非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ

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第一章 異世界を知る

何も知らない勇者と戸惑う賢者〜初めてのクエストと幼なじみとの再会〜

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 入口で、ルカは立ち止まった。
「ユウ、クエスト受けて報酬貰いましょ。
 多分、宿代足りないかもしれないの…」
 冒険者登録できて嬉しさを噛み締めていたが、
 冷静になり、今の所持金では宿に泊まれない
 可能性を感じた。
「えっ!?それはまずいのか?宿ってなんだ?
 いわゆるホテルとか旅館のことか。」
 ユウは一瞬疑問に思ったが、意味は理解できた。
 しかし、必要性はわからなかった。
「そうよ、そのままの意味よ。
 異世界では、所有する家がある訳ではないから、
 人が集まる所には宿があるの。
 そこに冒険者は泊まるのが、一般的なの。
 宿代は場所によって違うけど、割と値段したり
 するから、油断ならないわ。
 良心的ではあるとは思うわ。はじまりの町と
 言われるぐらいだもの。でも、念の為に…」
 ルカは宿代の心配がつのり、口調も早くなる。
「分かった、クエストやろう。
 楽しそうだし、お金は貯めておくことに
 損はないもんね。」
 ユウは、クエストに心踊らせて賛成する。
 二人はクエストの掲示板に行く。
 そこには、薬草集めから魔物退治までの多種多様
 な紙が貼られていた。
「薬草集めにしましょ!基本中の基本からよ!」
 ビリッと思い切り紙を剥がし、受付に行くルカ。
「あぇ、俺の意見は聞いてくれないのかぁ。
 待ってー。」
 勝手に決められてしまい、慌てるも、
 ついていくユウ。
「すみません、このクエスト受けたいです。」
 ルカは気合いが入り、語尾が強くなる。
「はい、さっそく受けるんですね。
 かしこまりました、薬草集め、回復草十個です。
 報酬は銅貨5枚です。」
 受付のお姉さんは、少し驚きつつ、
 冷静に対応する。
「あの、この町の宿代ってどれくらいですか。」
 宿代が心配すぎて、思わず聞くルカ。
「一人あたり銅貨三枚です。」
 (なぜ、宿代の話?そんなに高くはない。
 そんな心配そうな顔されなくても
 大丈夫なのに。)
「回復草は葉が二つに別れているシンプルな形
 をしています。」
 お姉さんは薬草について説明をした。ルカは、
「ありがとうございます。」
 (良かったわ、杞憂だった…)
 ほっ…と一息ついて、ユウの方に向き、
「さっそく行くわよ。この先の森にあるそうよ。」
「うん、行こう!」
 二人は森に向かっていく…
 目的地につき、薬草を探し始める。
「なぁ、この森なんて名前だ?聞いてなかった…
 それになかなか回復草見つからないな。」
「この森の名前は『イニジオフォレスタ』よ。
 言ってなかったかしら…?忘れてたかも。
 ごめんなさい。」
「町に森的な意味が付け足された感じか。
 ありがとうな。」
「えぇ、
 葉が二つに分かれているのが、回復草だから、
 そんなないはずは…あったわ!これよ!」
 勢いよくユウに見せ,ドヤっと顔をする。
「おぉ…分かった…参考に頑張って探すよ。」
 勢いに押されて、戸惑いつつ、改めて回復草探しに取りかかる。
「いにしても、少なくないか…たしか基本中の
 基本のクエストなんだっけ?」
「そうよ、そのはず…なんだけど…たしかに…
 少ない?わね。なんでだろ?」
 周りを見渡して言う。
「あー!人がいる!?
 なんかいっぱい回復草持っているわ。
 少ない理由発見!」
 人を見つけて、思わず大声を出し、指を指す。
「わぁ、なんだよ!だれだよ!うん?…在原だろ。」
 白衣を着た左右にはねた深緑の髪が特徴的な青年
 が、ルカの指先に立っていた。
 青年は無論驚き、少しかごから回復草をこぼしたが、冷静に在原と人物特定をした。
「はっ!?違うわよ!てか、誰よ!あなた!」
「いやいや、反応が認めてるだろ。
 在原瑠花、学級副委員長、アニメ・ゲームオタク、意外と人見知りだから男子たちのオタ話に入れな…。」
 もうほとんどの話がバレている所でルカは慌てて
「ちょっとまった…分かった、分かったから。
 認めるからぁ!」と止める。
 そこに、気まずそうにユウが近づいて、
「えっと、錬くん?だよね。
 ルカ、話はよく聞こえてないから安心して。」
 ルカは顔真っ赤にし、手をあげようとする。
 錬と呼ばれた青年は、
 ルカの手をつかんで、体勢を元に戻して離すと、
「よっ久しぶりだな、悠太。
 そう、俺は玉理 錬(たまり れん)だ。
 今は『レン・アポテカ』と名乗り、
 薬師として近くの村で暮らしてる。」
 腰に手をあてて、カッコつけながら自己紹介を
 した。
「えっ!あの錬なの?薬師って回復薬とか
 作れる!?へぇー意外。」
 (恥ずかしい、あの話絶対全部ユウくんに聞かれているわ。)
 内心はさっきの話を引きずっているが、
 薬師ということに、興味を持ち、テンションが上がっていた。
「あー、普段はサッカー部の活動の方が
 多かったからな。
 意外だと思われても仕方ないか。
 俺の家は代々薬剤師の家系なんだ。
 だからサッカー部の活動しつつ、
 理化学研究部で、部長してんだ。」
「うん、時々ついてって、実験してたな。
 本当に久しぶり、僕はユウ・ブレイブ
 勇者として冒険しているんだ。」
 昔のことを思い出しながら、今の姿を説明する。
「私はルカ・ピース、賢者として勇者を導いているわ。そうなのね、知らなかったわ。
 家系にちなんだ職業に,選ばれたわけね。」
 ユウに続いて自己紹介しつつ、職業の理由を
 知って反応する。
「おぅ、改めてよろしくな、ユウ、ルカ。
 あっ、ここで何してんたんだ?
 俺は回復草集めて、回復薬を村の人たちのために
 大量生産しようと思ってな。」
 さらっと、勇者と賢者というワードを流しつつ、
 会話を続ける。
「うん、僕もその回復草が必要でね。
 クエスト?で摘んでこないと行けないんだ。
 でも、ここら辺少なくて、苦戦してるんだよ。」
 ユウは困った顔しながら、答える。
「ごめんな、俺がここら辺の摘んだから。
 お詫びにたくさんある所に案内するぜ。」
 レンは申し訳ない顔をしつつ、答える。
「それは嬉しいわ。さっそく行きましょう!
 クエストは自分で採取しなければ意味ないもの。」
 ルカは素直に喜び、二人の先導に立って、
 道も知らずに走り出す。
 慌てて、レンも走り先頭に行き、少し行った所
 で止まる。
「ここが、回復草の群生地だ。
 あまり人が来ないのもあってか、いつ行っても
 生えている。」
 レンは楽しそうに話す。
「ありがとう、レン。これでクエストができる。」
 ユウはそう言って微笑む。
「礼を言うわ、レンくん。」  
 ルカは少し照れくさそうに笑って言う。
「おぅ、クエストが終わったら俺の村にも 
 来いよ。じゃあな。」
 レンは威勢よく別れを言い、村へ戻って行った。
 
 その後、ユウとルカは無事に採取が終わり
 ギルドに戻った。 
「お願いします。回復草採取終わりました。」
 ルカは少し緊張しながら、袋を渡す。
「お願いします。」
 ユウはワクワクした表情でルカに続いて言う。
「はい、確認しますので、少々お待ちください。」
 一定のトーンで答え、淡々と確認作業をしていき、終わると
「回復草、10個確認できました。お疲れ様でした。
 こちら報酬の銅貨五枚になります。」
 礼をしてルカに渡す。
 二人は嬉しそうな顔して同時に
「ありがとうございます!」 
 と言って、受け取る。
「これで、安心して宿に泊まれるな。」
「そうね。初クエストクリアよ。」
 パチンッとお互いに片手を叩いて祝福した。
 そして、宿へ向かっていく。























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