非オタな僕が勇者に転生したら、オタな彼女が賢者に転生してサポート万全だった。

ケイオチャ

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第三章 異世界の現実を変えようとする者たち

超お人好しの大剣使いと巻き込まれる勇者一行〜義賊と大剣使いの関係と格差をなくす方法〜

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 ユウは中々戻ってこないヒウを心配して全員総で
 探していた所に細い路地にヒウが縄で縛られた
 状態で魚人族の青年が見張っているのを発見した。
 みんなを呼んで改めて来た…
「おぅ、仲間を呼んできたか…もう仲間戻ってきてる
 から関係ないけどな。ヒウはもう返すわ。
 依頼は終わったし。」
 丁寧に縄をほどく青年。
「よっしゃ、依頼を受けに…うっ!」
 解放されたのでさっそく受けに行こうとするヒウ。
「ちょっと、仕事増やさないで…そのあなたは
 パラミータさんですか?」
 冷静にヒウの首根っこを掴み、質問するルカ。
「っ!…いっいやっ違うぞ…俺はペッシェだ!」
 (なんで…俺の本当の名前を?)
 戸惑いつつ、慌てて偽名を名乗るペッシェ。
「違うだろ、なんでユウたちが知ってるかは
 知らんが、パラミータだろう。なんで嘘をつく?」
 嘘がつけないヒウ。
「やっぱり!妹のサルモーネさんから依頼されて
 手紙を届けにきたんです。」
 身を乗り出して言うユウ。
「妹から?!くれ!」
 さっとユウから手紙を乱暴にとるパラミータ。
「そんな無理やり取らなくても…」
 少ししゅんとしてるユウ。
 [パラミータ兄さん
 元気にしていますか?
 そろそろ顔を見せにきてください。
 みんな心配してます。
 私、会いたい!戻ってきて!
 お願い!
 誰よりも心配なサルモーネより]
 (好き、サルモーネ大好き!戻りてぇ、今すぐ
 戻りてぇ…しかし戻れないんだサルモーネ。)
 気持ちを噛み締めるパラミータ。
「泣いてるな、パラミータ、そんなに嬉しかった
 のか?おっ!妹いたのかー!これ…帰った方が
 良いじゃないのか?」
 ひょっこりパラミータの元に行き、手紙を見て
 驚きとアドバイスをするヒウ。
 表情はころころ変わる。
「帰れたらとっくに帰ってるわ。泣いてねぇ。
 わかってんだろ。俺がここにいる理由わけ
 ぐらいよぉ。」
 情けない顔をするパラミータ。
 ヒウの両肩を思いっきり握り、顔を近づける。
 少しびっくりしつつもヒウは言う。
「分かってるぞ…俺も協力してることだしな。
 スラムをなくすことだろう。お金持ちの
 いない世界に平和あり!」
「お金持ちのいない世界に平和あり!」
 拳を突き上げるパラミータとヒウ。
「おい、俺たちを話から置いていくな。
 ちゃんと説明して欲しいんだが。」
 冷静にツッコミを入れるレン。
「お金持ちを消すのですか?わたくしも?」
 お金持ちの自覚はあるマユミ。
「マユミはこのまちの金持ちではないんだから、
 関係ないでしょ。消すって物騒な言い換え
 しなくても良いと思うけど。説明して。」
 呆れながらも説明を求めるルカ。
「俺はこの町に転生したんだ。そしたらな、
 スラムにいて、びっくりした。
 こんなにも格差があるとは思ってもなかった。
 だから、変えようと自分ができることを精一杯
 しようと決めたんだ。
 しばらく一人でやってたら、パラミータが協力
 してくれることになって、お金持ちが
 いなくなればみんな平等だってなったぞ。」
 自信満々に語るヒウ。
「おぅ、平等平等!」
 上等上等みたいな言い方で言うパラミータ。
「それ、犯罪よね…ノリノリで言ってるけど。
 どんな方法かは気になるけどね。」
 冷静に言いながらも異世界展開にワクワクしている
 ルカ。
「ルカ、言葉と動きがあってないぞ。」
 すかさずツッコミを入れるレン。
「泥棒とか、住居侵入とか、強盗でもするのか?」
 なぜか冷静にやることを聞き始めるユウ。
「すごく冷静に犯罪名を言うのですね。」
 少し驚くマユミ。
「うん?それはよく分からないが、
 義賊のやる事は深夜に金持ちの家にこっそり
 入って、さっとものを取って、家に帰るだけだ!
 簡単だろ。」
 パラミータは誇り誇った顔で言う。
「おぅ!やろうぜ!救うぜ、みんなを!」
 ヒウはやる気満々だ。
「ヒウ、本当にやる気か。僕は、人を救うのは
 良いことだと思うけど、悪いことをするのは
 できないよ。」
 魔物を倒すことに対して、特に抵抗を見せて
 なかったが、犯罪に想像できるものはさすがに
 抵抗したユウ。
「ユウ、これが現実だぞ。やるしかないんだ。」
 ヒウは真剣な顔になる。
「現実…えっでも、な、レン。」
 戸惑って、レンに同意を求めるユウ。
「ユウがやりたくないならそれで良いんじゃないか。
 でもこのままだと格差は変わらない。
 俺は協力するつもりだが。」
 合理的に考えるレン。
「レン、行くのか…うーん。」
 俯いて、考え出すユウ。
「私も行く!これは異世界チャンスよ!」
 よく分からない言葉が出るルカ。
「ルカが行くのでしたらわたくしもお供いたします。」
 ルカについていくマユミ。
「リーダーが一番ぱっとしないのか、
 めんどくせぇなぁ。まぁ、おまえが行かなくても
 行くやつで今夜行くからな。
 月が出たらここに集まれよ。解散!」
 パラミータはユウの答えが出ないうちに解散
 してしまった。
「あっ…ぅぅ…とりあえず宿に戻ろっかみんな。
 ヒウも来る?ってあれパラミータといった
 のかな?」
 少し顔を上げて唖然とした後、口を、少し噛み
 締めてからみんなの方を笑顔で向いて言うユウ。
「おぅ、そうだな。どうにしろ夜にしか動かない
 からな。」
 ユウの様子が気になりつつ、笑顔で返すレン。
「そうね、それまでに作戦考えるの。楽しくなって
 きたー。」
 完全にハイになってるルカ。
「ユウは夜までにしっかり考えてください。
 わたくしはルカについていくのみですので。」
 ルカが好きすぎるマユミであるものの、
 ユウに気遣う気持ちもある。
 しばらく歩いて宿に向かう途中…
「ユウ大丈夫?まだ答え出してないのユウだけよね。」
 少し落ち着いて、ユウに聞くルカ。
「うん、ちゃんと考えるよ。僕、全然知らないから。
 この世界のことも、格差というものも。」
 元気のない笑顔で返すユウ。
「そう、なんでも、聞くのよ。私は賢者だもの。」
 頼って欲しいと思うルカ。
「うん、ありがと。」
 素直に言うユウ。
 キュンとしたルカは顔が少し赤くなって顔を
 背ける。
 宿に戻って、夜を待った…






























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