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1章 始まりと別れ。
言の葉
しおりを挟む遥輝side
小さい頃から"そこ"は檻みたいなところだ、と教えられてきた。
杉浦とは偉大な権力をもつ組織的な存在で、逆らうことは許されず、傘下となれば強力な加護が得られる、とか。
杉浦の組織には複数の名家がいて、その内は高梨家、木山家、橋村家、高田家など。
その昔、裏社会で杉浦と手を組み、名を残してきた家々が集まった者たちだとか。
俺自身、深くは知らされていないが、杉浦の権力は底知れぬ、と言い伝えられている。
逆に、それだけの盛大な権力のある家柄だから、杉浦の本家はものすごく厳しく警戒心が強い人ばかりで、影では"牢屋のような場所"だと言われているらしい。
そんな家柄に生まれた彼女、杉浦柚は周りの予想通り跡取り教育を施された。
同い年で、似たように育てられてきているはずなのに、柚は毎日のように泣いていた。
いくら育て方が似てるとはいえ、柚は跡取りだから相当過酷なことを強いられているんだろう事は、幼いながらにも想像が出来た。
そんな中でも必死に過ごしてきた彼女はほんとにすごくて尊敬できて、いつの間にか遠い存在になっていた。
中学に上がる時期に、転機は起きた。
柚が杉浦の家から出たのだ。
周りは騒いでいたものの、俺は大して興味がなくて、ただ柚のそばにいてやりたいって、その事しか頭になかった。
だから中学の入学式に柚に柄にもなく告白して、付き合えてることになって、彼氏彼女って関係でそばにいて。。。
彼女を繋ぎ止める方法がそれしか思いつかなかった。
いくら俺の家が杉浦の傘下にいるとはいえ、普通に過ごしていて柚との接点なんてないに等しくて、権力的に俺の家柄は杉浦と遠いから。
1番近い同い年の高梨玲に柚を取られるのがすごく嫌だったのを今でも覚えている。
「僕、いつか柚ちゃんと結婚して幸せなお家作りたいんだぁ」
5、6歳の、ほんのガキだった頃。
玲が放った言葉が頭から未だに離れなくて、玲に取られることが怖くて、柚を自分のものにしたくて、彼氏という位置を取った。
それから玲は父親の仕事の関係で海外へ行き、もう柚と関わることも無く会うこともないだろうと思っていた、、のに。
「いつ、こっちに帰ってきてたんだよ。教えてくれればいいのに」
「今年の2月頃だよ。サプライズにしようと思ってたから、ごめんね」
今と昔、何も変わらない玲の態度に少し苛立つ。
玲と柚は、"昔は"仲良かった。
でも2人の中に何かがあって、それ以来話しているのすら見かけなくなり、柚は一方的に杉浦の家と玲を避けるようになった。
多分、本人は平然を装っていたんだろうけど、昔から一緒にいてそばで見ていればその違いなんてすぐに分かる。
2人に何があったのかなんとなく想像がつくからあえて俺からは何も言わないが、、。
玲が柚に話しかけるが、柚はなにかに弾かれたように感情丸出して怒りを叫んだ。
さすがにマズいと思って柚に制止を促したが、お前には関係ないだろと言われれば何も言えない。
玲の言葉を目の当たりにして柚はそのまま、何も言わずに教室を飛び出した。
追いかけようと思ったが、1度考えてやめた。
多分今追いかけても柚を追い詰めるだけだし、かけてあげる言葉も見つからない。
「、、勘当、ね」
玲の言葉には俺も衝撃ではあったが、、、。
よく聞く話ではある。
でも玲は杉浦の本家に1番近しい人間であるから簡単には追放はされないだろう。
現状、柚が女の子である以前に家を出てしまっているから、跡継ぎが順番的に玲であるのだから。
だとしても、高梨家は大きく出たものだな。。。
下手をすれば家ごと杉浦から弾き出されてもおかしくないようなことをしたのに。
「別に僕は勘当されてもいい。あの家に執着するものはないし、むしろ縛られなくて済むから好都合だよ」
「、、よく言うわ。勘当なんて形だけだってわかってて言ってんだろ?タチわりぃぜ。どいつもこいつも」
あはは、なんてカラ笑いする玲はどこか寂しそうに見えた。
どこまで行っても結局は監視下の元なんだよ。
俺も、玲も、、柚も。
"あの家"からは誰も逃れられないんだよ。
どんな手を使おうが。
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