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本編
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人気のない離れの校舎に人影が一つ。
肩に届くほどのボブの黒髪に黒目を持つ、所謂一般的で、雑踏に埋もれるどこにでもいる女子高校生だ。どこか足取り軽く歩いてながらも、くあっ、とあくびをかみしめ眠そうだ。
それもそのはず、彼女は入学式という睡眠欲の修行を耐え抜いた僧である。
修行の間、頭の中を占めていたのは煩悩であるがそんなものバレなきゃ大丈夫だ。問題ない。
そんな私が向かうのは勿論、煩悩の大半を占める、これから送る夢の高校生ライフの過程において必要事項となる場である。
それにしても、ここ静かで落ち着く。向こうは、周りがザワザワしてて落ち着かなかった。特大生だからって言うのもあるのかもしれないけど、少し疲れたな。早く着いて、エネルギーチャージしたい。
人はあまりいないって聞いたけど、一人ぐらいはいるでしょ。同士ならいい関係を気づけるといいな。友達に慣れたらもっといいけど。
ちょっと想像して心が浮き足立つ。顔がにやけているのが分かる。
ふと、顔を上げて辺りを見渡す。確かこの辺りだったはず。
目線の先に美術室と書かれたプレートがある。その奥には、美術部と書かれているプレートも見つけた。
ここか。最初は美術部のほうに行けばいいかな。
…ん?何か、声が。
「……あ、…っ」
…美術部のほうからだ。先輩たちかな?もしかして私と同じ入部希望者の人かもしれない。ラッキー。
部室のドアの前まで行って、ドアノブに手をかける。
「ンッ、……ヤッ…、 アンッ」
……ん?何か凄く艶めかしいような…?
まぁ、気のせいでしょ。こんな、真昼間から新入生が来るような時にヤらないでしょ。
そう、結論づけてドアノブを回して開ける。
ドアを開けた先には先輩たちが楽しそうに仲良く話し合っていて、これからの高校生活に期待が高まる、、……わけではなかった。
部屋の中は電気が付いておらず、カーテンも閉め切っていて薄暗かった。
カタッ
物音がするほうに目を向けると、、えっっつ⁉︎
男女二人が親密そうに寄り添っていた。それもかたほうは全裸で。
全裸の女と目が合った。
………、
………!
え、えぇーーーーー
うぇ、ちょっ、何してるの本当にっ、、
ここ部室ですよねっー?
えっ、完全に繋がってますよねっー!?
それーーっ!?
ほんと、何してるんですかーーっ!?
怒りと羞恥心で声を大にして叫びたくなった。けどそれを堪えて、表情を取り繕う。
制服のポケットに入っていたスマホ素早く取り出して、そこの二人を写真に収めた。勿論、首から下がっているものは使わない。
「すみませんけど。出てってくれませんか。出てってくれないならこの写真をばらします」
私がそう言うと、女の方は青ざめて床に散らばっていた服を素早く拾って着替え、私が開けたまましていたドアの方に駆けていった。
それを横目に見ながら、私ってこんな冷たい声も出せたんだ、なんて感慨深く思った。
男の方に目を向けると、「っっつ、ウエッ⁉︎」なんでしまってないのっ!?
「早くその逸物しまって下さいっつ!」
流石に焦りながらそう言うと、
「えっ、ヤないの?」
「っヤらねぇーよっ!!」
……なんだこの人、
頭おかしいだろオーラを出したらやっと分かったのか、いそいそとそれをしまった。
…はぁ~、疲れた。
取り敢えず、電気をつけようと割と近くにあったスイッチを押す。
明かりがついたことで、男の顔がハッキリと見えた。
男は美しいブロンドの髪に碧眼。派手な髪色にも関わらず、全く見劣りしないほど整っているイケメンだった。
めったにお目にかかれないほどの顔なのに、私はこの顔を見たことがある。
この人は、初対面で土足で踏み込んでくるような「あっ、朝のっ!」 …やつだった。
…まじか、
校庭の桜の花びらが春風に煽られ、ひらり、ひらりと舞い落ちた。
肩に届くほどのボブの黒髪に黒目を持つ、所謂一般的で、雑踏に埋もれるどこにでもいる女子高校生だ。どこか足取り軽く歩いてながらも、くあっ、とあくびをかみしめ眠そうだ。
それもそのはず、彼女は入学式という睡眠欲の修行を耐え抜いた僧である。
修行の間、頭の中を占めていたのは煩悩であるがそんなものバレなきゃ大丈夫だ。問題ない。
そんな私が向かうのは勿論、煩悩の大半を占める、これから送る夢の高校生ライフの過程において必要事項となる場である。
それにしても、ここ静かで落ち着く。向こうは、周りがザワザワしてて落ち着かなかった。特大生だからって言うのもあるのかもしれないけど、少し疲れたな。早く着いて、エネルギーチャージしたい。
人はあまりいないって聞いたけど、一人ぐらいはいるでしょ。同士ならいい関係を気づけるといいな。友達に慣れたらもっといいけど。
ちょっと想像して心が浮き足立つ。顔がにやけているのが分かる。
ふと、顔を上げて辺りを見渡す。確かこの辺りだったはず。
目線の先に美術室と書かれたプレートがある。その奥には、美術部と書かれているプレートも見つけた。
ここか。最初は美術部のほうに行けばいいかな。
…ん?何か、声が。
「……あ、…っ」
…美術部のほうからだ。先輩たちかな?もしかして私と同じ入部希望者の人かもしれない。ラッキー。
部室のドアの前まで行って、ドアノブに手をかける。
「ンッ、……ヤッ…、 アンッ」
……ん?何か凄く艶めかしいような…?
まぁ、気のせいでしょ。こんな、真昼間から新入生が来るような時にヤらないでしょ。
そう、結論づけてドアノブを回して開ける。
ドアを開けた先には先輩たちが楽しそうに仲良く話し合っていて、これからの高校生活に期待が高まる、、……わけではなかった。
部屋の中は電気が付いておらず、カーテンも閉め切っていて薄暗かった。
カタッ
物音がするほうに目を向けると、、えっっつ⁉︎
男女二人が親密そうに寄り添っていた。それもかたほうは全裸で。
全裸の女と目が合った。
………、
………!
え、えぇーーーーー
うぇ、ちょっ、何してるの本当にっ、、
ここ部室ですよねっー?
えっ、完全に繋がってますよねっー!?
それーーっ!?
ほんと、何してるんですかーーっ!?
怒りと羞恥心で声を大にして叫びたくなった。けどそれを堪えて、表情を取り繕う。
制服のポケットに入っていたスマホ素早く取り出して、そこの二人を写真に収めた。勿論、首から下がっているものは使わない。
「すみませんけど。出てってくれませんか。出てってくれないならこの写真をばらします」
私がそう言うと、女の方は青ざめて床に散らばっていた服を素早く拾って着替え、私が開けたまましていたドアの方に駆けていった。
それを横目に見ながら、私ってこんな冷たい声も出せたんだ、なんて感慨深く思った。
男の方に目を向けると、「っっつ、ウエッ⁉︎」なんでしまってないのっ!?
「早くその逸物しまって下さいっつ!」
流石に焦りながらそう言うと、
「えっ、ヤないの?」
「っヤらねぇーよっ!!」
……なんだこの人、
頭おかしいだろオーラを出したらやっと分かったのか、いそいそとそれをしまった。
…はぁ~、疲れた。
取り敢えず、電気をつけようと割と近くにあったスイッチを押す。
明かりがついたことで、男の顔がハッキリと見えた。
男は美しいブロンドの髪に碧眼。派手な髪色にも関わらず、全く見劣りしないほど整っているイケメンだった。
めったにお目にかかれないほどの顔なのに、私はこの顔を見たことがある。
この人は、初対面で土足で踏み込んでくるような「あっ、朝のっ!」 …やつだった。
…まじか、
校庭の桜の花びらが春風に煽られ、ひらり、ひらりと舞い落ちた。
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