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第1章 ◆ はじまりと出会いと
32. ハラハラな料理実習④
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エヴァン先生が出ていってからすぐに、もう一人の魔法実技の先生、ギル先生が来ました。
先生は私と目が合うと「わかってる」と言うように小さく頷いてくれました。
「エヴァン先生の代わりに来ました。みんな、ハンバーグはできそうかな?」
ギル先生がグループを見渡しながら言うと、みんな口々に返事をします。
「先生ー。俺達はもうすぐ完成でーす」
「あたし達も~」
「こっちはまだでーす」
ほとんどのグループが調理の最終段階でした。
ハンバーグに火を通している傍ら、スープを作ったりサラダを作ったりしています。
その様子を見て、焦りを感じました。
時計を見れば、残り時間は一時間と少しでした。
どうしよう、このままじゃ時間内に何も作れないまま終わるかもしれない。
着々と完成に近づく他のグループの調理台を見渡しながら、ふと気がつきます。
そうだ!
勢いよく席を立って、隣の調理台のグループに声をかけます。
「ねえ、この余った野菜もらってもいい?」
「え?これを…?」
調理台の隅に置かれた、野菜の端切れを指差して訊きました。
反則かもしれないけど、他のグループから食材を分けてもらうことを思いつきました。
余っているのなら、それはこのグループにはもう必要ないものです。
料理を諦めたくない。
みんなでハンバーグを食べたい。
そのために、私は、私にできることを。
エヴァン先生に言われたことを思い出しながら、一生懸命食材を分けてくれるようにお願いしました。
声をかけられた子達はちょっと戸惑っていましたが、このグループは調理がほとんど終わっていたので、余った食材をもらうことができました。
「ありがとう!」
受け取った食材を手にして笑顔でお礼を言って、そのグループの調理された料理を見つめます。
お礼にもならないかもしれませんが、「おいしくなあれ。おいしくなあれ」とフェルーテちゃんが使った魔法のようにお祈りをして、次のグループのところに行きました。
みんな、私のグループが帰ってこないことを心配してくれていたのか、快く食材を分けてくれました。
さすがにお肉は無理でしたが、卵をもらえたし、これだけの野菜があればスープと小さなサラダはできそうです。
調理台にみんなからもらった野菜を乗せて、早速調理を始めます。
調理が終わったグループやギル先生が心配そうに私の様子を見てきます。
リィちゃんとカイト君も。
まずは、足元に置いた踏み台に上って、制服の袖を捲ります。
小さな私には調理台はちょっと高かったので、エヴァン先生にあらかじめ踏み台を貸してもらっていました。
自分で選んだ握りやすくて使いやすい重さの包丁で、トン、トンと野菜を切ってサラダ用とスープ用に分けます。
キャベツとにんじん、玉ねぎ…あ、玉ねぎはハンバーグ用に残しておかなくちゃ。
ハンバーグ用の玉ねぎを一生懸命みじん切りにして、ボウルに入れておきます。
野菜をすべて切り終えたら、スープ用のお鍋に水を入れて窯の上へ持っていきます。
水は人数分よりも多めに入れているからとても重くて、よろけそうになりました。
すると、ひょいっとお鍋が軽くなりました。
びっくりしていたら、ハーツ君が窯にお鍋を乗せてくれました。
「ありがとう、ハーツ君…」
「どうってことねぇよ。頑張れよ!」
「うん!」
ハーツ君は休み時間の様子とは違い、眉間に皺が寄るくらい笑って、応援してくれました。
窯の火加減を見て、沸騰しはじめたら、火が通りにくい食材の順から入れて、ゆっくりかき混ぜます。
そうしているうちに灰汁が出てきたので、それを丁寧に取っていきます。
『何してるのクリス?そのお汁捨てちゃうの?』
黙々と灰汁を捨てる私にフェルーテちゃんが不思議そうに言います。
「これはね、私達にとってはおいしくない味なの。だから、これを取って、おいしいスープにするんだよ」
小さな声でフェルーテちゃんに説明すると、「なるほど」と頷いてくれました。
『地の妖精はそのお汁、大好きよ。人間はもったいないことするのね』
え、そうなの?
そう言われると捨てづらくなってきます。
もし、ここにその妖精さんがいたら飲んでくれたのかな?
リラの紅茶の時もそうでしたが、妖精さんの味覚って人間とちょっと違うんだなぁ。
フェルーテちゃんは平気で飲んでました。
「ね、フェルーテちゃん。今度また灰汁を取る時は地の妖精さんも呼んだらもったいなくないよね?」
『あはっ♪いい考えね、それ!地の妖精も満足!人間もおいしいスープになって満足!』
フェルーテちゃんはコロコロと笑って、私の提案に乗ってくれました。
その様子に思わず笑みがこぼれちゃいます。
地の妖精さんってどんな姿なんだろう?もし会えるなら、その時が楽しみです。
そんなこんなで灰汁をきれいに取り終えたら、窯の火加減を弱くして鍋に蓋をします。
コトコト、くつくつと煮る音はフェルーテちゃんには楽しいみたいで、体を揺らしながら鼻歌を歌っています。
なんだかとてもご機嫌なようで何よりです。かわいい。
ずっと肩に乗っているけど、全然重さを感じないのが不思議です。
煮詰まってくると、野菜のいい匂いがしてきます。
うん、とってもおいしそうな匂い!
味付けに塩こしょうを加えて、仕上げに「おいしくなあれ」と一言。
フェルーテちゃんはパタパタと羽を動かして、とても食べたそうな顔をしています。
それにちょっとだけ笑って、小皿にスープを取って一口味見。
「おいしいっ」
ぱあっと笑顔になれば、隣の調理台の子達も羨ましそうに見つめてきます。
食材を分けてくれたので、お裾分けをします。最初に多めに水を入れたのはこのためです。
みんなからもらった、たくさんの野菜のおいしさが溶け込んだスープです!
「食材を分けてくれてありがとう」
他のグループにもお裾分けをして、時間を見れば残り約三十分。
むむむ。このままアイリーナちゃん達が帰ってこなかったら、ハンバーグが間に合わないかも…。
その時、廊下を走る複数の足音がしました。
教室にすべり込んできたのは、アイリーナちゃん達でした。
「遅くなりましたわ!」
「アイリーナちゃんっ」
「待たせてしまって申し訳ないですわ…」
「うん。大丈夫だよ!今は美味しいハンバーグを作ろう!」
帰ってきたアイリーナちゃんの手には、お肉がしっかりと抱えられていました。
急いでそれを受け取って、挽肉にします。
これは一人では間に合わないので、アイリーナちゃん達も一緒にお肉を叩いてくれました。
挽肉にしたお肉に、みじん切りにした玉ねぎと卵、調味料を入れて混ぜ合わせます。
いい具合に粘りけが出てきたら、一旦手を止めてアイリーナちゃんに目を向けます。
「アイリーナちゃん。私、ソースを作らなくちゃいけないから、この挽肉をハンバーグの形に作るのをお願いしてもいい?」
「ええ。任せてくださいまし」
他の子達にもやってもらいたいことを頼んで、私も自分の仕事をします。
調味料を掛け合わせて、クルクルとソースをかき混ぜます。
何度か味見をして、「これだ!」という味に近づけていきます。
「妖精の雫」も入れようと思ったけど、ちょっと考えて、入れませんでした。
その代わり、食材を分けてくれた他のグループの料理にしたように心を込めて祈ります。
おいしくなあれ。おいしくなあれ。
魔法は使えないけど、気持ちを込めることはできるから、一つ一つ心を込めながら調理をしました。
一番遅かった私達でしたが、どうにかギリギリ時間内にハンバーグが出来上がりました。
ギル先生も他のグループの子達もほっとした顔をしていました。
気がつけば、調理室はハンバーグとスープのいい匂いでいっぱいで、なんだかすごくおなかがすいてきました。
誰かのおなかの音が鳴って、しばらくみんなで笑うと、ギル先生が手を叩きます。
「はい、これで全部のグループのハンバーグができたね。点数表を配るから、みんなそれぞれのグループの見本用を食べて点をつけてね」
点数表をもらって、他のグループのハンバーグを食べに行きます。
他のグループのものは凝っていて、その上とてもおいしかったです。
それぞれ一口ずつしか食べられませんが、幸せな気分になりました!五点満点じゃ足りないです!
調理されたものから微かにキラキラと零れる光は、魔法でしょうか?
みんなも何か魔法の調味料を使ったのかな?
他のグループの点数をつけ終えて、やっとお昼ごはんです。
ふふふ、待ってました!
ギル先生は、みんなが席に座ったことを確認すると、手を組んで一言。
「それでは、恵みに感謝して。いただきます」
『いただきまーす!』
みんな一斉にそう言うと、早速食べ始めます。
「うまい!」「おいしい!」と口々に言いながら食べている姿は、本当に幸せそうです。
フェルーテちゃんの分もこっそり小皿に分けて、ボウルの中に隠します。それをフェルーテちゃんはパクパクとおいしそうに食べていました。
私もハンバーグに手を付けようとすると、アイリーナちゃんに止められました。
「クリスさん、一人でずっと待たせてしまってごめんなさい」
とても申し訳ないという顔をして謝るアイリーナちゃん。
他の子達も口々に謝ってくれました。
「うん。すっごく焦っちゃったけど、アイリーナちゃん達が無事に帰ってきて、一緒に料理ができてよかった」
学園の外に出たことは怒られることだけど、やっぱりこうやって一緒に料理できたことがうれしいです。
笑顔で返すと、アイリーナちゃんはびっくりした顔をしました。
「…この野菜はどうしましたの?」
「あ。他のグループのみんながね、余った食材の切れ端とかを分けてくれたの」
「そうでしたの?それにしては、とても豪華な作りに思いますわ」
優雅に野菜スープを口に運ぶアイリーナちゃんは意外そうな顔で言いました。
きっと、みんなが集めた食材はいいものばかりだったんですね!
お肉以外は他のグループの食材を使っちゃったから、私達の点数は低そうだけど…。
点数はともかく、無事にハンバーグができた、それだけでもうれしいことなので、それをかみしめながらハンバーグを食べました。
ハンバーグは、みんなで頑張って作っただけあって、とてもおいしかったです。
先生は私と目が合うと「わかってる」と言うように小さく頷いてくれました。
「エヴァン先生の代わりに来ました。みんな、ハンバーグはできそうかな?」
ギル先生がグループを見渡しながら言うと、みんな口々に返事をします。
「先生ー。俺達はもうすぐ完成でーす」
「あたし達も~」
「こっちはまだでーす」
ほとんどのグループが調理の最終段階でした。
ハンバーグに火を通している傍ら、スープを作ったりサラダを作ったりしています。
その様子を見て、焦りを感じました。
時計を見れば、残り時間は一時間と少しでした。
どうしよう、このままじゃ時間内に何も作れないまま終わるかもしれない。
着々と完成に近づく他のグループの調理台を見渡しながら、ふと気がつきます。
そうだ!
勢いよく席を立って、隣の調理台のグループに声をかけます。
「ねえ、この余った野菜もらってもいい?」
「え?これを…?」
調理台の隅に置かれた、野菜の端切れを指差して訊きました。
反則かもしれないけど、他のグループから食材を分けてもらうことを思いつきました。
余っているのなら、それはこのグループにはもう必要ないものです。
料理を諦めたくない。
みんなでハンバーグを食べたい。
そのために、私は、私にできることを。
エヴァン先生に言われたことを思い出しながら、一生懸命食材を分けてくれるようにお願いしました。
声をかけられた子達はちょっと戸惑っていましたが、このグループは調理がほとんど終わっていたので、余った食材をもらうことができました。
「ありがとう!」
受け取った食材を手にして笑顔でお礼を言って、そのグループの調理された料理を見つめます。
お礼にもならないかもしれませんが、「おいしくなあれ。おいしくなあれ」とフェルーテちゃんが使った魔法のようにお祈りをして、次のグループのところに行きました。
みんな、私のグループが帰ってこないことを心配してくれていたのか、快く食材を分けてくれました。
さすがにお肉は無理でしたが、卵をもらえたし、これだけの野菜があればスープと小さなサラダはできそうです。
調理台にみんなからもらった野菜を乗せて、早速調理を始めます。
調理が終わったグループやギル先生が心配そうに私の様子を見てきます。
リィちゃんとカイト君も。
まずは、足元に置いた踏み台に上って、制服の袖を捲ります。
小さな私には調理台はちょっと高かったので、エヴァン先生にあらかじめ踏み台を貸してもらっていました。
自分で選んだ握りやすくて使いやすい重さの包丁で、トン、トンと野菜を切ってサラダ用とスープ用に分けます。
キャベツとにんじん、玉ねぎ…あ、玉ねぎはハンバーグ用に残しておかなくちゃ。
ハンバーグ用の玉ねぎを一生懸命みじん切りにして、ボウルに入れておきます。
野菜をすべて切り終えたら、スープ用のお鍋に水を入れて窯の上へ持っていきます。
水は人数分よりも多めに入れているからとても重くて、よろけそうになりました。
すると、ひょいっとお鍋が軽くなりました。
びっくりしていたら、ハーツ君が窯にお鍋を乗せてくれました。
「ありがとう、ハーツ君…」
「どうってことねぇよ。頑張れよ!」
「うん!」
ハーツ君は休み時間の様子とは違い、眉間に皺が寄るくらい笑って、応援してくれました。
窯の火加減を見て、沸騰しはじめたら、火が通りにくい食材の順から入れて、ゆっくりかき混ぜます。
そうしているうちに灰汁が出てきたので、それを丁寧に取っていきます。
『何してるのクリス?そのお汁捨てちゃうの?』
黙々と灰汁を捨てる私にフェルーテちゃんが不思議そうに言います。
「これはね、私達にとってはおいしくない味なの。だから、これを取って、おいしいスープにするんだよ」
小さな声でフェルーテちゃんに説明すると、「なるほど」と頷いてくれました。
『地の妖精はそのお汁、大好きよ。人間はもったいないことするのね』
え、そうなの?
そう言われると捨てづらくなってきます。
もし、ここにその妖精さんがいたら飲んでくれたのかな?
リラの紅茶の時もそうでしたが、妖精さんの味覚って人間とちょっと違うんだなぁ。
フェルーテちゃんは平気で飲んでました。
「ね、フェルーテちゃん。今度また灰汁を取る時は地の妖精さんも呼んだらもったいなくないよね?」
『あはっ♪いい考えね、それ!地の妖精も満足!人間もおいしいスープになって満足!』
フェルーテちゃんはコロコロと笑って、私の提案に乗ってくれました。
その様子に思わず笑みがこぼれちゃいます。
地の妖精さんってどんな姿なんだろう?もし会えるなら、その時が楽しみです。
そんなこんなで灰汁をきれいに取り終えたら、窯の火加減を弱くして鍋に蓋をします。
コトコト、くつくつと煮る音はフェルーテちゃんには楽しいみたいで、体を揺らしながら鼻歌を歌っています。
なんだかとてもご機嫌なようで何よりです。かわいい。
ずっと肩に乗っているけど、全然重さを感じないのが不思議です。
煮詰まってくると、野菜のいい匂いがしてきます。
うん、とってもおいしそうな匂い!
味付けに塩こしょうを加えて、仕上げに「おいしくなあれ」と一言。
フェルーテちゃんはパタパタと羽を動かして、とても食べたそうな顔をしています。
それにちょっとだけ笑って、小皿にスープを取って一口味見。
「おいしいっ」
ぱあっと笑顔になれば、隣の調理台の子達も羨ましそうに見つめてきます。
食材を分けてくれたので、お裾分けをします。最初に多めに水を入れたのはこのためです。
みんなからもらった、たくさんの野菜のおいしさが溶け込んだスープです!
「食材を分けてくれてありがとう」
他のグループにもお裾分けをして、時間を見れば残り約三十分。
むむむ。このままアイリーナちゃん達が帰ってこなかったら、ハンバーグが間に合わないかも…。
その時、廊下を走る複数の足音がしました。
教室にすべり込んできたのは、アイリーナちゃん達でした。
「遅くなりましたわ!」
「アイリーナちゃんっ」
「待たせてしまって申し訳ないですわ…」
「うん。大丈夫だよ!今は美味しいハンバーグを作ろう!」
帰ってきたアイリーナちゃんの手には、お肉がしっかりと抱えられていました。
急いでそれを受け取って、挽肉にします。
これは一人では間に合わないので、アイリーナちゃん達も一緒にお肉を叩いてくれました。
挽肉にしたお肉に、みじん切りにした玉ねぎと卵、調味料を入れて混ぜ合わせます。
いい具合に粘りけが出てきたら、一旦手を止めてアイリーナちゃんに目を向けます。
「アイリーナちゃん。私、ソースを作らなくちゃいけないから、この挽肉をハンバーグの形に作るのをお願いしてもいい?」
「ええ。任せてくださいまし」
他の子達にもやってもらいたいことを頼んで、私も自分の仕事をします。
調味料を掛け合わせて、クルクルとソースをかき混ぜます。
何度か味見をして、「これだ!」という味に近づけていきます。
「妖精の雫」も入れようと思ったけど、ちょっと考えて、入れませんでした。
その代わり、食材を分けてくれた他のグループの料理にしたように心を込めて祈ります。
おいしくなあれ。おいしくなあれ。
魔法は使えないけど、気持ちを込めることはできるから、一つ一つ心を込めながら調理をしました。
一番遅かった私達でしたが、どうにかギリギリ時間内にハンバーグが出来上がりました。
ギル先生も他のグループの子達もほっとした顔をしていました。
気がつけば、調理室はハンバーグとスープのいい匂いでいっぱいで、なんだかすごくおなかがすいてきました。
誰かのおなかの音が鳴って、しばらくみんなで笑うと、ギル先生が手を叩きます。
「はい、これで全部のグループのハンバーグができたね。点数表を配るから、みんなそれぞれのグループの見本用を食べて点をつけてね」
点数表をもらって、他のグループのハンバーグを食べに行きます。
他のグループのものは凝っていて、その上とてもおいしかったです。
それぞれ一口ずつしか食べられませんが、幸せな気分になりました!五点満点じゃ足りないです!
調理されたものから微かにキラキラと零れる光は、魔法でしょうか?
みんなも何か魔法の調味料を使ったのかな?
他のグループの点数をつけ終えて、やっとお昼ごはんです。
ふふふ、待ってました!
ギル先生は、みんなが席に座ったことを確認すると、手を組んで一言。
「それでは、恵みに感謝して。いただきます」
『いただきまーす!』
みんな一斉にそう言うと、早速食べ始めます。
「うまい!」「おいしい!」と口々に言いながら食べている姿は、本当に幸せそうです。
フェルーテちゃんの分もこっそり小皿に分けて、ボウルの中に隠します。それをフェルーテちゃんはパクパクとおいしそうに食べていました。
私もハンバーグに手を付けようとすると、アイリーナちゃんに止められました。
「クリスさん、一人でずっと待たせてしまってごめんなさい」
とても申し訳ないという顔をして謝るアイリーナちゃん。
他の子達も口々に謝ってくれました。
「うん。すっごく焦っちゃったけど、アイリーナちゃん達が無事に帰ってきて、一緒に料理ができてよかった」
学園の外に出たことは怒られることだけど、やっぱりこうやって一緒に料理できたことがうれしいです。
笑顔で返すと、アイリーナちゃんはびっくりした顔をしました。
「…この野菜はどうしましたの?」
「あ。他のグループのみんながね、余った食材の切れ端とかを分けてくれたの」
「そうでしたの?それにしては、とても豪華な作りに思いますわ」
優雅に野菜スープを口に運ぶアイリーナちゃんは意外そうな顔で言いました。
きっと、みんなが集めた食材はいいものばかりだったんですね!
お肉以外は他のグループの食材を使っちゃったから、私達の点数は低そうだけど…。
点数はともかく、無事にハンバーグができた、それだけでもうれしいことなので、それをかみしめながらハンバーグを食べました。
ハンバーグは、みんなで頑張って作っただけあって、とてもおいしかったです。
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