異世界に転生した私は薬剤師の助手です!?

氷雨 いぶき

文字の大きさ
9 / 34
本編

6、アルカロス将軍

しおりを挟む
「待てッ!止まれ。通行証はッ!?」

鈍く銀色に光る鎧をガシャリと鳴らして槍をこちらへ向ける門兵。

「これでいいかな?」

ポケットから純白のペンダントを取り出して門兵に見せるレイン。

門兵が驚いたように取り乱す。

「こッ!し、失礼しました………!」

あっさりと通された。



「レイン、あれなんですか?」

「あれか?あれはな、軍事国家ゼルガナの「重要人物」ですよーって知らせるペンダントだ。猛る獅子の紋章と正義を表すクロスされた槍が特徴だな」

「へ、へぇ~………」

改めて自分が戦争をバンバンやるような国へ来たことを思い知らされる。

「あれさえあれば大抵ドコでもフリーだし無料だ。………もちろん?敵国でやれば即連行、すぐに首と胴がサヨナラするだろうな」

「へ、へぇ~………」

こ、こわっ!













「あら?貧弱な薬剤師の小僧が何の用かしら」

「とぼけるなエリーゼ。私に刺客を差し向けたのはお前であろう」

「心外だわ、そこまで信用がないなんてね」

2人は町外れの屋敷へと来ていた。

目の前には、艶やかな鎧を纏った女性が座っている。

しかも、かなり偉そうに。


「あの~、この人は?」

「こいつか?こいつはエリーゼ・アルカロス。将軍であるくせに血を見るのが好きで戦場をフラフラする変態だ」

「あら、そんな事ないわよ。よろしくね~ハルちゃん?」

すでに名前を知られていることに少々ビビるハル。

「ところで、私は本当に知らないわ。敵国の誰かじゃないの?」

「いや………奴の顔には見覚えがあった。……………そう、そうだっ!」

弾かれたように立ち上がるレイン。

「何故わからなかったのだろう!以前私が国の極秘処刑場へとに入った時に見た顔だっ!」

いや、極秘なんだろ。
勝手に入るなよ。

ツッコミは恐ろしくて入れられない。

「はははっ!じゃあアルテマ派のジジイ共じゃないか?」

「………チッ!アーライル大公は立派なお方であったのに!」

「………………あぁ、亡くなられたそうだな。魔石をお使いになられていたというのに」

「…………………今、世界がどこかおかしい。他の国でも7賢者が入れ替わるという異例が起きてるらしい」

話についていけないハルは出されたお菓子をかじって「うまっ!」とかなんとかバカみたいに言うしかない。

「アルテマ派と言うことは………議会の半数じゃないか!クソッタレめ、奴ら本当に聖戦ジハードを繰り返すつもりかッ!」

 
「あ、あのー………話に…」
「黙ってろ帰ったら話す」

「は、はいー……………」

じゃあなんで私連れて来たの!?

お菓子とお茶飲むだけってバカみたいじゃん!

いや………そんなに成績が良かったわけでもないけどさっ!


「あははっ、アンタは絶対に反対するだろうからねぇ………早めに消しておこうと思ったんじゃない?アルテマ派といえば反賢者的なトコあるしさ」

「………チッ、私は賢者様の犬だとでも………!?」

「知らないよ。直接聞いてみればいいんじゃないかしら」

「………………それ、いいな」

なにやら恐ろしい事を考えているらしい。

これは…止めるのも助手の務めか?

聖戦ジハードなんて名ばかりだろう!結局は他国を攻め落としたいだけだっ!そうなれば最初に衝突するのはゼルガナとイリルムードだ………被害は想像を絶する……!」

「もしかしたらアルテマ派はもうイリルムード側に寝返ってるかもねぇ………そうなれば被害は少ないかも」

「何言ってんだ、ゼルガナの将軍が」

初めてレインが一息つき、コーヒーを上品にすすった。

その目には、堪え難い怒りが映し出されていた。


「………とにかく。私はアーライル大公の遺言に従い、コイツを育てねばならない」

ポン、というにはやや乱暴にハルの頭を叩くレイン。


「せいざい研究に従事するさ」

「あ、忘れてた。………本来、ダメなんだろうけどさ、臨海国シーウィードから依頼だよ」

「………分かった、行こう」







帰り際。

「レイン!」

あ?と振り向くレイン。

「私はいつまでもアンタの味方だからねっ!」

苦笑して背を向けたまま片手をあげるレイン。


強敵が現れたかもしれなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

処理中です...