非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ

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第二章 異世界の価値観を知る。

静かな裁縫修士とおしゃれな魔法使い〜王と大臣と砂の魔人そして戦い〜

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「痛い目を見れば、双子の商人も謝罪に来るはず
 だ、そしたら優しいから許してやるんだ。
 アマデオ、準備はできているか…
 砂の災いサッビオの封印を解く準備は…」
 にやりと笑う王。
「はい、王。ばっちりでございます。
 この通り!」
 手の上にいる小さな砂嵐。
 それは王の元に近づくたびに大きくなっていく。
「それはよくや…な、なんだ…と、止めろ!
 アマデオ、アマデオ!」
 慌てる王。
「ふふ…ははは…バカな王だ。砂の災いなどという
 嘘を信じるとはな。
 砂の魔人サッビオ様だ、人の魂を喰うことで
 復活を果たす…まさに王の魂でな!」
 今まで従順な感じを出していたアマデオは
 恐ろしい顔で高らかに笑い、楽しそうに語る。
「う、裏切ったな、わぁー。」
 王の叫び声が響き、その後砂嵐は魔人へと
 変化した。
「すっすすー、久しぶりに力を取り戻した体は
 いいものすー。
 おまえか、わたすのことを復活させたのは。」
 スマイルな魔人。
「そうです、私はアマデオと申します。
 魔人様、転生者どもを消していただきたく
 思います。」
 なぜか転生者の存在を知るアマデオ。
「それはおもしろすー、さっそくいくすー…
 その前におまえも喰うすー。」
 パクッと一口でいった魔人。
 したなめずりをして、笑う。
「ではいくすー。世界は魔神様のものす。」
 そう早口で言いながら、ユウたちのいる
 秘密の洞窟に向かった。

       ~秘密の洞窟~

「これからどうしようか、クエストの報酬は
 追い出される時にもらってはいるから、
 また旅を再開しても問題ないけど。
 王様が言ってたことが気になるな。」
 (嫌な予感がする…勘に過ぎないけど。)
 考えながら、どうしようか迷っているユウ。
「なんかいや予感でもするのか、ユウ。
 迷ってる時は大体そうだからな。」
 察するレン。
「すごいな、さすがレン。勘だけどね。」
 感心するユウ。
「ユウの勘ははずれたことないぞ。
 良くも悪くもだが…」
 昔のことを思い出して、微妙な顔をするレン。
「へぇー、そうなの。
 それは勇者にとって重要なスキルね。
 それで命を守ったりできるもの。」
 大切と感心するルカ。
「勘は本能的な危機察知能力と言えます。
 重要ですね。」
 共感するマユミ。
「なんか来たー!?戦闘準備してみんな!」
 モードが洞窟の入り口にいて大声で叫ぶ。
「それは大変!私は奥に隠れてますね。」
 ティッシュは戦闘能力はないため、奥に逃げる。
「砂嵐来たー、やばいよー。」
 ほうきに乗って、慌ててユウたちに合流する
 モード。
「ウォールシールド!」
 壁型の結界を張り、砂嵐をとめたルカ。
 砂嵐は消えた。そのかわりに魔人が姿を現した。
「転生者はやはり一筋縄ではいかないす。」
 少し残念そうにする魔人。
「わたすは、魔人サッビオす。
 転生者を滅ぼしにきたですー。」
 サッビオは腕を組みながら自己紹介する。
「魔人?って何者?」
 はてななユウ。
「ちょっと待って…映画見たことない?
 というかアラジン知らない?
 魔人がでてきて願いを三つ叶える話。」
 さすがに無知の許容範囲を超えたルカ。
「ああー、絵本であったな。
 でもランプないし、それをこすったわけでも
 ないし。魔人自体がよく分かってない。」
 絵本のことを思い出したが、イメージと違うため
 理解できない。
「魔人は人のような煙型の魔物で強大な魔力を
 持っているの。
 魔族とは別物よ。」
 説明するルカ。
「ありがとう、ルカ。理解できたよ。」
 ほっこり笑顔でいうユウ。
「説明はそれぐらいでいいかすー。
 魔人は賢者のルカでも倒せないすー。」
 ふーんと余裕なサッビオ。
「なんで私のことを知ってるの?!
 名乗ってもないのに…」
 動揺するルカ。
「有名すー、魔界の頂点魔の神である魔神様に
 使えてるものの間でなすー。」
 楽しそうに語るサッビオ。
「魔王だけじゃない?魔神?」
 疑問が増えるユウ。
「魔神様を知らないスー?!
 どんだけ無知すー。ははは、勇者ユウは
 面白いスー。でも関係ないスー。
 ハァースー。」
 息を思い切り吸い込んで吐き出すと砂嵐が
 現れた。
「魔法!?あの一瞬で!ウォールシールド。」
 ルカが守るが、バリバリ割れていく。
「やっば!トルネード!」
 モードが竜巻を起こして相殺する。
「ありがとう、モード。」
 感謝するルカ。
「こんなの朝飯前ってやつー。」
 ドヤ顔なモード。
「かっこいい、モード。よし、行くよ!」
 ユウは褒めつつ、切り替えて戦闘モードに
 なった。
「何人来ようと変わらないすー。」
 余裕なサッビオ。
「はぁはぁ、攻撃しようにも相手は固体じゃない
 から、当たってるかもよくわからないよ。」
「うーん、砂か。」
「キリがないじゃない。」
「矢を射っても、吹き飛ばされてしまいます。」
「めんどい~。」
 苦戦するユウたち。
 (どうしよう、でも私では何もできない。
 あっ、布を使って…)
 ティッシュはなんとかサポートできないかと
 考えて、布を縫い始めた。
 30秒ほどで大きな大きな一枚の布…魔人よりも
 大きな布を作り上げた。
「モード!これ使って!」
 人生で一番の大声を出すティッシュ。
 そして思いっきりモードに投げた。
「ん、思いは受け取った!最高の双子!
 私たちはサイキョー!
 フローティングandコピー!」
 ノリノリでハイテンションに魔人に布を
 被せるモード。
「こんな布ぐらい!すー!」
 砂嵐で吹き飛ばそうとするも、布はそんな軽い
 ものではなかった。
 綿の素材でできていて、とても重い。
「うわわー、すー。」
 押しつぶされてしまった。
「でれないすー。」
 混乱している。
「剣が光ってる?ほぉ…クオーレシャイニング!」
 導かれるように剣を魔人に突き刺すユウ。
「スー!?なぜ弱点を知って…スー。」
 消えていき、布のふくらみは無くなった。
「倒せた…?やったー!」
 正気を取り戻して、喜ぶユウ。
 みんなで喜び合った後…
「フローティング!うん?なんかある!
 はい、ユウ。」
 投げるモード。
「おっと、くつ?鑑定!」
『クオーレスカルパ:初代勇者が装備していた。
 ワープすることができ、装備したものしか
 入れない空間にも行くことができる。』
「クオーレスパーダと同じ系統かな。
 こんな形でも伝説の勇者の装備って手に入る
 んだ。」
 元の装備から履き替えながら言う。
 履き替えると突然光出して、その光は二人の人に
 なった。
「お…なんだ、なんだ。なぜ私はここにいる。
 まさかあの魔人は倒されたのか。
 そして目の前にいるのは!?」
 王は状況を理解した。
「王様!?なぜここに?!というかくつから
 出て来た。なんで?」
 戸惑うユウ。
「感謝する勇者ユウ。昨日の非礼を詫びよう。
 アマデオも、魔人に魂を喰われたか。
 まぁ私を裏切ったのだ、後で処遇は
 いいわたす。」
 ユウに膝をついて礼をし、大臣アマデオには
 威圧して言う王。
「ひぃぃ、逃げるしかない。勇者ユウ感謝する
 さらば!」
 軽く感謝して逃げようとするアマデオ。
「それはダメってやつだよねー。
 フローティング!」
 魔人が被っていた布をアマデオにも被せる
 モード。
「う、動けない…」
 がく…とショックで気絶するアマデオ。
「おお~、無様だ、面白い。
 だが…我一人では運べないな。
 戻るついでに運んできてくれ。」
 思い切り笑った後、冷静になって、後任せに
 する王。
「えっ…えー、わかりました。
 道わかりますか?王様。」
 後任せ?と思いながら、質問するユウ。
「あ、案内しろ…分からない、ふん!」
 なんか顔が赤くなってる王。
 そうして、全員で国に戻った…。
















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