26 / 34
本編
23、絶望………そして
しおりを挟む
ボルガは劣勢の班に向かうまでに16の殉職報告を受けた。
それも、存在意義のひとつか。
ここを死に場所に決めるのも悪くないと思った。
「オォォオオオォオォオ!!!」
鋭い気合いと共に剣を振り下ろす。
敵はキル、ボルガの家族を殺した張本人である。
「ふぅん………なかなか良い太刀筋。殺すには惜しいな」
「ほっ………ざけぇ!」
そばに転がる十数人の遺体は無残にも切り刻まれている。
報告ができたのが16人。
おそらく実際はその数倍の殉職者が出ている。
「水補強魔法ウォル=アーマー!」
大声で叫び、背中の剣を抜く。
昔から魔法より剣派である。
「オラァッ!」
キルはどこから取り出したのか杖で受けた。
「ふむ………いいな。見れば見るほどいい」
ボルガの太刀筋が読まれているのか、振り下ろす剣全てが払われる。
「なら………これはどうだッ!」
戦いを長引かせるつもりはない。
見よ、己の価値を知った男の捨て身を。
ボルガは右斜め袈裟斬りと見せかけて、反転してキルの懐に飛び込んだ。
「うざったらしい男だ!」
キルが魔力を手に貯めボルガの背中に打ち込んだ。
何度も何度も食らった。
こちらの剣も超至近距離で払われる。
「ほらほらほら!いい加減に死んだらどうだ!」
背中の感覚が無くなった。
今だ。キルは油断している。
「オォォオオオォオォオぉ!」
ありったけの力を込めて、ボルガはその剣をキルに突き立てた。
「なッ………!き、貴様………!」
「一緒に仲良く死のうぜぇ………!どうせこっちも天国には行けない身だァ……!」
ボルガの息も荒い。
死が近かった。
「あぁ……………ごめんよ。俺は死に場所をここにする。一緒にそっちで笑えなくて………ごめんなぁ………………」
伸ばした手が力なくだれ下がり、目から一筋の涙が流れた。
夜空の雲討伐のためだけに一生を捧げた偉大な男の、凄絶な死である。
その双眸は虚ろに開かれていたが、やがて安心したように閉じられた。
「…………………ッ!…………ふぅ、全く!あの男は何者だ!………この私もヒヤヒヤしたぞ!」
キルは自分の腹に深々と刺さった剣を抜いた。
血が際限なく流れるが、左手をかざすとスッと止んだ。
「…………タイラントに合流せねば」
キルはボルガの遺骸を蹴り飛ばし、消し炭にした。
「ふん、調子にのるな」
タイラントの元へ向かう足取りは重かった。
「殺す、殺ス殺すコロスコロスコロス」
「おい、レインがおかしいっス!」
「ど、どうした!?レイン!」
レインの肌に段々と影が射す。
『よォ、またお前か』
「太陽喰い…………俺に力をよこせ!」
『いいがある程度以上使うなと言っている。それと俺様に命令するな』
目の圧だけで吹き飛ばされそうになる。
『ここは深淵の淵。忘れるな………深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ………』
「いいから、いいからよこせ!」
『ふん…………まぁいい。あんなやつに負けてもらっちゃ困るぞ?』
「ほざけ!」
レインの体はみるみる影に蝕まれていって、そして__________堕ちた。
それも、存在意義のひとつか。
ここを死に場所に決めるのも悪くないと思った。
「オォォオオオォオォオ!!!」
鋭い気合いと共に剣を振り下ろす。
敵はキル、ボルガの家族を殺した張本人である。
「ふぅん………なかなか良い太刀筋。殺すには惜しいな」
「ほっ………ざけぇ!」
そばに転がる十数人の遺体は無残にも切り刻まれている。
報告ができたのが16人。
おそらく実際はその数倍の殉職者が出ている。
「水補強魔法ウォル=アーマー!」
大声で叫び、背中の剣を抜く。
昔から魔法より剣派である。
「オラァッ!」
キルはどこから取り出したのか杖で受けた。
「ふむ………いいな。見れば見るほどいい」
ボルガの太刀筋が読まれているのか、振り下ろす剣全てが払われる。
「なら………これはどうだッ!」
戦いを長引かせるつもりはない。
見よ、己の価値を知った男の捨て身を。
ボルガは右斜め袈裟斬りと見せかけて、反転してキルの懐に飛び込んだ。
「うざったらしい男だ!」
キルが魔力を手に貯めボルガの背中に打ち込んだ。
何度も何度も食らった。
こちらの剣も超至近距離で払われる。
「ほらほらほら!いい加減に死んだらどうだ!」
背中の感覚が無くなった。
今だ。キルは油断している。
「オォォオオオォオォオぉ!」
ありったけの力を込めて、ボルガはその剣をキルに突き立てた。
「なッ………!き、貴様………!」
「一緒に仲良く死のうぜぇ………!どうせこっちも天国には行けない身だァ……!」
ボルガの息も荒い。
死が近かった。
「あぁ……………ごめんよ。俺は死に場所をここにする。一緒にそっちで笑えなくて………ごめんなぁ………………」
伸ばした手が力なくだれ下がり、目から一筋の涙が流れた。
夜空の雲討伐のためだけに一生を捧げた偉大な男の、凄絶な死である。
その双眸は虚ろに開かれていたが、やがて安心したように閉じられた。
「…………………ッ!…………ふぅ、全く!あの男は何者だ!………この私もヒヤヒヤしたぞ!」
キルは自分の腹に深々と刺さった剣を抜いた。
血が際限なく流れるが、左手をかざすとスッと止んだ。
「…………タイラントに合流せねば」
キルはボルガの遺骸を蹴り飛ばし、消し炭にした。
「ふん、調子にのるな」
タイラントの元へ向かう足取りは重かった。
「殺す、殺ス殺すコロスコロスコロス」
「おい、レインがおかしいっス!」
「ど、どうした!?レイン!」
レインの肌に段々と影が射す。
『よォ、またお前か』
「太陽喰い…………俺に力をよこせ!」
『いいがある程度以上使うなと言っている。それと俺様に命令するな』
目の圧だけで吹き飛ばされそうになる。
『ここは深淵の淵。忘れるな………深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ………』
「いいから、いいからよこせ!」
『ふん…………まぁいい。あんなやつに負けてもらっちゃ困るぞ?』
「ほざけ!」
レインの体はみるみる影に蝕まれていって、そして__________堕ちた。
0
あなたにおすすめの小説
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる