しっかり者で、泣き虫で、甘えん坊のユメ。

西友

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番外編②

10

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「──やっぱり」

 優斗は体温計に出た三十七度八分という数値を見て呟いた。

 優斗の膝の上には、毛布でくるんだ璃空が座っている。ベッドに寝かせようとしたが、璃空が拒んだ結果だ。

「頭とか、喉の痛みはない?」

 璃空は「ないよ。熱もない」と明らかに熱っぽい顔で答える。何故か頑なに熱があることを認めようとしない。

「何か食べたいものある? 買ってくるよ」

 璃空は力なくかぶりをふりながら「何もいらない」と優斗の首にしがみついた。

「……母さんと璃緒が起きてる時は平気だったけど、二人が眠ったあとの夜は怖かった。あの男の爬虫類みたいな顔が何度も蘇ってきて……泣き叫びたかったけど、必死に我慢したのに……おれ頑張ったのに」

 ないって言ってるのに。熱があるとか言う。優斗がおれのこと信じてくれない。

 しくしく。しくしく。
 よくわからない理屈で、璃空はさめざめと泣きはじめてしまった。

 熱も相まって、情緒不安定になっている感じだろうか。

「頑張ったね。えらいね」

 優斗は声をかけ、左手で璃空の背中をさすりながら、右手でテーブルに置いた救急箱をあさった。

(風邪薬は期限がきれてるし、冷え○タもないし……果物とか買いにいきたいけど)

 困った。こんな璃空を一人になどできるはずもない。どうするか。迷う優斗の耳に、璃空の寝息が聞こえてきた。

「璃空?」

 すーすー。
 返ってくるのは、寝息のみ。

「…………」

 優斗は璃空が首に手を回したままの状態からゆっくり立ち上がると、静かに璃空をベッドに寝かせた。布団をかける。起きる気配はない。

 ──自転車を飛ばせば二十分で帰ってこれるかな。

 優斗は財布とスマホ、自転車と家の鍵を持つと、音をたてないように素早く外に出た。
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