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本編
29、使徒
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翌朝、食卓に現れたのは目の下にクマを作ったレイン。
「これは酸性のサクテキンとアルカリ性のリサリチンを混ぜ合わせたサクテキリサリチンという薬品だ。敵意を感知する」
がらがら声で説明して、慄いているライルに試験管を一本渡す。
「そしてこれはイログロソウのタネをすり潰した油性の強力な塗料だ。もしこれをつけられれば世界に4人しか作れない中和剤でしか塗料を落とせない」
おぉ、と歓声が上がる。
「私は………寝かせてもらうぞ。今日は4人でやってくれ、徹夜したのでな。ハル……お前は危ないと判断したらすぐに「箱庭」に入れ。判断は基本自己判断だがライルに任せても………いい…」
ポン、と軽快な音でレインが小さくなる。
いつぶりだろう。
「分かった、ご苦労だった」
「あぁ…おやすみ」
大きなあくびを1つしたレインは自分の部屋へと引き上げていった。
「使徒は主に夜の闇に紛れて辻斬りをするそうです」
「必ず首を撥ねとばすらしい。…これは眉唾かもな」
「これまで襲われたのは全員が男爵以上の爵位を与えられた者らしい」
昼に、集めた情報を持ち寄って小さな会議を開いた。
「これは2人じゃなくて3人で組んでひとかたまりで動いた方が良くないっスか?」
「うむ……それもそうだな」
この中で唯一、使徒と戦闘を行ったニュクスが神妙にうなづいた。
「たしかに………というか彼らとはちあって戦闘になると思わないほうがいい。何故なら俺たちが3人で固まっても倒せないからだ。確実にな」
「よし、目撃されたポイントと爵位者邸の近辺から夜に向かうポイントを洗い出そう」
結局その日は話し合いに没頭し、4人はレインが部屋から消えていることに気づかなかった。
洗い出したポイントは、「リゼルブ伯爵邸」から徒歩5分の裏路地。
さすがに伯爵本人は警戒して出てこないだろうがそれでも何かヒントは得られるかもしれない。
「あっ………やっぱり警備は強化されてるっスね」
リゼルブ伯爵邸の付近には、当然のように数十人の護衛がいる。
4人は、裏路地沿いの高い家の屋根にいた。
「うーん……よく見えないな」
エレジーは目を細めたりしているが、何せこの暗がりでは何も見えない。
「うーん………は?オイ、うそだろ!」
珍しく声が荒立つライル。
「ちょ、下!下見てくださいっス!」
言われて下を見た3人。
そして絶句。
「なんで………伯爵が」
顔は知っていた。
有名な伯爵だったからだ。
なら何故。
なぜ危険と分かっていてこんな裏路地に警護もつけないで出てくる?
「くそッ!構ってられるか。人命が先だ!」
真っ先に裏路地に飛び降りようとしたエレジーを辛うじて引き止めたライル。
「だ、ダメっス………見てください。ヤツだ………!」
闇夜に紛れて裏路地へと姿を現したのは、黄金にきらめく鎧兜を身につけた………使徒。
「どうすれば……!」
戦闘になれば勝ち目はない。
それが分かっているからこそ出られない。
その一瞬の逡巡をあざ笑うかのように使徒は伯爵に詰め寄り、その首をはねた。
鮮血が吹き出し、伯爵の頭が転がる。
そしてその顔は恨むかのようにこちらを見ていた。
「これは酸性のサクテキンとアルカリ性のリサリチンを混ぜ合わせたサクテキリサリチンという薬品だ。敵意を感知する」
がらがら声で説明して、慄いているライルに試験管を一本渡す。
「そしてこれはイログロソウのタネをすり潰した油性の強力な塗料だ。もしこれをつけられれば世界に4人しか作れない中和剤でしか塗料を落とせない」
おぉ、と歓声が上がる。
「私は………寝かせてもらうぞ。今日は4人でやってくれ、徹夜したのでな。ハル……お前は危ないと判断したらすぐに「箱庭」に入れ。判断は基本自己判断だがライルに任せても………いい…」
ポン、と軽快な音でレインが小さくなる。
いつぶりだろう。
「分かった、ご苦労だった」
「あぁ…おやすみ」
大きなあくびを1つしたレインは自分の部屋へと引き上げていった。
「使徒は主に夜の闇に紛れて辻斬りをするそうです」
「必ず首を撥ねとばすらしい。…これは眉唾かもな」
「これまで襲われたのは全員が男爵以上の爵位を与えられた者らしい」
昼に、集めた情報を持ち寄って小さな会議を開いた。
「これは2人じゃなくて3人で組んでひとかたまりで動いた方が良くないっスか?」
「うむ……それもそうだな」
この中で唯一、使徒と戦闘を行ったニュクスが神妙にうなづいた。
「たしかに………というか彼らとはちあって戦闘になると思わないほうがいい。何故なら俺たちが3人で固まっても倒せないからだ。確実にな」
「よし、目撃されたポイントと爵位者邸の近辺から夜に向かうポイントを洗い出そう」
結局その日は話し合いに没頭し、4人はレインが部屋から消えていることに気づかなかった。
洗い出したポイントは、「リゼルブ伯爵邸」から徒歩5分の裏路地。
さすがに伯爵本人は警戒して出てこないだろうがそれでも何かヒントは得られるかもしれない。
「あっ………やっぱり警備は強化されてるっスね」
リゼルブ伯爵邸の付近には、当然のように数十人の護衛がいる。
4人は、裏路地沿いの高い家の屋根にいた。
「うーん……よく見えないな」
エレジーは目を細めたりしているが、何せこの暗がりでは何も見えない。
「うーん………は?オイ、うそだろ!」
珍しく声が荒立つライル。
「ちょ、下!下見てくださいっス!」
言われて下を見た3人。
そして絶句。
「なんで………伯爵が」
顔は知っていた。
有名な伯爵だったからだ。
なら何故。
なぜ危険と分かっていてこんな裏路地に警護もつけないで出てくる?
「くそッ!構ってられるか。人命が先だ!」
真っ先に裏路地に飛び降りようとしたエレジーを辛うじて引き止めたライル。
「だ、ダメっス………見てください。ヤツだ………!」
闇夜に紛れて裏路地へと姿を現したのは、黄金にきらめく鎧兜を身につけた………使徒。
「どうすれば……!」
戦闘になれば勝ち目はない。
それが分かっているからこそ出られない。
その一瞬の逡巡をあざ笑うかのように使徒は伯爵に詰め寄り、その首をはねた。
鮮血が吹き出し、伯爵の頭が転がる。
そしてその顔は恨むかのようにこちらを見ていた。
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