しっかり者で、泣き虫で、甘えん坊のユメ。

西友

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番外編③

8

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 買い物を終え、部屋の前に着いた璃空は、玄関のドアが少し開いていることに気付いた。

(? 用心深い優斗にしては珍しいな)

 不思議に思いながら、ドアを開けた。

 目に飛び込んできたのは。

 優斗が佳菜子とキスをしている光景だった。


 二人が璃空に気付く。佳菜子は「やだ。見られちゃった」と優斗から腕を離し、ぺろっと舌を出した。

 優斗は青ざめ、固まっている。
 璃空は瞠目したまま、凍り付いていた。

 佳菜子は起き上がり、璃空に近寄ると「だんなさんには秘密ね」と口元に人差し指を立てた。

「でも駄目だよ。いくら仲の良いお友達だからって、チャイムもなしに入ってくるなんて」

 璃空は答えない。あまりに突然な出来事に、心が追い付いていない状況だった。

(……キス、してた。優斗と)

 床にある見覚えのない女物のブラウス。上半身にキャミソール一枚だけを身に付けた女の人。

 床に押し倒された女の人に覆い被さる優斗。

 初恋。初体験。久しぶりの再会。

 ぐるぐる。ぐるぐる。
 混乱しまくり、璃空の思考回路はネガティブモードも相まって、ぐちゃぐちゃになる。

「固まっちゃって、どうしたの?」

 佳菜子は璃空の顔を覗き込むと、うふふと口元を歪めた。

「もしかして、わたしたちのキスシーンを見てエッチなこと想像しちゃったとか?」

 きゃっ。
 ぐいっと腕を後ろに引っ張られた佳菜子が小さく声をあげる。

「近い。離れろ」

 ショックから何とか正気を取り戻した優斗はもはや敬語を忘れ、絶対零度の声音で呟く。佳菜子は「優斗くんたら。やきもち?」と頬を染めた。

 優斗は怒りで頭の血管が切れるという感覚をはじめて味わった。

 無言で佳菜子を部屋の外に引っ張り出す。「痛い」と喚いたが、知ったことではない。

 ようやく外に引きずり出した優斗は、佳菜子の服と鞄、靴を同じように外に放り投げ、ドアを閉めた。鍵をしっかりとかけて。

 佳菜子は束の間呆然としていたが、やがて正気を取り戻すとドアをどんどん叩いた。

「ねえ、優斗くん? わたし足の裏擦りむいちゃったみたいなの。手当てだけさせて?」

 だが、一向に出てくる気配がない。佳菜子は「お友達に見られたからって追い出すことないじゃない! ばか!!」と叫び、怒りながらもようやく帰っていった。
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