しっかり者で、泣き虫で、甘えん坊のユメ。

西友

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番外編③

7

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 優斗は頭を抱えた。
 先週の璃空の様子がおかしかったのは、そういうことか。

(しまった……もう少しちゃんと話しを聞くべきだった)

「ねえ、お水まだ?」

 隙をぬうように、佳菜子は靴を脱ぎ、優斗のすぐ真横まで来ていた。

「!?」

 優斗が飛び退く。衝撃で水がコップから飛び出し、佳菜子のブラウスにかかってしまった。

「あーあ。濡れちゃった」と、何故か嬉しそうな佳菜子。

「……これだけ暑ければすぐに乾くでしょう。いいからもう帰って下さい」

「やーだ。気持ち悪いもん」

 言いながら、佳菜子はおもむろにブラウスを脱ぎ出した。チラチラと優斗を見ながら、下に着ていたキャミソール一枚になる。

「ふふ。ドキドキしてきた?」

 優斗はいらっとしたと同時に、鳥肌が立った。が、それだけだった。佳菜子が期待する感情というか、欲は、全くと言っていいほど湧いてこない。

「──いや、自分でも驚くほど全く」

「照れちゃって」

「日本語通じてますか? ──ちょっと。近付かないで下さい」

 じりじり近付いてくる佳菜子から、後退りする優斗。

 きゃっ。
 佳菜子が床に落ちた水に足を滑らせ転ぶのを、優斗は冷ややかな目で見ていた。

 佳菜子は「起こして」と手を伸ばしてきたが、優斗は「嫌です」とにべもない。

 佳菜子はムッと頬を膨らませた。

「起こしてくれないと、ずっとここにいるからね!」

「!!」

 腕をぐいっと引っ張られる。弾みで足がもつれ、佳菜子に覆い被さる形で倒れる。咄嗟に両手を床につき、何とか顔と顔の接触は免れた。

 ほっとしたのも束の間。

 頭を両腕でがしっとホールドされ、佳菜子の口が近付いてくる。優斗はぞっとし、力の限り上半身をおもいっきりのけ反らした。

(……力、つよっ)

 ぐぐぐ。
 抵抗空しく、目を閉じた佳菜子の顔が近付いてくる。

「もう。意気地無し!」

 優斗の頭の位置はそのままに。佳菜子は瞼を開け、腹筋する要領で上半身を上げた。

 そのまま、口と口が触れ合う。

 がちゃ。
 玄関のドアが開いたのはまさにその瞬間だった。
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