふと、隅にあった食器に目を向けます。
大きな食器棚に不釣り合いの、とても小さな食器。
それは、まるでお人形遊びに使うような小さなティーセットでした。
「とても小さいカップ…。人間用…じゃないよね?」
落とさないようにそっと手に取ると、その小ささがよくわかります。
カップは角砂糖くらいの大きさで、取っ手は親指と人差し指で軽く持たないと壊れそうなくらいです。
ソーサーも少し大き目のボタンくらいの大きさしかありません。
「飾り…にしてはよくできてるし…」
『きゃ~~♪』
急に子どもが騒ぐような声が聞こえました。
誰か帰ってきたのかと思って振り返りましたが、姿はありません。
再びカップに目を移すと、そこには蝶のような羽が生えた小さな女の子が私を見つめていました。
「っえ!?えええっ!!!?」
花組の調理実習室を借りて、お昼ご飯を作ります。
料理はいつもお手伝いをしているので、ちょっとだけ得意です!
調理実習室は、六つの調理台にそれぞれ窯が設置されていて本格的なものでした。
窓がない方の壁一面には、いろんな食器が入った食器棚が占めていました。
実習室の奥には「準備室」と書かれたプレートがついた扉があって、その扉の向こうの部屋にはレシピや調理器具を含めた様々な道具が置いてあるそうです。
先生がその準備室から子ども用の調理器具を用意しながら、料理の内容を簡単に説明しました。
「作るものはハンバーグです。余裕のあるグループはサラダとかスープを作ると点数アップですよ。レシピは今から配るプリントを見てくださいね」
先生の「ハンバーグ」という言葉で、みんなが「やったぁ!」と思い思いに叫びます。
ハンバーグ!
大好きなメニューです!
まだ一人で作ったことはないけど、家ではいつもお肉をこねて形にするお手伝いをしています。
焼くのは、まだ危ないということでお母さんがしてくれます。
お母さん特製のソースをからめて、じゅうぅっと焼く、これがとってもおいしいのです!
他の子達も目をキラキラさせながら、ハンバーグのレシピを見ています。
みんなもハンバーグ好きだよね、わかります!
プリントの調理手順を見ていたら、隣の調理台のグループの一人が手を挙げました。
「先生ー。ハンバーグの材料はどこですか?」
そう言われれば、器具は用意されていますが食材が見当たらないです。
質問を受けた先生は、にっこりと笑います。
とてもいい笑顔ですが、なんだか嫌な予感がします。
「食材は自分たちで集めるんです。まあ、簡単ですよ。学園中を探せば食材なんてすぐ見つかります」
『ええっ!!?』
組のみんなは、びっくりして叫びます。
まさか、食材集めから料理実習が始まるなんて思ってもみませんでした!
戸惑う私達に先生は笑うのをやめて、真剣な顔で言いました。
「いつでも簡単に食材が手に入るわけじゃありません。どんな状況になっても常に対応できるように訓練するのも大事なことです。甘えないでくださいね」
先生から伝わるピリリとしたプレッシャーに、みんな息をのみます。
その空気を破ったのは、元気にガッツポーズで「やるぞー!」と叫ぶ男の子、ハーツ君でした。
それに釣られた子達も頷き合って、「頑張るぞー!」とやる気を取り戻しました。
やる気になったみんなは、それぞれのグループで相談や役割分担を始めます。
その様子を先生は優しい顔で見守っていました。
「では、みんなのやる気に先生からアドバイスです。食材集めは、どんな方法でもできます。魔法や知恵などを使って、おいしいハンバーグを作ってください。以上、健闘を祈ります」
不思議なアドバイスに首を傾げましたが、何人かの子達は何かに気がついたようでした。
どんな方法でもいいって…勝手に冷蔵庫や畑から取ってきたりしちゃいけないし…。
どうやって集めるんだろう?動物とか、鳥にお願いするとか?
「クリスさん、調理は得意でして?」
考えていると、同じグループのアイリーナちゃんに声をかけられました。
アイリーナちゃんは貴族のお嬢様で水魔法が得意です。
ウェーブがかかった水色の長い髪は、今はポニーテールに結ばれています。
「できないことはないよ。家でお手伝いしてるし」
「そう。では、クリスさんに調理はお任せしましょう」
え。私が調理するの?
アイリーナちゃん以外の子達もこくこくと頷いていました。
目を合わせれば、みんな首を横に振ります。
どうやら、グループの子達は調理をしたくないみたいです。
「で、でも…協力した方が…」
アイリーナちゃんを見ると、睨まれてしまいました。
「クリスさんは魔法が使えないでしょう。食材は私たちが探してきますから、ここで待っていてくださいまし」
「……」
それを言われてしまうと、何も返せないです。
それは事実で、アイリーナちゃん達の助けにはなれないということをはっきり自覚させられました。
しょんぼりしてしまった私の様子を見て、アイリーナちゃん達は何も言わないで行ってしまいました。
他のグループの子達も食材集めに実習室から出ていきます。
一瞬、カイト君と目が合ったけど、思わず逸らしてしまいました。
リィちゃんも何か言いたげな目をしていたけど、グループの子達に引っ張られて行ってしまいました。
「…悔しい…」
みんなと食材集めできないのが悔しい。
それ以上に、魔法が使えないことが悔しい…。
私は独り、調理実習室で食材が届くのを待つことになりました。
「んん?クリスさんだけお留守番ですか?」
独りで窯の火加減を見ながら待っていると、奥の準備室から先生が顔を出しました。
何か作っていたのでしょうか?
準備室から、なんだかいい香りがします。
でもそれは今まで嗅いだことのないもので、先生が何を作っていたのかはわかりません。
「えと、私、食材集めの役には立てないので…」
「………」
困り笑いをした私を先生は黙って見つめていました。
その視線は怒っているものじゃなくて、とても優しいものでした。
「ほう、火の番ですね!火を守るのは重要ですよ!」
「えっ。えと…?」
頭をぽふぽふと撫でられながら先生を見れば、その顔はいたずらをするように笑っていました。
わけが分からなくて、されるがままになっていると、先生は人差し指を口に当てながら言いました。
「クリスさん、すごいですね。実はここにもヒントがあったんですよ」
「え?ヒント…?」
「料理は魔法と知恵でどうにでもなるということです」
先生はにこにこしながら言います。
ますます意味が解りません。
ここにもヒントって…実習室にも食材があるってことでしょうか?
きょろきょろと見渡しますが、やっぱり食材は見当たりません。食器棚と調理器具があるだけです。
ふと不思議な香りがする準備室に目を向けると、先生がにっこりと微笑みました。
「クリスさん、この香りが気になりますか?」
「あ…はい…。嗅いだことのない香りなので…」
先生は、にこにこしたまま準備室に入ってしまいました。
しばらくして戻って来ると、その手には親指ぐらいしかないサイズの透明な小瓶が。
その中には光を閉じ込めたようなキラキラした液体が入っています。
「これは魔法の調味料です。ある特定の者が好む香りなんですよ」
「不思議な香りですね。甘くて…少し香辛料が混ざった感じで…」
先生の手元の小瓶の香りを手で扇いで寄せながら、改めてその香りに触れます。
やっぱり不思議な香りです。
先生は、私の手にその小瓶を乗せました。
「この調味料をあげましょう。クリスさんが好きに使うといいですよ」
「えっ!いいんですか!?」
「もちろん。先生だって食材集めの協力者の一人ですよ?」
そう言って、かっこよくウィンクをくれました。
手のひらの小瓶と先生の顔を交互に見て、思わず飛び跳ねてしまいました。
わあい!やったぁ!
この香りの調味料なら、ハンバーグの隠し味で入れてもいいよね!
笑顔になった私に、先生は今度は優しく頭を撫でてきます。
大きな手でふわふわと撫でられる感触は、まるでお父さんに撫でられているみたいでした。
「クリスさん。自分で役に立たないと決めつけてはだめですよ。自分に何ができるか、です。料理は一人でできるものではないんですから」
「……!」
そうでした。
役に立つ、立たないじゃない。
自分に何ができるか。
いつも私にできることを考えていたのに、魔法が使えないってだけですっかり忘れていました。
料理で魔法が使えなくたっていいんだ。
料理は一人で全部できるわけじゃない。魔法を使っても、だ。
食材を作ってくれる人がいて、その命を育ててくれる人がいて、それを届けてくれる人がいる。
そして、それらを調理する人、その調理のための道具を作る人、盛り付ける食器を作る人、その他にも、私の知らないたくさんの人たちが料理に関わっている。
先生が「魔法と知恵」と言った意味がちょっとだけわかった気がしました。
ハンバーグのために必要なものを揃えるなら、魔法だけではなくて、知識や知恵も必要です。
どんなにいい食材を使っても、作る人が下手だと無駄になってしまう。
どんなにおいしく作れても、それを飾るお皿がいまいちだと、微妙な気持ちになる。
そう、知識に伴った技術や経験も必要なんだ。
「先生!私、火の番と調理頑張ります!あと、ハンバーグに合う素敵なお皿を選びます!」
「うんうん。クリスさんは本当に素直でいい子ですね~。クリスさんが今のところ高得点です」
先生が「魔法の授業は魔法が使えなくても単位が取れる」って言っていたのは、もしかしたらこういうことなのかもしれません。
魔法を使う人のサポートができるかどうか。
使わなくても、その魔法の知識と知恵で対処することができるか。
この料理実習も魔法実技に関する授業だったんですね!
もしかして、アイリーナちゃんもそれをわかってて私に調理を頼んだのでしょうか?
料理は片付けまでが料理。
その中で私ができることはたくさんあります。
そう思ったら、やる気が出てきて、何かしたくてうずうずしてきます!
「先生!調理器具とかは他のを選べたりしますか?お皿もあそこの食器棚から選んできてもいいですか?」
「もちろんです。好きなだけ見て選ぶといいですよ」
「ありがとうございます!」
先生にお礼を言って、大きな食器棚に向かいます。
食器棚にはいろんな種類の食器が並んでいて、それぞれ色も形も様々です。
高いところの食器は後で見るとして、まずは主役のハンバーグを乗せるお皿を探しました。
五人分のお皿を選び終えて、ふと、隅にあった食器に目を向けます。
大きな食器棚に不釣り合いの、とても小さな食器。
それは、まるでお人形遊びに使うような小さなティーセットでした。
「とても小さいカップ…。人間用…じゃないよね?」
落とさないようにそっと手に取ると、その小ささがよくわかります。
カップは角砂糖くらいの大きさで、取っ手は親指と人差し指で軽く持たないと壊れそうなくらいです。
ソーサーも少し大き目のボタンくらいの大きさしかありません。
「飾り…にしてはよくできてるし…」
『きゃ~~♪』
急に子どもが騒ぐような声が聞こえました。
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