非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ

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第三章 異世界の現実を変えようとする者たち

一人が好きなクロス使いと妹のような少女〜主との対決と孤児院の設立〜

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    ~パーティ ブリッランテ~

「この奥に主がいるんだな。だろ、アドリア。」
 バルドが言う。
「そうですね、リッカはきっと今頃泣いて帰ってる
 でしょう。ここら辺は魔物が多いそうです
 から、ねぇ、ディーノ。」
 アドリアが思い浮かべて笑う。
「強すぎて、見放されてるっすね。」
 共感して笑うディーノ。
「そんなことは当たり前だ。
 ちゃんと気配察知してるだろうな、ラウロ。」
 ラウロに睨みを利かせて言うバルド。
「は、はい。」
 (なんで…僕にだけ当たり強いんだろう。
 はぁ…こんなパーティ辞めたい…
 でも…辞められない)
 精神的に疲れているラウロ。
「100m先に強大な魔物の気配がします…。」
 しっかりとした口調で報告するラウロ。
「うん、分かった。先に行ってこい。
 後から準備してから行く。」
 ごく当たり前のように言うバルド。
「えっ…でも…非戦闘員で…」
 気配察知のスキルはあるものの、戦いの能力は
 ないラウロ。
「あぁん!文句あるのか?
 様子見に行くだけだろうが。簡単だろう。
 それぐらいしかできないんだから。」
 決めつけて言うバルド。
「……はい、行きます…!」
 (行くしかない…)
 諦めて走って向かうラウロであった…

      ~ユウたちのパーティ~

「もうすぐみたいだね、強そうな気配がする。」
 気を引き締めるユウ。
「わぁー!」
 遠くから声が聞こえる。
「…!先に行く。」
 何か心当たりがあるのか、走っていくリッカ。
「ちょっと、待ちなさいよ!一人で行かないで!」
 慌てて追いかけるルカ。
「ユウ行くぞ!」
 声かけをするレン。
「ほぇ、みんな待って~。」
 少し遅れて行くユウ。

        ~主の寝床~

 (そっーと、そっーと)
 ゆっくり歩くラウロ。
 パキッと、小枝を踏んで音が鳴った。
 (まずい、たしか魔物って音に敏感だったよな。)
 まずいという顔をしながら、顔を上にあげる。
「がぁー、眠りの邪魔をするやつは!」
 体全身に響くような低音で大声で叫ぶ主。
「わぁー、た…たすけて…。」
 腰が抜けて動けなくなるラウロ。
「おりゃー!」
 両手を拳にして、ラウロに目掛けて攻撃する主。
「……ディフェンス!」
 ラウロの前に現れて防御するリッカ。
「…あ!り、リッカさん!」
 びっくりするラウロ。
「……ラウロ?なんで?非戦闘員でしょ。」
 なんでこんな所にいるんだ?という疑問顔を
 しているリッカ。
「…それはそうなんだけど、先に行けって言われて。
 どうしようもなく。」
 泣きそうになりながら、必死に言うラウロ。
「やりそう…私の後ろにいて。」
 想像してから、めんどくさいと思いながら、
 答えるリッカ。
「…はい、分かりました。」
 (僕は敵なんだけどな。いいのかな。嬉しいけど。)
 複雑な気持ちになりつつ、後ろにいるラウロ。
「リッカ、おお~誰だろう。もしかして叫んでた人。
 怪我はなさそうだね。」
 ユウは驚きつつ、ラウロに話しかける。
「はい、僕はラウロ…です。」
 名乗るラウロ。
「ガァー、我はアルディート。
 この森の主。眠り妨げるものは許さん。」
 叫ぶアルディート。
「主を起こしちゃったのね、そのリッカの後ろに
 いる人が。でも、他の人たちがいないのは
 おとりにでもしたの。」
 察するルカ。
「でかいな、主。大きな爆弾を使いがいがあるな。」
 やはり爆弾を使いたいレン。
「一応森なんですよ、レン。
 的は大きい方が射やすいというものですね。」
 きりっとするマユミ。
「ラウロさんはここにいて、僕たちが倒すから。」
 切り替えて、アルディートに立ち向かうユウ。
「…ユウくんは信じられるよ…私のことは信じなく
 てもいいから…。」
 (私は追放されたとはいえ、助けることが
 できなかったのだから。)
 罪悪感があったリッカ。
「信じます!リッカさんもユウさんも。」
 希望を帯びた目で言うラウロ。
「……そう、わかった。」
 顔には出ないが驚いて、
 その後少し微笑んで言うリッカ。
「ラウロはどうなったか、うん、リッカがいるな。
 リッカじゃないか、もういなくなったと
 思ったよ。」
 バルドは後からノコノコと来て言う。
 ユウたちは戦っている。
「ウィンドスラッシュ…」(ルカ)
「爆弾投げるぜ!」(レン)
「連続切り!」(ユウ)
「ウィンドアロー」(マユミ)
 思い思いに楽しそうにしている。
「先越されてるとはな。ラウロはこっちに来い!
 俺のパーティに所属だろ。アドリア、ディーノ
 行くぞ!」
 戦いに行こうとするバルド。
「い、いやです。リッカさんのそばにいます!」
 強い意志で言うラウロ。
「あぁん、そうかよ。まぁ役立たずだから、
 勝手にしろ!俺らがあの主に勝つからな。
 後から泣きついても、知らないからな!」
 余裕の表情で言うバルド。
「…勝つよ、ユウくんたちのパーティがね。
 ブリッランテの比じゃない…あの強さ。」
 煽るリッカ。
「言ってくれるじゃなねぇか。
 勝ってやんよ、あれぐらい!」
 バルドはまんまと乗る。
 バルドたちは、立ち向かっていった。
 主は新たな人間に気づいて、ターゲットを変える。
「あれ?僕たちに攻撃しなくなったよ。」
 戸惑うユウ。
「ブリッランテが来たんじゃないか。」
 とりあえず爆弾を投げるのをやめるレン。
「ターゲットがそっちに向いたのね。
 どのくらいの実力か見ましょ!」
 (乱入はよくあるのよね、いい展開!)
 ワクワクなルカ。
「そうですね、あれほど強いと思っている方々の
 本当の実力はいかほどか。」
 実力を知りたいマユミ。
「アドリアは遠くから援護、ディーノは強化だ!
 俺はふところに一気に仕掛ける!」
 バルドは指示をする。
「わかったっす、アタッコ リフォーゾ。」
 バルドに支援魔法をかけるディーノ。
「ボリデ!」
 火球魔法を打つアドリア。
「タリアットアベッジ!」
 細かい斬撃をするバルド。
「グワァー!こざかしい!」
 剣を掴む主。
「ぐわっ!まずい!」
 飛ばされるバルド。
「……!よっと。」
 バルドをキャッチするリッカ。
「おいっ!なんで…網に入れるんだよ!
 離せ!」
 戸惑うバルド。
「……死なれても困るユウくんたちが…。」
 目線をそらしつつ、丁寧にバルドをおろすリッカ。
「あっそうかよ、勝手にしろ。
 アドリア、ディーノ、俺らは撤退するぞ!
 ラウロは好きにしろ、知らん。」
 勝てないと分かった途端撤退することにする
 バルド。
「逃がすか…グワァー!」
 高速で攻撃するアルディート。
「ディフェンス……ロングシュート!はぁー!」
 力を込めてアルディートの心臓あたりに打つ
 リッカ。
「グワァー、こんな小娘にー?!」
 後ろに倒れるアルディート。
「あわわ、避けろー!」
 避難指示をするユウ。
 みんなで、なんとか避難した。
 アルディートが消え、その後に盾が現れた。
 盾はユウの元に飛んでいく。
「うん?盾?なんで僕の元に?」
 疑問に思いながら受け取るユウ。
『クオーレスクード  初代勇者の盾』
 自動で説明が出てきて、消えた。
「おお~、まさかこんな所で手に入れられるんだ。」
 びっくりするユウ。
「ユウくん…良かったね、ありがとう。
 これでパーティで活躍できる自信が少しは
 ついたよ。」
 お礼を言うリッカ。
「ありがとうございます、助かりました。」
 リッカの後ろから出てきて、丁寧にお礼を言う
 ラウロ。
「どういたしまして、当たり前のことをしたまで
 だから、そんなにかしこまらないで。」
 少し戸惑いながら、笑顔で言うユウ。
「そろそろ行きましょうか、クエストを報告しに。」
 ルカが促す。
 ギルドに戻り、報告して報酬をもらった。
「お前らの実力は認めよう、これからは関わる気は
 ない!」
 納得はあまりしてないが、きっぱり言うバルド。
 ギルドから去って行った。
「…はい、私もないです…いないけど。
 …でラウロはこれからどうすんの?」
 (これは事実上の追放だけど、大丈夫かな。)
 心の中で心配するリッカ。
「リッカさんにお礼がしたいです。
 何かできることはありませんか。」
 尊敬の眼差しでリッカを見ながら言うラウロ。
「えっ…うーん。」
 思いつかないリッカ。
「リッカさん、それなら孤児院新しく作って
 クエストかわるがわる行きながらとかにしたら、
 運営できるんじゃないかな。」
 提案するユウ。
「!…たしかに…でもさすがに負担が大きいような…」
 (二人でとはいえ、非戦闘員であるラウロは
 クエストよりも世話を任せることが多くなり
 そう。)
 現実を考えるリッカ。
「それは良いですね、僕も孤児だったので
 そういう子を減らしたいとずっと考えてたんです。
 一緒にやりましょう、孤児院!
 クエストはリッカさんで僕が家事担当でも構わない
 ですから!」
 やる気満々なラウロ。
「…!分かったよ、ラウロが良いならそうしよう。
 作ろう…みんなが幸せになれる場所を。」
 ラウロに笑いかけて言うリッカ。
「はい!」
 (なんかドキドキする…。)
 勢いよく返事するラウロ。
「おねぇちゃん!おかえり、その人誰?」
 ラウロを見て怪しむソレッラ。
「ラウロだよ、孤児院を一緒に経営することに
 なったんだ、良いかな?」
 真剣に聞くリッカ。
「うん、良いよ。おねぇちゃんならたくさん救える
 もん。ラウロさんよろしくお願いします!」
 丁寧にお願いするソレッラ。
「うん、よろしくお願いします!ソレッラさん。」
 敬語になるラウロ。
「私はここで過ごします…ユウくんたちは
 どうするんですか?」
 素直に聞くリッカ。
「リッカさん、僕たちは明日旅立つよ。
 クラスメイトがまだ全員は見つかってない
 からね。」
 答えるユウ。
 その日、夜はラウロの歓迎会をし、ユウたちは
 宿に泊まった。

         ~次の日~

「またね、リッカさん。」
 手を振るユウ。
「またな。」
 手を振るレン。
「また会いましょう、孤児院頑張って。」
 手を振るルカ。
「孤児院頑張ってください、また会える日まで。」
 手を振るマユミ。
「…お気をつけて。」
 無表情で手を振りかえすリッカ。
「バイバイ!また会おうね!」
 元気に手を振りかえすソレッラ。
「ご武運を祈ってます!」
 気合いをこめて言うラウロ。
 こうして、ユウたちは旅立った…






 





































 
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