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本編
21、転生者
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レイン、ハル、エレジー、ライル、ニュクスは秋のイルセルム山にいた。
「あぁー、疲れた!」
愚痴をこぼすハル。
レインのせいで飛んだ山中行軍である。
「ニュクス………疲労緩和の支援魔法あったっけ………」
エレジーも相当に疲れているようだ。
「ホラホラ、もう少しだぞぉ!」
レインだけは元気に(遠足に行く小学生のように)足取りも軽い。
「ない………ことも…ないッ!」
傾斜がきつくなってきて大きな岩を乗り越えるのに気合いがいる。
「かけて………くれない?」
「ダメだろう!この疲れもこの後に待つ極上の幸せのためのスパイス!」
人格変わってんじゃねぇのかこの野郎、という言葉をかろうじて飲み込んだエレジー。
「分かれ道だ………」
舗装された………いや獣道か、固められた地面が2つに分かれている。
「あ………右、崖……………」
ハルがへたり込みそうになるのを懸命に堪えながら能力で見る。
「ははは、その能力久しぶりだな!読者忘れてるぞ」
「なんの………話です…かッ!」
いい加減うざったらしくなってきた顔をくすぐる草を手で払う。
「おぉ、あった。満開だなぁ………」
レインがうっとりした表情で呟く。
確かにこれは。
今までの行軍もその疲れ全てが吹き飛ぶような、そんな美しい景色。
山の斜面は一面真っ白な花に染まっていて、思わずため息もでる。
「この花はな、めちゃくちゃ繊細でなぁ………敵意を感知することでも有名だな」
「そういえば………なんて花なんですか?」
「サクテキミツバナという。蜜は疲れを吹っ飛ばす最強の滋養強壮剤だしみっちゃ甘い」
エレジーが思わず花に駆け寄る。
「あぁ、生態系を傷つけない程度にな」
なるほど、こういう所やっぱレインは繊細でピュアだ。
聞かれたら殴られるなぁ………とか思いつつ我慢しきれなくなり花に手を伸ばす。
花に触れる………その直前、世界が一変した。
一面の花が全てしおれ、見る間に枯れて焦げ茶色になる。
「見つけた………転生者………」
見れば丘の上に青年がいる。
その敵意に満ちた目にゾッとする。
特殊部隊のようなピタッとした真っ黒な服を着ている。
って………嘘だろあれって……………!
「お前か」
エレジーが凄まじい怒気を発した。
「レインが言っていたな。敵意を感知すると………お前かァ!」
激しい怒りで青年を睨みつける。
が、すぐに冷静になって矛を収めた。
何故なら、自分の怒気をはるかに超える憤怒を感じ取ったからだ。
「お前………………殺すぞ」
レインがその場にいる全員を吹き飛ばすような信じられないような怒りを青年に向けている。
本気で怒っていた。
「聞いてんのか?殺すぞ」
瞳孔を目一杯に開いて睨みつける。
見たところ20代の若い青年は凍りつくような敵意をこちらに向けた。
「………………ッ!よけてッ!」
自分でも信じられないくらいの大声を出していたハル。
キュンッ!
弾丸が走り抜けたのは………さっきまでレインの頭があった場所。
あれは………あれは、ライフル!
どうして!?
この時代に飛び道具はない。
「な、なんだあれは………?」
流石にニュクスにも自体がつかめていないらしい。
「おい………転生者。聞け」
突然耳元で聞こえた声に飛びのく。
嘘だろ………。
いつのまにか青年が目の前にいる。
「俺は転生者………いや、侵略者とでも言おうか。ジグ・ザウエルだ………覚えておけ」
まっすぐにハルを見つめる驚くほど黒くて青い双眸。
レインらは固まって動けない。
ジグと名乗った青年も見向きもしない。
「いいか転生者。俺は神を殺すぞ………」
え、は?
思考が停止する。
「覚えておけ。いずれ殺す」
そういうと鈍く光る漆黒のライフルを空中で手放した。
ライフルはそのまま消えた。
そして、ジグは弾丸が耳元をかすめるようなキュンッ!という音と共に消えた。
残ったのは、ピンと張り詰めた緊張感とゆるめる事のできない深い静寂。
命を枯らされた山一面が慄いているようであった。
「あぁー、疲れた!」
愚痴をこぼすハル。
レインのせいで飛んだ山中行軍である。
「ニュクス………疲労緩和の支援魔法あったっけ………」
エレジーも相当に疲れているようだ。
「ホラホラ、もう少しだぞぉ!」
レインだけは元気に(遠足に行く小学生のように)足取りも軽い。
「ない………ことも…ないッ!」
傾斜がきつくなってきて大きな岩を乗り越えるのに気合いがいる。
「かけて………くれない?」
「ダメだろう!この疲れもこの後に待つ極上の幸せのためのスパイス!」
人格変わってんじゃねぇのかこの野郎、という言葉をかろうじて飲み込んだエレジー。
「分かれ道だ………」
舗装された………いや獣道か、固められた地面が2つに分かれている。
「あ………右、崖……………」
ハルがへたり込みそうになるのを懸命に堪えながら能力で見る。
「ははは、その能力久しぶりだな!読者忘れてるぞ」
「なんの………話です…かッ!」
いい加減うざったらしくなってきた顔をくすぐる草を手で払う。
「おぉ、あった。満開だなぁ………」
レインがうっとりした表情で呟く。
確かにこれは。
今までの行軍もその疲れ全てが吹き飛ぶような、そんな美しい景色。
山の斜面は一面真っ白な花に染まっていて、思わずため息もでる。
「この花はな、めちゃくちゃ繊細でなぁ………敵意を感知することでも有名だな」
「そういえば………なんて花なんですか?」
「サクテキミツバナという。蜜は疲れを吹っ飛ばす最強の滋養強壮剤だしみっちゃ甘い」
エレジーが思わず花に駆け寄る。
「あぁ、生態系を傷つけない程度にな」
なるほど、こういう所やっぱレインは繊細でピュアだ。
聞かれたら殴られるなぁ………とか思いつつ我慢しきれなくなり花に手を伸ばす。
花に触れる………その直前、世界が一変した。
一面の花が全てしおれ、見る間に枯れて焦げ茶色になる。
「見つけた………転生者………」
見れば丘の上に青年がいる。
その敵意に満ちた目にゾッとする。
特殊部隊のようなピタッとした真っ黒な服を着ている。
って………嘘だろあれって……………!
「お前か」
エレジーが凄まじい怒気を発した。
「レインが言っていたな。敵意を感知すると………お前かァ!」
激しい怒りで青年を睨みつける。
が、すぐに冷静になって矛を収めた。
何故なら、自分の怒気をはるかに超える憤怒を感じ取ったからだ。
「お前………………殺すぞ」
レインがその場にいる全員を吹き飛ばすような信じられないような怒りを青年に向けている。
本気で怒っていた。
「聞いてんのか?殺すぞ」
瞳孔を目一杯に開いて睨みつける。
見たところ20代の若い青年は凍りつくような敵意をこちらに向けた。
「………………ッ!よけてッ!」
自分でも信じられないくらいの大声を出していたハル。
キュンッ!
弾丸が走り抜けたのは………さっきまでレインの頭があった場所。
あれは………あれは、ライフル!
どうして!?
この時代に飛び道具はない。
「な、なんだあれは………?」
流石にニュクスにも自体がつかめていないらしい。
「おい………転生者。聞け」
突然耳元で聞こえた声に飛びのく。
嘘だろ………。
いつのまにか青年が目の前にいる。
「俺は転生者………いや、侵略者とでも言おうか。ジグ・ザウエルだ………覚えておけ」
まっすぐにハルを見つめる驚くほど黒くて青い双眸。
レインらは固まって動けない。
ジグと名乗った青年も見向きもしない。
「いいか転生者。俺は神を殺すぞ………」
え、は?
思考が停止する。
「覚えておけ。いずれ殺す」
そういうと鈍く光る漆黒のライフルを空中で手放した。
ライフルはそのまま消えた。
そして、ジグは弾丸が耳元をかすめるようなキュンッ!という音と共に消えた。
残ったのは、ピンと張り詰めた緊張感とゆるめる事のできない深い静寂。
命を枯らされた山一面が慄いているようであった。
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